ヨウジヤマモトは、しんどい仕事です 第1回

FASHION NEWSという雑誌に、山本耀司のインタービュー記事がありました。
2011年のこのインタビューを、数回に分けて紹介します。

 

FASHION NEWS

山本耀司360 インタビュー山本耀司
「FASHION NEWS」表紙

 

山本耀司のインタビューが載っている雑誌は、

  • ファッションニュース 161号3月号増刊
    2011年3月1日発行
    発行所 株式会社INFASパブリケーションズ

です。

それでは、以下に引用します。

「ヨウジヤマモトプールオム」「ヨウジヤマモトプリュスノワール」、そして「ヨウジヤマモト」の仮縫いの真っ最中、山本耀司は時間を割いてくれた。
「キャリアの後半に入っていたから、好きなことには躊躇なく手を出したいんだ」という。
テーラードマスターでは終わらない、という山本耀司は今、何を見つめているのか?

 

これはトップシークレットなんだよ

ヨウジヤマモト361 1997年春夏カタログスーツ ヨウジヤマモト 1997年春夏
「Yohji Yamamoto」より
ISBN2-84323-704-1

 

  • 白いシルクシフォンのスーツ
    ヨウジヤマモト
    1997年春夏
    撮影:ピーター・リンドバーグ
    「ヴォーグ・イタリア」

編集部

今号の特集に際して、いろいろな方の取材をしました。
改めて山本耀司の偉大さ、人間臭さ、そして弱点(?)を垣間見た気がします。
さて、今度は耀司さんの出番です。
昨年は19年ぶりに東京で「ヨウジヤマモトプールオム」(メンズ)のコレクションを発表するなど、レギュラーのパリコレ以外にも、気を吐いたという感じでしたが、今年はどんなふうにワクワクさせてくれるのでしょうか?

山本耀司

今日はインタビュー止めた方がいいんじゃないかな(笑)。
タイミングがあまり良くないな。
今年中に新たに2つの発表を予定しているので。
これはトップシークレットなんだよ。
相手があることだから言えない。

編集部

いきなりのジャブですね。
その2つはお互いに関連があるものですか?

山本耀司

全然関係がない。
もうすぐ話は決まるはずです。
お披露目できるのは、早い方で今年の秋ごろかな。
発表の方法そのものも一種のサプライズにしたいんだ。
世界規模でね。
このプロジェクトが進むと、俺が二人欲しいぐらい、忙しくなるな。

編集部

発表、となるとやっぱりデザインということですね。

山本耀司

そうだね。
服に関係してきます。
でも、これ以上は言えない。
いきなり発表することに意味があるから。
ニュースにもなっていない、そんなところにボーンと投げかけるというふうに。
楽しみにしていて下さい。

 

作るっていうより、生み出すという感じかな

ヨウジヤマモト362 1993年春夏コレクションイブニング・ドレス ヨウジヤマモト 1993年春夏
「Yohji Yamamoto」より

 

  • 黒いギャバジンのイブニング・ドレス
    ヨウジヤマモト
    1993年春夏
    撮影:山本豊

編集部

前シーズン(2011年春夏)のパリコレ終了後のバックステージでお聞きした耀司さんの言葉が心に残っています。
「一人でも喜んでくれる女の人がいる限り作り続ける」というメッセージです。
ブランドが成熟するにつれ、「ヨウジ」を着る女性も年を重ねる。
それはしょうがないとして、「こんな女に着せてみた」という作り手の想いと実際の街を歩いている女性との間でギャップを感じませんか?
正直にお聞きしますが。

山本耀司

ズレどころじゃない。
いないよ(笑)。
そうとうひどい現象ではあるね。

編集部

でも、作らなきゃならない。

山本耀司

作るっていうより、生み出すという感じかな。

編集部

本当にいなくなっちゃいましたか?

山本耀司

これだけマーケットがフラットになってくると、いなくなっちゃったね。
お洒落もフラットでしょ?
みんな似てる。
80年代みたいに、すごく際立ってカッコいい女の人は街にはほとんどいない。

編集部

下手に近づこうものなら火傷する、そんなキレのある女性。
男が勝手にイメージするカワイイだけの女じゃない、精神的にタフな女性。
そんな彼女たちに向けたカッコいい服が少なかった80年代は、女の人がその服にふさわしくカッコよくなろうという流れが、もう一方ではありました。

山本耀司

そうだね。
時代の勢いみたいな。
うわべがカワイイ女性だけだったら、俺は服が作れない。
もし、そんな状況で作ったとしても、俺の服からは女性のイメージがどんどん薄れていく。
あるいは、服から女のイメージがなくなっちゃう。
見ていたいのは、女の人の内部が激しく生きている、そんな風景です。
それに衝突する興奮がないと俺は仕事ができないだろうな。

 

相手は見つかった

ヨウジヤマモト363 1985年秋冬カタログロング・ジャケット ヨウジヤマモト 1985年秋冬
「Yohji Yamamoto」より

 

  • 「カササギ」テールのロング・ジャケット
    ヨウジヤマモト
    1985年秋冬
    「タンゴ・コレクション」より
    撮影:Paolo Roversi

 

編集部

80年代初頭の東京アヴァンギャルドでパリに乗り込んだ「ヨウジヤマモト」は、80年代後半からテーラードへのアプローチを見せ、90年代に入りオートクチュールに反旗を翻したり、あるいはオートクチュールに歩み寄りつつ、パロディーにして突き放したり、その過程で、パリのモードの中で牽引力を強めてきました。
耀司さんのクリエーションにはいつも喧嘩をする相手がいましたね。
次の喧嘩相手は見つかりそうですか?

山本耀司

相手は見つかった。

編集部

どんな相手ですか?

山本耀司

今は言えない。
この相手だったら、やってもいいかなと思いました(注:彼がいう喧嘩相手とは前述の”相手”だと推測される)。

編集部

90年代に耀司さんが「バレンシアガ」のオートクチュールを手掛けるという噂がありましたが、その種の相手ですか?

山本耀司

違うな。
たぶん、新しいものが生まれる。
それだけしか言えないです。

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