テリー・ジョーンズが山本耀司を語る 最終回

今回は、テリー・ジョーンズへのインタビューの最終回です。
テリー・ジョーンズは、ヨウジの服の奥に閉じ込められているものについて語ります。

 

「ヨウジ」の服はタイムレス

ヨウジヤマモト442 1999年秋冬カタログシャツとスカート ヨウジヤマモト 1999年秋冬
「Yohji Yamamoto V&A」より
ISBN978-1-85177-627-6

 

  • 白い綿のシャツと黒いギャバジンのプリーツスカート
    ヨウジヤマモト
    1999年秋冬
    モデル:Audrey T.
    撮影:クレイグ・マクディーン

テリー・ジョーンズのインタビューが載っている雑誌は、

  • ファッションニュース 161号3月号増刊
    2011年3月1日発行
    発行所 株式会社INFASパブリケーションズ

です。

それでは、以下に引用します。

編集部

「ヨウジ」の服を最初に見たのはいつだったか覚えていますか?

テリー・ジョーンズ

本当に初めて、は覚えていません。
『i-D』が初めて「ヨウジ」の服を掲載したのは1986年でした。
ニック・ナイトがその頃『i-D』で仕事をしていて、『i-D』最初期のフォトグラファーのひとりだったわけですが、彼より少し後に『i-D』で仕事をマックス・ヴァデューカルもいて、ふたりともがヨウジのカタログなどの撮影をするようになったんです。
私たちが掲載したのはニックが撮影したものでした。
80年代には、私はファッションショーには行ってなかったんです。
ファッションショーなんて70年代のもので、ストリートファッションのほうが面白いんだ、我々のランウェイはストリートだ、と思っていましたから。
ヨウジがパリでショーを始めた頃、私の関心はストリートのほうにあったんです。
だから、多くの人が語る1981年のパリデビューのセンセーションを、私は経験していません。
そのことが、今になってヨウジの伝記を読む理由にもなっているのですが。

編集部

あなた自身は「ヨウジ」の服を着ていますか?

テリー・ジョーンズ

スーツを何着か持っていますが、私よりも妻が「ヨウジ」のファンです。
妻はメンズウエアが好きで、私のジーンズやらコートやらをよく着ていました。
彼女のほうが私より、メンズウエアを上手に着ていたぐらいですよ。
だから、「ヨウジ」の服にも惹かれたのでしょう。
ヨウジが持っている女性へのヴィジョン、強い女性への思いは、私にも通じるものがあります。
妻が昔買った「Y’s」のレザーのコートを最近見つけまして、これが気に入ったので、今シーズン、着るつもりです。
古び具合もちょうどいいんです。
「ヨウジ」の服はタイムレスです。
妻に「ヨウジ」の服を買う時、ぜいたくだなあ、と思ったものですが、「ヨウジ」の服は何年にもわたって着続けられるもので、ワードローブの重要な要素になるんです。

編集部

”タイムレス” ”動き” ”人が着ることによって完成する”、このあたりがキーワードですか?

テリー・ジョーンズ

ヨウジの服について語る時に、どこから始めていいのやら、よくわからない部分があります。
彼のシグニチャーは特別ですが、ヨウジの服に人が見るものは、テクスチャーや動きや様々なものが一体になったものです。
秘密は、その秘密が本当はどんなものなのかを知らないところにあるのではないかと思うのです。

 

ヨウジの服は知的な女性に愛されています

ヨウジヤマモト443 1999年秋冬カタログシャツとスカート ヨウジヤマモト 1999年秋冬
「Yohji Yamamoto V&A」より

 

  • 白い綿のシャツ
    革のストラップ締めの黒いギャバジンのプリーツスカート

    ヨウジヤマモト
    1999年秋冬
    モデル:Laura McDaniel
    撮影:クレイグ・マクディーン

編集部

問答めいてきましたが。

テリー・ジョーンズ

いや、これは大事なことなんですよ。
ヨウジの服を分解しきることや解剖することはできないんです。
ヨウジが彼の服のいちばん奥に閉じ込めているものは秘密で、それがマジックをもたらすのです。

編集部

その秘密は、耀司さん自身にもどんなものかわからないものだったりしませんか?

テリー・ジョーンズ

それがあらゆるアートの本質なのです。
完璧なものではないのです。
完璧ではないものがより人間的なものとなり、そういうものがデザイナーから出てくるとヨウジの服になるんです。

編集部

理解するには知性がいりそうな服ですね。

テリー・ジョーンズ

ヨウジの服は知的な女性に愛されていますよ。
それが強みでもあります。
自分自身をよく知っていて、服によって個性を強調できる人が、ヨウジの服を着るのです。
服で個性があるふりをするのとは違います。

編集部

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)での「ヨウジヤマモト」展は楽しみですか?

テリー・ジョーンズ

ヨウジ自身がどういう展覧会にしようとしているのか、どんな展覧会なのかについて、まだよく知らないんです。
でも、ヨウジは今まで、服を面白いコンテクストの中に置いてきました。
これまでの「ヨウジ」展、たとえばアントワープやフィレンツェのものでは、コレクションによってシチュエーションを作り出し、大変面白い環境の中で展示していました。
V&Aでヨウジがどんなふうに見せるのか、楽しみです。
それに、「ヨウジ」展を見ることは誰にとってもすばらしい学習の場になると思います。
私自身も、ヨウジからいろいろなことを学んでいます。

編集部

「i-D」と「ヨウジヤマモト」で、なにか今後計画はありますか?

テリー・ジョーンズ

2月発売の号でヨウジに関するページを作ります。
ヨウジとの対話というかたちです。
ただ、ヨウジはそろそろコレクションのことで頭がいっぱいになっていそうなので、今ある以上のものが出てくるかどうか、わかりませんが(笑)。

文:正岡雅子

テリー・ジョーンズが山本耀司を語る 第1回を読む

 

「クリエイターが山本耀司を語る」は、以下も参考にしてください。