アズディン・アライアが山本耀司を語る 最終回

「アズディン・アライアが山本耀司を語る」も、今回が最終回になりました。
アズディン・アライアが、お金や友情について語ります。

 

そういうお金の使い方はしない

ヨウジヤマモト419山本耀司からアズディン・アライアへの手紙
「All About Yohji Yamamoto」より

 ISBN978-4-579-30446-2

 

アズディン・アライアのインタビューを、「All About Yohji Yamamoto」より引用します。

編集部

あなたもいわゆる従来の形のオートクチュールはしたくないのですか。

アズディン・アライア

したくない。
自分の顧客の注文に応じて服を仕立てるということはするけれど。
ほんとうのオートクチュールの客層というのはそんなに広いものじゃないし、世界中に200人ぐらいのものなんだから。
世界中でたった200人ぐらいのお客さんたちがいったい何を注文してくれると思う?

私にも金持ちの顧客はいるけれど、それでも2,3着買ってくれるだけなんですよ。

今存在しているオートクチュールのメゾンというのは、化粧品とか香水とかもやっている非常に大きな会社が主で、オートクチュール部門で利益を出しているわけじゃない。
要するに広告の一部としてやっているんじゃないかな。
縫い子が2ヶ月半もかけて作る従来のオートクチュールは、値段がものすごく高くなるというのはあたりまえで、自分はとてもそういう値段をお客さんに伝えることはできない。
もし僕がお金持ちであっても、そういうお金の使い方はしないと思う。
社会のためになるようなことに寄付したほうがいいし、あるいは自分の気に入った絵を買うとか、そういうふうなお金のつかい方をする。
お金があったら日本に行って、すごくすてきな旅館で遊びたい放題遊んで、お金をつかったほうがいいんじゃないかとさえ思うよ(笑)。

僕は借金をするのが大好きで、どんどんお金を借りる。
そうしないと創作意欲というか、働く気が全然しない。
わざと高いものを買って、自分自身で「ああどうしよう、どうしよう」って、お金がなくて、仕事しないと払えないっていう状態に持っていく。
といってもむやみにお金をつかうんじゃないよ。
ほんとうに気に入った絵を買うとか、彫刻を買うとか、そういうつかい方をするんだけれどね。

 

親友なんだから

ヨウジヤマモト420 1983年春夏カタログチュニック ヨウジヤマモト 1983年春夏
「Yohji Yamamoto V&A」より

ISBN978-1-85177-627-6

 

  • 痛めた白い綿のチュニック
    意図的に穴をあけたパンツ
    ヨウジヤマモト
    1983年春夏

編集部

いつも耀司氏のファッションショーの時には最前列にいらっしゃいますね。

アズディン・アライア

たとえ外国にいても、ヨウジとレイのショーには絶対に駆けつける。
友達、親友なんだから。
それに、彼らの作るものが非常に好きだし、(それを見ることは)自分の喜びでもあるわけです。
ヨウジにとっても、友達が来てくれるというのはうれしいだろうし。
もう一つはヨウジは今日本に住んでいて、なかなか会う機会がない。
ファッションショーは自分と彼が会うチャンスであるわけですから、逃すわけにはいかない。
でなければ、彼がパリでショーをやったことは知っていて、知っていながら結局会わなかったことになってしまうんですよ。
友情というのは育てていかなきゃいけないものだし、育てていってこそ友情と言えるんじゃないでしょうか。

編集部

耀司氏は今秋からパリに住むと聞いていますが。

アズディン・アライア

それはいい。
いろいろと会う機会も増えるだろうし、一緒に夕食をとることもできるんじゃないかな。

 

人生は仕事だけじゃない

ヨウジヤマモト421 2007年秋冬カタログジャケットとスカート ヨウジヤマモト 2007年秋冬
「Yohji Yamamoto V&A」より

 

  • 黒い絹のジャケット
    ポルカドットのスカート
    ヨウジヤマモト
    2007年秋冬
    ” W magazine ” 2007年6月号
    撮影:クレイグ・マクディーン

編集部

この連載で、耀司氏を巡るQ&Aをテーマにしたときに、おもしろい答えがありました。
「Q.自分にとって、最もとっぴなことは何ですか。A.再婚」

アズディン・アライア

もしも君がほんとうに結婚することになったとしたら、結婚式には日本まで飛んでいくから、早く結婚を決心しなよ!
一晩中歌って騒ごう!

編集部

最後に、耀司氏へのメッセージを。

アズディン・アライア

”クチュール”はやっても、”オートクチュール”はしないほうがいい。
クチュールのほうはちゃんとやっていかなければならない。
というのは、君はクチュールでも非常に重要な人間なんだから。
非常にいい服を作るんだから、オートクチュールまでやって、自分の生活が侵されるようなことはやらなくていいんじゃないかな。
オートクチュールはお金もかかるし、またそういうことで心配事も増えるし、それを解決していかなきゃいけないし。
人生は仕事だけじゃない。
歌って踊って楽しくやっていこうよ。

あと一つ、ヨウジと自分の違いでとても大事なことは、ヨウジは決して人の悪口を言わない。
僕は彼が人の悪口を言っているのを聞いたことがない。
でも僕は、時々欲求不満を爆発させるけど(笑)。

インタビュー:Misako Tamagawa

装苑1997年10月号

アズディン・アライアが山本耀司を語る 第3回を読む

 

アズディン・アライアについては、以下も参考にしてください。

「クリエイターが山本耀司を語る」は、以下も参考にしてください。