山本耀司の逆境と挑戦 第6回

山本耀司は今回、made in Chinaの可能性について語ります。
このインタビューの後、ヨウジヤマモトに中国製の製品が大手を振って入ってきたのでした。

 

会社が一度ブッ潰れたから、余計有名になった

山本耀司347 インタビュー山本耀司 Photo : Jean-Marie Perier 1993年
「Yohji Yamamoto」より
ISBN2-84323-704-1

 

  • LIBERTINES
    太田出版
    ISBN978-4-7783-1217-6

山本耀司へのインタビューは、2010年4月に行われました。

  • 文 :管付雅信

それでは、以下に引用します。

管付雅信

ヨウジヤマモトというブランドは、もはや山本さんがデザインするうんぬんという段階ではなく、日本をリプレゼントする存在だと思います。

山本耀司

友達のヴィム・ヴェンダースから「お前の名前はもう神話になってるから」と15年ぐらい前に言われたんですよ。
そのときは「大げさだな」と自分では言いましたけど。
今、ロンドンのV&Aミュージアムで大展覧会を頼まれたり、ベルギーの出版社が年内に僕の本を出したいと突然言い出したり、いろんなことが急激に起こっているんです。
会社が一度ブッ潰れたから、余計有名になっちゃったんですね(笑)。
今のうちに山本耀司について研究しとこうと、いろんなプロジェクトが動き出しているんです。
僕としては、生きているんだから回顧展や本なんかやめてくれよと、あまり嬉しくないんですが。
今僕がやりたいことは、若い奴に伝えていくことです。
服作りの深い。デリケートな技術的な部分を若い世代に伝えていきたいなと。
だから、小さな学校や塾をやろうかと考えています。

管付雅信

ショウを見て思ったんですが、服には人の気持ちを上げる力があるなと、改めて思いました。

山本耀司

あるでしょう。
ファイン・アートと比べても遜色のないパワーがありますよ。
あるはずなんです。
でも一般のファッション・マーケットがそれをどれだけ重要視しているのか。
だから、服作りをしたいと思っている若い世代に、「僕は頑張っている。お前らも頑張れ」と伝えたい。
若い連中との接触を増やしたいと思っているんです。

 

日本人は世界でもっとも繊細な感覚を持ち、
日本には世界一の職人力がある

ヨウジヤマモト348 1985年春夏カタログジャングルプリントのロングドレス ヨウジヤマモト 1985年春夏
「Yohji Yamamoto」より

 

  • ジャングルプリントのロングドレス
    ヨウジヤマモト
    カタログ
    1985年春夏
    撮影:Max Vadakul

管付雅信

山本さんは服の新しい価値観を築いたと思うんです。
僕なりに言うと、貴族的、階級的表現としてのファッションとは違うエレガンスを世界にもたらしたんだと思うんです。
それは、もし山本さんが ”ぶっ倒れても”誰かが引き継がなければならないような、大きな価値観だと思います。

山本耀司

海外の若い奴から、僕の服はよく研究されているんですよ。
よく言うのは、日本人は世界でもっとも繊細な感覚を持っていて、世界一の職人力がある。
技術力はまだ圧倒的に日本にある。
繊維産業は繊細な日本人にもっとも向いているんですよ。
でも政府は繊維なんか気にも留めていない。
例えば、イタリアだと繊維は国策産業です。
99パーセント中国で作っても、最後の織りネームをつければメイド・イン・イタリーになるんです。
もちろんイタリアでしか織れない織物もあります。
ただしほとんど縫製は中国ですよ。
それをメイド・イン・イタリーと平気で売れる国策を大統領命令で出しているんです。
そういう国と繊維で競争しようと言っても、今の状況では勝てません。

管付雅信

そういう中でヨウジヤマモトの勝ち目とは、どういう風にお考えですか?

山本耀司

made in Japanはどうしてもたくさん作れませんので、たくさん作るならmade by Japan。
親しいバイヤーに、質問しました。
「俺の服がmade in Chinaだったらどうする?お前のところのお客さんはどうする?」と。
すると「今はもう大丈夫だと思う」との答えだったんです。
だから、僕の服も中国製を一部はやろうかなと思っています。
あとは、中国で売ることも考えています。
僕の服はいろんな服を経験した後にいきつく最後の服でありたいから。
まずはファッションはコンサバから入るでしょう。
それからそのときどきの流行を経験して、それで「何か足りない、何か違う」と思った人に着てもらいたい服。
僕の服は最後に着る服だと思っています。

ヨウジヤマモトのカッコ良さのひとつが、私は素材のシャリ感だと思っています。

ウールギャバジンでもニットでも、ヨウジヤマモトの素材にはシャリ感があると私は思っています。

このヨウジヤマモトの素材感が、とてもカッコ良いわけです。

しかしヨウジヤマモトの中国製のニットには、このシャリ感がありません。

風合いは人の好みなので中国製のニットがあっても良いのですが、日本製のシャリ感があるニットも出してほしいものです。

ヨウジさんには、日本の「ヨウジヤマモトを着ている人たち」の意見も聞いてほしいです。

山本耀司の逆境と挑戦 第5回を読む

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