西洋の絵画に描かれたきもの

きものがパリモードに与えた影響を考えるとき、パリできものがどのように着られたのかを知る必要があります。
きものの着られ方を、絵画のなかに見ていきます。

 

ジャポニスムときもの

ジュール・ジョセフ・ルフェーヴル ジャポネーズ(扇のことば)02「ジャポネーズ(扇のことば)」 ジュール=ジョセフ・ルフェーヴル 1882年
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より
ISBN978-4-89737-894-7

 

  • 「ジャポネーズ(扇のことば)」
    ジュール=ジョセフ・ルフェーヴル
    フランス
    1882年
    油彩、カンヴァス
    H130.8×W90.2cm
    クライスラー美術館蔵

この作品は当時のフランス人の日本への憧れを、きもの姿の女性で象徴的に描いています。

  • 鮮やかな赤いきもの
  • 手にした扇

が、当時流行したジャポニスムをあらわしています。

ジャポニスムについて調べると、

  1. 平面的な構造
  2. 体を締め付けないシルエット

がきものの特徴であると書いてあります。

ここで私は、「きものは緩いものなのか?」という疑問を持ちました。

 

きものの弊害

アルフレッド・ステヴァンス 室内の婦人「室内の婦人」 アルフレッド・ステヴァンス 19世紀後半
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • 「室内の婦人」
    アルフレッド・ステヴァンス
    ベルギー/フランス
    19世紀後半
    油彩、板
    H26.8×W21.1cm
    横浜美術館蔵

この作品は画家のアトリエと思われる室内に、

  • 金地の屏風
  • ローズ色のきもの

が描かれています。

昨年私は、「辰五郎と滋の見た明治の衣生活大転換」展を観ました。

この展覧会では、きものの帯を強く締める弊害が説明されていました。

明治時代には、

  1. 体型が変形する
  2. 消化不良を起こす

などの弊害があると考えられていました。

 

コルセットと帯

ジュゼッペ・デ・ニッティス 踊り子「踊り子」 ジュゼッペ・デ・ニッティス 1873年
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • 「踊り子」
    ジュゼッペ・デ・ニッティス
    イタリア/フランス
    1873年
    エッチング、ドライポイント
    H19.1×W27.0cm
    横浜美術館蔵

この作品は、きものを着た女性がクッションにもたれてくつろぐ姿をエッチングとドライポイントで描いています。

くつろいでいる女性は、きものを羽織っている感じです。

きものの帯は、コルセットと同じような弊害をもたらすと考えられます。

実際にきものを着たことのある人に話を聞いても、帯はとても苦しいようです。

以前も書きましたが、きものの帯はヨーロッパのコルセットと同じです。

 

ヨーロッパでのきもの

ジャポニスム02 ピエール=オーギュスト・ルノアール「エリオ夫人」 ピエール=オーギュスト・ルノアール 1882年
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より
ISBN978-3-8365-3719-1

 

  • 「エリオ夫人」
    ピエール=オーギュスト・ルノアール
    1882年

この作品で、夫人はきのもをドレスの上に着ています。

そしてウエストに、ドレスと同色のベルトをゆったりとしています。

きものはヨーロッパに渡って、自由に着られました。

今回紹介した絵を見ても、きものを着た女性はみんなリラックスしているようです。

女性は室内でコルセットを緩めて、帯のないきものを着ました。

コルセットを緩めたのだから、帯を使わなかったのも当然のことかもしれません。

 

貞奴

アルフレード・ミュラー サダ・ヤッコ「サダ・ヤッコ」 アルフレード・ミュラー 1899-1900年
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • 「サダ・ヤッコ」
    アルフレード・ミュラー
    イタリア/フランス
    1899-1900年
    カラーリトグラフ
    H219.0×W76.5cm
    京都工芸繊維大学美術工芸資料館蔵

貞奴は、1899年にアメリカで女優としてデビューしました。

1900年にはパリ万博を皮切りにヨーロッパ各地を巡業し、人気を博しました。

この作品は、その巡業のために作られたポスターと考えられます。

きものの打ち合わせが、逆になっています。

打ち合わせが逆に描かれているのも、きものに対する先入観がなかったからかもしれません。

きものに対して、自由な気がしました。

 

まとめ

貞奴貞奴
「もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー」より
ISBN978-4-7661-2374-6

 

きものをヨーロッパの人たちは、自由に着ました。

きものの面倒くさい作法も一緒に渡ったら、ヨーロッパできものは流行らなかったでしょう。

西洋の絵画のなかに、自由にきものを着た人たちが描かれていました。

この自由で適当な感じが、ジャポニスムの流行を生んだ気がします。

 

ジャポニスムについては、以下も参考にしてください。

浮世絵に描かれたきものは、以下を参考にしてください。