アクセサリー 山本耀司のファッション進化論

今回の山本耀司のファッション進化論は、アクセサリーです。
山本耀司は、アクセサリーが嫌いだったのでしょうか。

 

アクセサリー

ヨウジヤマモト121 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

アクセサリーを引用します。

編集部

耀司さんは、基本的にアクセサリーが嫌いなんですよね。

山本耀司

わからないんです。
つけると邪魔。
首や腕に、よくあんなものつけていられるな、と思う。
素朴ですけど。

編集部

金とか宝石とか、きれいと思わない?

山本耀司

別に思わない。
ヨーロッパの宝飾品を見ると、略奪した民族が文化遺産をもてあそんでいるような気がする。
金がきれいというのは、きらきら光っているからだけではなくて、資産価値があるからでしょう。
世界の経済の根っこのエッセンスを金に決めた。
真珠も嫌いです。
貝を割って、中から形のいいものを選んで、ゆがんだのはだめなんて、ひどい。

 

アクセサリーはジョーク

ヨウジヤマモト122 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

編集部

でもね、そういうアクセサリーをつけるのは、少しでもきれいに見せたいという女心なの。

山本耀司

見せびらかしたり、見てくれを大事にするのは、プリミティブには、かわいい。
でもアクセサリーの意味が露骨なのはいやだな。
守る、代弁させる、何かをかばう、あるいは誰かの思い出のものをつける。

編集部

無意味なほうがいい?

山本耀司

ええ、アクセサリーで好きなのは、ふざけてるやつ。
アハハって笑えるやつ。
僕にとってアクセサリーは、ジョーク、ふざけるしかないというポジション。
まじになったら、だめだと思う。
マークのなんか、好きだなあ。

編集部

なんですか、それ?

山本耀司

パリのスタッフにマークって男がいて、おもちゃみたいなバッジつけたりしている。
おかしい。

編集部

この赤いピンは?

山本耀司

布を巻いて作ったばら。
レジヨン・ドヌールのもじりです。
受章した人が、ふだん本物の代わりにつける代理勲章を、冗談で。

 

服そのものがアクセサリー

ヨウジヤマモト123 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

編集部

ドレスのは?

山本耀司

スカーフのお化け。
服もつきつめれば、アクセサリーと同じ。

編集部

服そのものがアクセサリー。
みんながソワレを着ている場合でも、ヨウジヤマモトの服を着ていれば、宝石をつけなくても失礼にならない。
それで、ヨーロッパの女性たちに感謝されているんですって?

山本耀司

感覚的な人たちのパーティーで認められてきたというところでしょう。
これが私のスタイルです、と全身で言っているわけですから。

 

必要なのは訓練と気合

ヨウジヤマモト125 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

編集部

でも、何かつけたい、飾りたいというのは、本能的な欲求だと思うのよね。

山本耀司

野蛮な証拠です。
エスニックのアクセサリーは、野蛮だからかっこいい。
文明化すればするほど、洗練されればされるほど、アクセサリーはいらなくなる。
無飾りになるんじゃないか。

編集部

アートっぽいのも、野蛮?

山本耀司

それ、嫌い。
アートなんて。
モダンカットの、幾何学的な大きなイヤリングつけてるような人には近づかないもの。
まず、はずしてから話しましょうって感じ。
社員だったら、とても企画を任せられない。

編集部

ジョークでつければ許せる。

山本耀司

アクセサリー自体にもしゃれっ気がないと。
本来価値のないものなんだという、賢さ、あきらめ、割切りがあって、その上で遊ぶ感覚が欲しい。

編集部

難しい!
指輪1個にも悩んじゃうわ。

山本耀司

洋服着て、スカーフかストール、最後にアクセサリー。
ちょん、と置くものは難しいんです。
逆に働いているとき、スタッフの女性が無造作に胸にとめた安全ピンが、すごくきれいに見えたりします。

編集部

どうしたら上手になれるかしら?

山本耀司

訓練も必要でしょう。
それから気合い。
洋服は着なければ未完成だけれど、アクセサリーは身につけなくても完成品になっている。
完成品と自分との闘いだから、気合が足りないと、ほとんどの場合、負けてしまう。

 

冗談のつもりが・・・

ヨウジヤマモト124 ニック・ナイトハイファッション「山本耀司のファッション進化論」より
写真:ニック・ナイト

 

編集部

真剣勝負より、楽しいほうがいいわ。
アクセサリー兼用の、この赤いボタンみたいに。

山本耀司

これは、服の斜めにした打合わせを強調するための遊び。

編集部

手に巻いているのは?

山本耀司

ウールギャバのアームカバー。
手袋も冗談のつもりが、意味ありげになって、まずいと思ってます。
ブラウスは、衿が飾りになっている。

編集部

完成品としてのアクセサリーを作る気は?

山本耀司

ありません。
銀のスプーンなんかきれいだと思うけれど、銀の厚み、重み、形につきあう時間がないし、山本耀司ここにあり、なんて、もうたくさん。
これ以上自分のエゴで他の分野を汚すのは、資源の浪費です。
生地を切り刻むだけでも浪費じゃないかと、むなしい気持ちになっているのに。

他の「山本耀司のファッション進化論」は、以下を参考にしてください。