西洋製のテキスタイルにあらわれた日本文様

「ファッションとアート 麗しき東西交流」展を観て、まとめたいと思ったことがたくさんありました。
西洋製のテキスタイルにあらわれた日本文様も、そのひとつでした。

 

柄やモチーフの模倣

舞踏会用ドレス ルフ02舞踏会用ドレス ルフ 1888年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より
ISBN978-4-89737-894-7

 

  • 舞踏会用ドレス
    ルフ
    フランス
    1888年ころ
    ペール・グリーンの絹サテンに銀糸とシークイン刺繍
    ツーピース・ドレス
    トレーン部分は金色の植物柄の絹ブロケード

異文化が受け入れられる時、柄やモチーフといった表面的な模倣が早い段階で起こります。

  • 斬新な自然描写

など日本に発想源を求めた柄やモチーフは、テキスタイル・デザインに新鮮な驚きを与えました。

リヨンの絹産業は、新しい技術とデザインを求めました。

そして当時流行したジャポニスムに影響を受けたデザインのテキスタイルを、数多く発表しました。

 

絹ブロケードに織り出された葉模様

金色の植物柄の絹ブロケードテキスタイル 1888年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • テキスタイル
    金色の植物柄の絹ブロケード
    フランス製

    1888年ころ

絹ブロケードに織り出された葉模様は、シダのようで日本的な植物への視線を感じさせます。

このモチーフは、リヨン織物装飾芸術博物館が所蔵している日本製テキスタイルと類似しています。

これを参考にして、リヨンで制作されたと思われます。

 

小花柄 絹カット・ベルベット

赤紫の小花柄絹カット・ベルベットテキスタイル 1883年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • テキスタイル
    赤紫の小花柄絹カット・ベルベット
    フランス製
    1883年ころ

織り出された花と蕾の模様は、小菊のようにも見えます。

ジャポニスムが広がっていたフランスでは、日本の菊は流行の花でした。

 

日本的な草花模様

日本的な草花模様を織り出したピンクの絹サテンテキスタイル 1895年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • テキスタイル
    日本的な草花模様を織り出したピンクの絹サテン
    フランス製
    1895年ころ

この布を使ったイブニング・ドレスは、「写真でみる1890年代のファッション」をご覧ください。

 

ベロー社のテキスタイル

アイボリーの絹サテン 花束柄テキスタイル 1889年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • テキスタイル
    アイボリーの絹サテン地にブロシェ、ランセ、リズレで織り出された昼顔と稲科植物の花束柄
    ベロー社(フランス、リヨン)製

    パターン・リピートはL49.5cm
    1889年ころ

西欧では、稲科植物が主役として登場することはありませんでした。

  • 昼顔の花と葉は、ブロシェ(broche)
  • 稲科植物は、ランセ(lance)とリズレ(lisere)

で表現されています。

ブロシェは、その紋様を織り出す緯糸(よこいと)がモチーフ内に限って使われます。

ランセは、織物の全幅に渡って緯糸が通されてモチーフ部分のみ表に現れて紋様が織り出されます。

リズレは、同じ緯糸が地にも紋様にも使われます。

 

菊柄の絹サテン・ダマスク

菊柄を織り出したグレーの絹サテン・ダマスクテキスタイル 19世紀末
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • テキスタイル
    菊柄を織り出したグレーの絹サテン・ダマスク
    フランス製

    パターン・リピートはL25.3×W19.7cm
    19世紀末

 

波柄の絹ダマスク

朱色の波柄を織り出した絹ダマスクテキスタイル 1912年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • テキスタイル
    朱色の波柄を織り出した絹ダマスク
    フランス製
    パターン・リターンはL34×W23.5cm
    1912年ころ

朱色の経糸(たていと)と灰色の緯糸で、波の渦が織り出されています。

波しぶきのハイライトには、銀糸のブロシェが用いられました。

波のモチーフは、日本的なものの典型の一つととらえられていました。

 

アンリ・ベルトラン社のテキスタイル

ピンクの絹サテン 菊花と萩の葉文様テキスタイル 1925年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • テキスタイル
    ピンクの絹サテン地に、黒絹糸・銀糸のリズレと金糸のブロシェによる菊花と萩の葉文様
    アンリ・ベルトラン社(フランス)製
    パターン・リピートはL100cm
    1925年ころ

アンリ・ベルトランは、1885年にリヨン近郊でアンリ・ベルトラン社を設立しました。

リヨンは、17世紀にはすでにヨーロッパの織物産業の中心地でした。

このテキスタイルに見られる、

  1. 細く長い花弁が乱れながら広がる大輪の菊
  2. 背後に配された別種の菊
  3. 帯状の萩の葉

は日本の伝統柄からの引用です。

 

ジャポニスムについては、以下も参考にしてください。