女性像 山本耀司のファッション進化論

今回の山本耀司のファッション進化論は、女性像です。
表紙に、金魚の写真が使われています。 

 

女性像

ヨウジヤマモト117ハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より

 

それでは、女性像を引用します。

編集部

耀司さんは、コレクションのたびに強烈な女性像をつくり上げている。
無防備に見ていると、素手で急所を一突きされるような。

山本耀司

無防備?
それじゃ僕はコロシアムの獅子か、剣を握る裸の男で、女性はいつも安全圏から見下ろしているというわけだ。
でも、僕は生死を決める気はない。

編集部

さまよっていたいんでしょう。

山本耀司

僕も、そろそろ女性像で評価するような、一方的な見方は勘弁して欲しいな。

編集部

どうして。

山本耀司

もう女性論から離れたい。
通り一遍の女性論は結論が出て、質、内容を代弁する必要はなくなったから。

編集部

イメージが、型にはまってしまったということ?

山本耀司

いい素材の上着らしきものをラフに着て、流行に左右されず、着るものなんて、と距離をおいて。
そう、女性論そのものが型にはまったようにね。
クレバーないい女は、今や風俗です。
あるおさまりに入ってしまった。
そのおさまりから見ればクラシックがよくなる。

編集部

だから、反発したくなったんでしょう。

山本耀司

猛烈にね。
いい女、いい趣味が何を生むのか、何も生まないな、と。
人生、態度、そのものがシニックだから。
感動がない。
感動を覆い隠すことが上品だと思っている。

 

春夏コレクションは”少女”

ヨウジヤマモト118 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

編集部

それで、この写真の春夏コレクションは”少女”だったのね。

山本耀司

”私はいい女”と思っている人が鼻につきました。
おかめだって粗忽だっていいじゃないか。
”いい女”のなりそこない。
そういう意味で”少女”。
勝手、不条理、そこに理屈なんてない。
そのほうがずっと五感に響く。

編集部

うん、人間的かもしれない。

山本耀司

人間らしいって言い方すれば、男は少年らしさ、女は少女らしさの残り方が多いほど人間らしいと思う。

編集部

yohji yamamoto pour homme のコレクションも”少年”してた。

山本耀司

あれは、メンズクラブで遊んでるんです。
イギリスにあるでしょう。
女の人が入れないクラブ。

編集部

いい女アレルギーだけかと思ったら全女性を締め出したいわけ?

山本耀司

そうじゃないけど、久々に男どうしの楽しさを再発見して。
仲間とビリヤードしたり、男ばっかしで遊んでいる。
昔、男どうしでこんなことして遊んでたね、って感じ。

編集部

女はどうすりゃいいの。

山本耀司

ちょっとごめんね、遊んでくるから待っててね。
いや、待ってろ、勝負が終わるまで、っていうのかな。

編集部

待つと思う?

山本耀司

男に用ないものね。
先進国では(中略)、重いもの持たないし。

玄関の戸、直してくれる人いなくなって、節くれ立った手もなくなった。

 

服が物として自立しはじめた

ヨウジヤマモト069 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

編集部

そんなこと言って、女がめんどうくさくなっただけでしょ。

山本耀司

気をつかうの、疲れた。
僕くらい真剣に女の人考えながら服作る人、少ないんじゃないかな。
もういい。
着る着ないに関係なく、美しいものとして作りたい。
アライアのいいとき、僕が感動したのは、女性論ではなくて、その指先にだったと思い出して。

編集部

メッセージの時代は終わった。

山本耀司

服が物として自立しはじめた。
先に論旨がなくて、好きなものだけ作る。
自分のクラシックを作る。
時代後れかどうかは、後から考えればいい。

編集部

それが、秋冬のコレクションね。

山本耀司

服を物と見直して、形の美しさを素直に出したら、また女物がおもしろくなってきた。
布が生む形、シルエットに、久々に感動があった。
オートクチュールとロマンティズムに、異常接近しているんだけれど・・・。
ニアミスしたのはなぜか。

 

見えないふり、見せないふり

ヨウジヤマモト119 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

編集部

コレクション見たら、わかる?
でも、どうせストレートには見せないんでしょう?
一突きされたのが、後からぐさりときたりして。

山本耀司

ジョン・レノンが、オノ・ヨーコに
「世間はみんな目が見えないんだから、自分は見えると言っちゃいけない」って。
見えないふり、見せないふりが、感覚、センスだと思う。
裏の裏の、また裏まで考えて服作っても、見たとおりだよ、としか言えない。
そういうものじゃないかなあ。 

編集部

女性像はもういい、といっても、少しは女性のイメージがあるでしょう。

山本耀司

少女から中間すっとばして、初老の女性。
女を抜けかかっているような。

編集部

男が遊びから帰るの、いつまでも待ってくれる人だ。

山本耀司

エンディングの曲がいいんです。
おばあさんの声で、
「疲れたし、おなかすいてもいないから、ぶどうをむいて」っていうの。

他の「山本耀司のファッション進化論」は、以下を参考にしてください。