アズディン・アライアが山本耀司を語る 第2回

アズディン・アライアは、ファッションデザイナーにとって大事なことを語っています。
さすが、アズディン・アライアです。

 

ヨウジみたいな人は非常にまれです

アズディン・アライア14 飼っている犬

アズディン・アライアが飼っている犬たち
「All About Yohji Yamamoto」より
 ISBN978-4-579-30446-2

 

アズディン・アライアのインタビューを、「All About Yohji Yamamoto」より引用します。

編集部

お二人はどんな感じの間柄なんですか。

アズディン・アライア

彼は友人であるし同僚でもあるんだけれど、こういう関係はすごく珍しい。
この業界ではデザイナー同士が非常に強い友情で結ばれるっていうのは珍しいこと。
ヨウジにもっとしばしば会えればとても幸せなんだけれど、彼は日本に住んでいるし、僕はパリに住んでいるからなかなか会う機会がない。
僕はヨウジに対してはもちろん、ほかのデザイナーに対してもライバル意識はない。
モードのエスプリで、私が好きだと思うものを持っているデザイナーに対して、私が敬意を表すことがあっても全然おかしいことではないでしょう。
それがたとえ私と違うエスプリであっても。
ヨウジはカッティングのこともよく知っているし、プロポーションやボリュームのことも非常によく心得ている。
ボタン一つに至るまで、モードのことを極めてよく知っている。
デザイナーの中で、彼みたいな人は非常にまれです。
実はスティリスト(デザイナーと同じ意味)には2種類あって、ほんとうのスティリストは自分で何でもやれるものなんです。
デッサンだけでなく、自分でクリエートしてカッティングまでもできる人。
一方では、周囲にいろいろな仕事をしてくれる人がいなければ仕事ができない人もいます。
ヨウジはそういう助けを必要とせず、カッティングも縫製も自分でできる人なのです。

 

ユーモアのないデザイナーというのはおもしろくない

ヨウジヤマモト411 1998年春夏カタログドレス ヨウジヤマモト 1998年春夏
「Yohji Yamamoto V&A」より

ISBN978-1-85177-627-6

 

  • 黒いシルクのドレス
    ヨウジヤマモト
    1998年春夏
    モデル:マギー・リザー
    撮影:イネス・ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・マタディン

アズディン・アライア

その上、彼は音楽を余技としてではなく、プロとしてやっている。
彼が歌うのは大好き。
私も踊るし、歌も歌うんですよ。
そういうことは非常にいいことだと思う。
デザイナーにとってそういうことは非常に大切なことなんじゃないかな。
ユーモアのないデザイナーというのはおもしろくない。
まあユーモアがなくても、ちょっとしたデザイナーにはなれるかもしれないけど、そういう人の人生、生活なんて考えたらとてもやっていけないね。
ユーモアがないと、デザイナーとしては優れていても非常に退屈な人になってしまうんじゃないかと思う。
ヴィヴィアン・ウエストウッドとかジョン・ガリアーノなどもユーモアがあるね。

ヨウジは、服飾の歴史の中に残る人なんだ。
彼は新しいものをモードにもたらした。
その新しさとは、要するに服に対するコンセプトがほかの人たちと違うこと。
彼のモードの見方、すなわち彼の視点が僕は好き。
彼の作るヨーロッパのモードを見ると、ほかの人たちよりももっと深くファッションのことを理解していることがわかる。

僕は逆に、日本のきものなどにも興味を持っているんだよ。
色もそうだけど、布地自体のクオリティなどにも非常に得るべきものがたくさんある。
巻いて重ねていくきものの着付けは、洗練の極み。
あんな美しいものをどうして日本人は着ないのかな。

 

伝統の服からたくさんのことを学ぶことができる

ヨウジヤマモト412 1998年春夏カタログドレス ヨウジヤマモト 1998年春夏
「Yohji Yamamoto V&A」より

 

  • 白いシルクのドレス
    ヨウジヤマモト
    1998年春夏
    モデル:マギー・リザー
    撮影:イネス・ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・マタディン

編集部

あまり実用的じゃないからではないでしょうか。

アズディン・アライア

僕はチュニジアの出身で民族衣装を見ながら育ったわけだけれども、それと同じ。
大きくて長い袖の服は、袖の上部と首の後ろにボタンがつけてあって、折り曲げて着る。
母が袖を後ろに回しているとき、よく脇のほうから手を入れて母の胸を触ったり。
すごく早熟だったからね。
母たちが着てたものも、きものと同じように非常にいいコンセプトで作られたものだった。

結論から言えば、すべての国の伝統的な服はどれも美しい。
アフリカでもアジアでも伝統の服から非常にたくさんのことを学ぶことができる。
アフリカに行ったときに見たセレモニーの服は、一見非常に複雑な服のように見えるけれども、種を明かせば単に布をまとっただけであり、色のミックス、色彩感覚でそういう(凝った)印象を与えているわけ・・・・・。
アフリカの人たちには優れた視覚的センスがあり、宝石に見える装飾品が実はガラス玉だったり・・・・・。
彼らの服の着方のうまさには驚くばかりですよ。

インタビュー:Misako Tamagawa

装苑1997年10月号

アズディン・アライアが山本耀司を語る 第1回を読む

アズディン・アライアが山本耀司を語る 第3回を読む

 

アズディン・アライアについては、以下も参考にしてください。

「クリエイターが山本耀司を語る」は、以下も参考にしてください。