La Pensee ヨウジヤマモトのコレクション音楽

1987年に発売された「ラ・パンセ」というレコードがあります。
ヨウジヤマモトのコレクション音楽のレコードです。

 

ラ・パンセ

ヨウジヤマモト15 ラ・パンセ「ラ・パンセ」のジャケット

 

「ラ・パンセ」は、高橋幸宏と山本耀司名義のレコードです。

作曲は全て、高橋幸宏です。

 

収録曲

  1. Parfum de l’aube
    (序章ー夜明けの香り)
    〈Autumn-Winter 87-88 Paris〉
  2. M’emoires d’un homme
    (回想ー男)
    〈Autumn-Winter 87-88 Pour Homme Paris〉
  3. M’emoires d’une femme
    (回想ー女)
    〈Spring-Summer 87 Paris,Tokyo〉
  4. Brise
    (微風)
    〈Spring-Summer 87 Paris,Tokyo〉
  5. Entracte
    (休憩)
    〈Spring-Summer 87 Pour Homme Paris〉
  6. Parano-mania
    (パラノマニア)
    〈Spring-Summer 87 未使用〉
  7. Voyage a travers le “futur-proche”
    (近未来紀行)
    〈Autumn-Winter 87-88 未使用〉
  8. les filles qui arrivent de la Chine
    (中国から来た娘達)
    〈Spring-Summer 87 Paris,Tokyo〉
  9. OLD STEP
    (旧ステップ)
    〈Spring-Summer 87 Paris,Tokyo〉
  10. Professeur “Fate”
    (フェート教授)
    〈Spring-Summer 87 Pour Homme Paris〉
  11. Bondissement
    (跳梁)
    〈Spring-Summer 87 Pour Homme Paris〉
  12. Errance
    (彷徨)
    〈Spring-Summer 87 Pour Homme Paris〉

収録曲は、全12曲です。

 

山本耀司と高橋幸宏の対談 

ヨウジヤマモト16 ラ・パンセ 山本耀司「ラ・パンセ」より山本耀司
珍しくネクタイをしています

 

「ラ・パンセ」は、2009年にポニーキャニオンからCDとして再販されました。

このブックレットに、山本耀司と高橋幸宏の対談が載っています。

内容が面白いので前半部分を、以下に引用します。

高橋幸宏

僕と耀司さんが、お互いに存在を意識しだしたのは、’75、’76年頃からですよね。

山本耀司

そのあたりかナ。
僕がY’sを作ってまもない頃だから・・・。
でも、お互いに実際に会うのはさけていたけど・・・。

高橋幸宏

僕の姉が、やはりファッション関係の仕事をしていて、僕も手伝っていた。
で、その姉のダンナ様、つまり僕の義理の兄が耀司サンと同級生だったわけで・・・。

山本耀司

そうそう。

高橋幸宏

僕がデザインした服を買っていったこともありましたよね。

山本耀司

そう。
自分で着るための服を探していて、偶然にも買ってしまったりして・・・。

高橋幸宏

それでも直接会うことは、それからもしばらくなくて、僕はファッション雑誌のインタビューを読んで、耀司さんがどんな人なのか想像したりしていた。

山本耀司

違う分野だけど、気になる人っているよね。
でも、たいていの場合は、直接会うよりも遠くで見ている方が素敵だったりする。
幸宏と僕も、最初はそうだった。

高橋幸宏

ところが実際にあってみると、耀司さんは想像してたのと、何一つ違いがなかったりしてね。

山本耀司

そう、なかった。
生意気だからカワイイ・・・、みたいなところもね。
音楽についても大好きだったよ。
ショーの音楽探してる時、レコード店でYMOが流れていて、本当に凄いと思ったんだ。

高橋幸宏

でも、使うわけにはいかなかったんでしょ?

山本耀司

いや、僕は使おうと思ったんだ。
でも、他のスタッフが「これは売れすぎている」っていう理由で、実現することはできなかったけど・・・。
YMOってとても無国籍的で、いかにもTOKYO的。
僕の世代の情念には何も食い込んでこない、架空っぽくて、軽いドラッグを飲まされたような気持ち良さがあったね。
クラフトワークと共に新しい音って思えたよ。

高橋幸宏

直接的なことを言ってしまえば、情念とは言わないまでも、叙情に食い込んでくるようなことを、耀司さんのショーではやってしまっていると思う。
そこが新しい。
ファッション・ショーっていうのは、より幾何学的なものをやれば合うし、楽だったりする。
エリック・サティにせよ、ラベルやドビュッシーにせよ、オートクチュールのショーじゃないようにあしらってみれば、とても合う。
だからクラフトワークが合うのは当然。
YMOはちょっとポップすぎだけど。

山本耀司

でもポップの土壌なんてないと思ってた日本から、YMOは出て来た。

高橋幸宏

そういう言い方もできる。

山本耀司

実は僕はアメリカのポップ・アートっていうのが嫌いで、変にコンセプチュアルなところから、アートなんてこんなものかって、ずーっと思ってた。

高橋幸宏

そこが耀司さんのおもしろいところ。
いかにもアーティスティックなイメージがある人と思えるのに、実はいい加減にやってる風に見せるのが好き。
冗談をやりたがるし、コンセプチュアルになりたがらない。
実にあいまいで、ところが、そのあいまいなものぐらい深いコンセプトはないっていう部分があったりする。

1987年4月16日

「ラ・パンセ」ブックレットp2-3より引用

 

私と山本耀司との出会い

ヨウジヤマモト17 ラ・パンセ「ラ・パンセ」裏ジャケット

 

1987年に雑誌の「ポパイ」で、「ヨウジヤマモトプールオム」が特集されていました。

山本耀司のインタビューと、ヨウジヤマモトプールオムを着たモデルの写真が載っていました。

私はこのとき初めて、山本耀司というファッションデザイナーを意識した気がします。

ヨウジヤマモトプールオムの、1987年秋冬コレクションだったと思います。

  • 1人のモデルは、全身真黒のセットアップを着用していました。
  • もう1人のモデルは、怪獣柄のセーターを着ていました。

ヨウジヤマモトプールオムは、カッコいいけれど面白さが伝わってきました。

この特集を見た瞬間、私はファッションデザイナーになりたいと思いました。

渋谷西武B館1階のヨウジヤマモトプールオムを遠巻きに見ては、「かっこいいな」と思っていましたが、私は怖くて店に入れませんでした。

ポパイの特集を見て、「このおじさんが、あのかっこいい服を作っていたのか」と納得しました。

この同じ号の「ポパイ」後半には 、高橋幸宏のインタビューが載っていました。

そのときの「ポパイ」を、私はもう一度見たいです。

私は「ラ・パンセ」を聴くたびに、今でも恥ずかしさと一緒に初心を思い出します。