アズディン・アライアが山本耀司を語る 第3回

アズディン・アライアの「我が道を行く」ような服作りの環境に、私は憧れます。
アズディン・アライアが、山本耀司とオートクチュールを語ります。

 

ヨウジのオートクチュールの扱い方

アズディン・アライア15アズディン・アライアと愛犬
「All About Yohji Yamamoto」より

 ISBN978-4-579-30446-2

 

アズディン・アライアのインタビューを、「All About Yohji Yamamoto」より引用します。

編集部

耀司氏はここ2シーズン、オートクチュールをテーマに作品を見せましたが、それについてはいかがですか。

アズディン・アライア

彼が前回、オートクチュール風に服を解釈したあのやり方は、僕はとても気に入っている。
彼の独特のやり方でやったんだけど、そういうのがまたモードを先に進めていく先導力になる。
ヨウジのオートクチュールの扱い方は、現代に合った非常にモダンなものなのです。
今までのオートクチュールというのは時代に合わない、古くなってしまったもの。
伝統的なオートクチュールの仕組みの部分において、つまりテクニックだとか今までの積重ねだとか、そういう意味ではおもしろいものもある。
うまく指揮をとって作られた服というのはフランス式なエレガンスがあり、優れたものです。
ちょっと古臭くなっているかもしれないけれど、興味深くもあるし、それを続けることによってまたその中から新しい何かが生まれてくる可能性がある。
だからヨウジはそれをやりはじめたんです。
オートクチュールの優れた部分を研究することによって、何か新しい形のオートクチュールができるんじゃないかと。
彼のプレタポルテは非常によくできているし、コンセプトもいいし、もちろん使われている生地の質も高いわけだし、最後まで非常に気をつけて作られているもので、もうプレタポルテという言葉では言い表わせない・・・・・。
その人に合わせて作られたからといってそれが最高だとはかぎらないし、工業生産的に作ったものでも、今は非常に高度で作りのいいものがたくさんある。
例えばシルクをたくさん使ってドレスを作っても、手間がかかるし、旅行に持っていくにも合理的ではない。
極端に言えば、ドレス一つのために衣装入れが一ついるということになる。
そういう古いタイプの仕立てのドレスを所有したいと思ったら、非常にお金や労力がかかるんです。
ヨウジが解釈したテーラードの服は伝統的なシルエットの中に現代性があり、実生活に合うように作られています。

 

お互いに嫉妬心もないし

ヨウジヤマモト414 1999年秋冬カタログドレス ヨウジヤマモト 1999年秋冬
「Yohji Yamamoto V&A」より
ISBN978-1-85177-627-6

 

  • 赤いベルベットの帽子と黒いウールのドレス
    ヨウジヤマモト
    1999年秋冬
    モデル:Laura McDaniel
    撮影:クレイグ・マクディーン

編集部

ご自分ではオートクチュールはなさらないのですか。

アズディン・アライア

コレクションとしては発表しませんが、自分のメゾンではやっているんですよ。
今はそういうものが自分にも作れるんだということがわかったのです。
プレタポルテはある種のスタンダードな体型の人のために作られたものなので、どうしても合わない人がいる。
お金のある人たちは、場合によってはやっぱり自分自身の体にぴったりとフィットしたものを欲しがるものです。
僕のところも、ブティック置いてある服ではなく、自分だけのために服を仕立ててほしいという女性が前に比べてずいぶん増えてきたようです。
とても高いものになりますが。
自分たちがやっているような形での”オートクチュール”はいいことだと思う。
通りすがりの人が「こういうのを作りたいわ」と言ってきて、それを作ってあげる。
金持ちの人が僕のところとヨウジのところでたくさん注文してくれるといいんだけどね。
どっちにしてもお互いに嫉妬心もないし。

 

オートクチュールの域に達している

ヨウジヤマモト415 1999年秋冬カタログドレス ヨウジヤマモト 1999年秋冬
「Yohji Yamamoto V&A」より

 

  • 赤いベルベットの帽子と黒いウールのドレス
    ヨウジヤマモト
    1999年秋冬
    モデル:Laura McDaniel
    撮影:クレイグ・マクディーン

編集部

耀司氏にオートクチュールをしてもらいたいですか。

アズディン・アライア

オートクチュールのメゾンをヨウジがつくるらしい、と聞いていたけれど、彼のやっているプレタポルテは、もうそれだけですでにオートクチュールの域に達しているんじゃないかな。
彼も僕と同じように、プレタポルテのかたわらでオートクチュールのような服を特別に作るのはいいことだと思うけれど、オートクチュールだけをするということは、ヨウジに関しては僕はとても考えにくい。
ヨウジもレイも、自分でそれをするということはちょっと考えられないな。

インタビュー:Misako Tamagawa

装苑1997年10月号

アズディン・アライアが山本耀司を語る 第2回を読む

アズディン・アライアが山本耀司を語る 最終回を読む

 

アズディン・アライアについては、以下も参考にしてください。

「クリエイターが山本耀司を語る」は、以下も参考にしてください。