山本耀司インタビュー by 佐山一郎 第1回

「デザインと人」という本には、山本耀司の古いインタビューが載っています。
インタビュアーは、佐山一郎です。

 

デザインと人

デザインと人 25 interviews by 佐山一郎02「デザインと人 25 interviews by 佐山一郎」表紙

 

最初に山本耀司のインタビューが載っている、「デザインと人 25 interviews by 佐山一郎」という本を紹介します。

デザインと人 25 interviews by 佐山一郎

  • 著者:佐山一郎
  • 装幀:坂川栄治(坂川事務所)
  • 発行:株式会社マーブルトロン
  • 発売:株式会社中央公論新社
  • 2007年7月30日初版発行
  • ISBN978-4-12-390166-6

著者の佐山一郎は1953年生まれの、

  • 作家
  • 編集者

です。

山本耀司のインタビューは、2000年6月13日に行われました。

それでは山本耀司のインタビューを、数回に分けて引用します。

 

全員同じような養老院に行くのかな

ヨウジヤマモト391 1995年秋冬カタログジャケット ヨウジヤマモト 1995年秋冬
「Yohji Yamamoto」より
ISBN2-84323-704-1

 

  • ウエストがフィットしたキモノスリーブのジャケット
    ヨウジヤマモト
    1995年秋冬
    まだら織りの黒いウールのジャケット
    黒いタフタのスカート

    撮影:Alfredo Albertone

佐山一郎

いま現在、ヨウジヤマモトを扱う小売店が世界中に200くらい、直営ブティックが20程と聞きます。
刻々と動くであろうビジネス上の数字は常に把握しているのですか。

山本耀司

そうですね。
ユーザーの空気みたいなものを肌で感じておかないと、モノは作れないですね。
ヨーロッパ、アメリカの場合はほとんどが契約デザイナー。
我々みたいな〈オーナーデザイナー〉というかたちは少ないんです。

佐山一郎

頭の中に重要顧客リストの意識はあるのですか。

山本耀司

それはないですね。
あるとすれば重要なバイヤーです。
バイヤーというのは、コレクションをいくつか見て、シーズンの全体傾向を自分でまとめて、このデザイナーからは、こういうものをいくらぐらい買おうと組み立てる仕事です。
ただ、パリ・コレ(クション)で面白いのは、1981-82年のデビューの頃からいま現在まで主要なジャーナリスト、バイヤーが変わっていないんです。
ということは、このままデザイナーもジャーナリストもバイヤーも全員同じような養老院に行くのかな、と(笑)。

 

勘の悪いデザインになる

ヨウジヤマモト392 1996年秋冬カタログニットコート ヨウジヤマモト 1996年秋冬
「Yohji Yamamoto」より

 

  • まだら効果のニットコート
    ヨウジヤマモト
    1996年秋冬
    ”イタリア版ヴォーグ”

    撮影:パオロ・ロベルシ

佐山一郎

コンサバティブな現在ということではどうなのでしょう。

山本耀司

僕が仕事してきた中で、いまが流行的にはいちばんコンサバですね。
世界中の街を歩いても同じことが言えます。
日本の無階級社会のなかで階級に憧れている感じが凄くしますね。

佐山一郎

初期の70年代後半に、半年周期のコレクションに異議申し立てをされて、参加しなかったことがありますね。

山本耀司

ありましたよ。
1回だけ。
1回の経験で充分でした。
この業界だけは、先にスケージュールありきの業界ですからね。
半年飛ばすと、ボケちゃうんですよ。
変化する毎日毎日を一緒にモノを創りながら体感しておかないと、勘の悪いデザインになる。

 

流行の何割かは分量が握っている

ヨウジヤマモト393 1997年春夏カタログコートドレス ヨウジヤマモト 1997年春夏
「Yohji Yamamoto」より

 

  • 黒いシルクサテンのダブルブレストのコートドレス
    ヨウジヤマモト
    1997年春夏
    中に黄色いシルクサテンのブラドレス

    撮影:サラ・ムーン

佐山一郎

コンピュータはどう使っていますか。

山本耀司

何が売れたかという在庫の管理ですね。
型紙作るのに使うこともゆくゆくはあるんじゃないですか。
下手にオリジナル創るよりは間違いがないし、流行の〈分量〉なんかも全部整理してやれるんで。
ただ、個性は出せない。
特にいまの服は大袈裟な分量がなくてこぢんまりしていますから。
よく例に引いたんですけど、アメリカのクルマのキャデラックがいちばん盛んだった頃は、あの大きさが良かったわけでしょ。

佐山一郎

いま売られているセビルにしろドゥビルにしろ、4.6リッターで、相変わらずラグジュアリー。
でも、たしかに小さくなってからは別物のように見えます。

山本耀司

あれをグレーディングして小さくしたらキャデラックじゃなくなっちゃう。
それと一緒で、色彩感覚も切り離せないですけど、やっぱり流行の何割かは〈分量〉が握っている。
流行の感覚がいいというのはそういう分量の問題でもあるわけだから。

2000年の山本耀司のインタビューは、内容がとても良いです。

インタビュアーの佐山一郎の力量もあるでしょうが、山本耀司が真剣に話しているのがわかります。

ところで、山本耀司の言葉の中にファッション界の問題点が見えます。

その問題点とは、ファッション界の高齢化です。

老人が仕切っているファッションに、若者が興味を持つはずはありません。

さらに現在のファッション界には、老害が蔓延しています。

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