ヨウジヤマモトは、しんどい仕事です 最終回

耀司さんの最近のインタビューを読むと、「無責任」「つよがり」な発言が増えてしまったように思えます。
キャリアの最後に向かって、耀司さんにはもっと素直になって欲しいと私は思います。 

 

ここまで行きたいと踏ん張った服が通じない

山本耀司369 インタビュー アズディン・アライア山本耀司とアズディン・アライア 1987年
「FASHION NEWS」より

 

山本耀司のインタビューが載っている雑誌は、

  • ファッションニュース 161号3月号増刊
    2011年3月1日発行
    発行所 株式会社INFASパブリケーションズ

です。

それでは、以下に引用します。

編集部

その手応えをもっと確かなものにするには、メディアに「ヨウジヤマモト」の共犯関係を迫ること、それが近道のように思えます。
特に90年代はメディアに対してサービス精神旺盛な時期でしたね。

山本耀司

過去形ですか(笑)。
でも、それはよくわかります。
ここ2シーズンのコレクションは正直、ぎりぎりまでのところの勝負はしていない。
モノ作りは全力投球の世界。
いかなる障害があっても、その状況下で150%表現するエネルギーがなければダメ。
100点だと普通のメーカーになっちゃう。
これまでは、限界を超えたあたりで本当の勝負を仕掛けてきたわけです。
でも今は、俺がここまで行きたいと踏ん張った服が通じない。
そう、わかってもらえない。
チーフパタンナーにも、そこまでやるなと言っています。
時代が違うから、ちょっとだけわかりやすくしようという作業が加わっています。
ファッションはビジネスと切り離せないから、ある意味でやりにくい。
芸術は、作家が亡くなれば残るのは名前と作品。
服は・・・・・。
たとえば、俺がぶっ倒れたら「ヨウジヤマモト」のブランドを残すべきか、閉じるべきか?
どう思います?

 

そんな気分の時期もありました

ヨウジヤマモト370 1995年秋冬カタログアンサンブル ヨウジヤマモト 1995年秋冬
「Yohji Yamamoto」より

ISBN2-84323-704-1

 

  • 黒いウールギャバジンのアンサンブル
    ヨウジヤマモト
    1995年秋冬
    撮影:Nathaniel Goldberg

編集部

あくまでも私見ですが、他の誰かがやる「ヨウジヤマモト」のイメージは正直、湧いてきません。

山本耀司

そうでしょ?
自分で言うのはカッコ悪いけど、それが大概の見方なんですね。
ということは、山本耀司というデザイナーが真剣に作った服はファッションじゃなくて、アートなんだと。
だから、後継者に作らせないでくれ、という期待感ともとれる。
複雑ですね。
パリに喧嘩を売りに行った男が、いつの間にかパリモードに馴染み、ついにはテーラードマスターなんて評された。
違うでしょ。
パリが俺の方に歩み寄ってきた。
そんな気分の時期もありました。
いずれにしても「ヨウジヤマモト」は、とてもしんどい仕事なんです。

 

寝る前に気分転換でドラマの「仁」のDVDを見ている

ヨウジヤマモト371 1987年秋冬カタログ ニック・ナイトカタログ ヨウジヤマモト 1987年秋冬
「Yohji Yamamoto」より

 

編集部

話は変わりますが、何かを犠牲にして欲しいものを得るという我慢がなくなったような気がします。

山本耀司

それ、とても大事なことなんだよ。
欲望の劣化ですよ、今の日本は。
寝る前に気分転換でドラマの「仁」のDVDを見ているんだけど、今の日本の状況は幕末に似ていないか?と感じることがある。
もう一度日本は開国した方がいいんじゃないかなぁ(笑)

編集部

小説をお書きになったら?

山本耀司

小説は書けないんです。

編集部

でも、初めての自伝を出版されましたが。

山本耀司

小説的でもあり、服飾論であり、女性論でもあり、少しだけ自伝。
「MY DEAR BOMB」というタイトルです。
英語版とフランス語版が今年の1月5日に発売され、日本語版は岩波書店から3月29日に発売されます。
フランス語版がいちばん面白いかもしれません。
言い回しが洒落ている。

 

真剣勝負の服でね

ヨウジヤマモト372 1995年秋冬カタログコート ヨウジヤマモト 1995年秋冬
「Yohji Yamamoto」より

 

  • 黒いラシャのコート
    ヨウジヤマモト
    1995年秋冬
    撮影:デヴィッド・シムズ

編集部

どんな経緯で生まれたんですか?

山本耀司

ベルギーの出版社からオファーがありました。
民事再生法申請の頃でした。
あのニュースが世界を駆けまわったおかげで、今、耀司と何かやっておかないと、と思われたんじゃないかな(笑)。
ロンドンからV&Aの展覧会、イタリアや日本の岩波書店・・・・・。
いっぺんにオファーが舞い込んできた。
イタリアの出版社からは画集を出そうかと計画しています。
デッサンと油絵。
人間にしか興味ないから、人を描こうと思います。
また、岩波書店とは小説を出版する計画があります。
タイトルもほぼ決まっていますよ。
今年中に書いて、出版は来年あたりになりそうです。
服作りはやめないですよ。
でも、俺、デザイナーとしてのキャリアの後半にいるわけだから、やりたいことをいろいろやってもいいんじゃないかなぁ。
映画にも興味がある。
もうストーリーは出来上がっていて、あとは脚本。
自分で書くか誰かに書いてもらうか。

編集部

封印していた音楽は?

山本耀司

遺書代わりに最後のアルバムを一枚作ろうかと。
倉本聰さんがドラマ「北の国から」で田中邦衛演じる五郎さんに「60過ぎたら遺書を書くもんだ」という台詞を用意している。
俺もそろそろ・・・・・。
数曲分の詩は完成しているし、原型はできている。

編集部

遺書代わりはぜひ、服で見せて欲しいですね。

山本耀司

そうだね。
真剣勝負の服でね。

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