ヴェルナー・パントン

デンマーク・デザインの中で、金属やプラスティックを好んで使ったデザイナーがいました。
その特異なデザイナーとは、ヴェルナー・パントンです。

 

ヴェルナー・パントン

ヴェルナー・パントン02ヴェルナー・パントン
「ELLE DECOR NO.104 2009年 10月号」より

 

  • ヴェルナー・パントン
    手にしているのは、実験的なチェア「Vipp」

ヴェルナー・パントン(Verner Panton)

  • 1926年 デンマークのガムトフテ(フュン島)に生まれる(2月13日)
  • 1944年 オーデンセ工科大学に入学
  • 1947年 デンマーク王立美術アカデミーに入学
         建築を学ぶ
  • 1950年 アルネ・ヤコブセンのアシスタントとして働く(-1952年)
  • 1951年 デンマーク王立美術アカデミーを卒業
  • 1953年 デザイナー・建築家として、ヨーロッパ各地で遊学する(-1955年)
  • 1955年 自身のデザイン事務所をビニンゲン(スイス)に設立
  • 1963年 バーゼル(スイス)に転居
  • 1970年 ケルンの国際家具見本市における展覧会「ヴィジョナ2」で、 前衛的な空間デザインを発表
  • 1998年 死去(9月5日)

 

金属とプラスティック

ヴェルナー・パントン03 C1チェア「C1」 ヴェルナー・パントン 1959年
「北欧インテリア図鑑 ELLE DECOR NO.139 2015年 8月号別冊付録」より

 

  • チェア「C1」
    ヴェルナー・パントン
    1959年
    ポップアートの気分とミッドセンチュリーの北欧モダンをミックスしたデザイン
    W660×D580×H735、SH395mm
    ヴィトラ社

デンマークというと、

  1. 機能的なデザイン
  2. マイスターの技

の融合を思い浮かべます。

ヴェルナー・パントンはそのような伝統に束縛されることなく、

  1. 金属
  2. プラスティック

といった素材を家具作りに取り込んでいきました。

 

建築を学ぶ

ヴェルナー・パントン04 コーンチェアコーンチェア ヴェルナー・パントン 1960年
「美しい椅子4 世界の金属製名作椅子」より
ISBN4-4449-0244-7

 

  • コーンチェア
    ヴェルナー・パントン
    1960年
    逆円錐状の本体は下部のベースへとつながり一点で支える構造
    スチール+ファブリッククッション
    フリッツ・ハンセン社

ヴェルナー・パントンは、王立芸術アカデミーで建築を学びました。

画期的な建築提案を行いましたが、

  1. 椅子
  2. 照明
  3. テキスタイル
  4. 展覧会のインスタレーションの手法

がより評価されました。

 

ヴィトラ社

ヴェルナー・パントン05 パントンチェアパントンチェアとパンテラテーブル ヴェルナー・パントン
「北欧デザイン手帖」より
ISBN978-4-579-21019-0

 

  • パントンチェア
    ヴェルナー・パントン
    1967年
    カンティレバー構造を応用したプラスティック一体成型の椅子
    デザインされたのは1960年
    開発当時はFRPで現在はポリプロピレン製が一般的
    W500×D610×H830、SH410mm
    ヴィトラ社
  • パンテラテーブル
    ヴェルナー・パントン
    1971年
    クリーンで汎用性の高いランプ
    アクリル
    直径400×H550mm
    ルイスポールセン社

 

パントンチェアは、単一素材を射出成形した最初の一体型椅子です。

この開発は、ヴィトラ社の創設者でハーマン・ミラーのバーゼル支社のヴィリー・フェールバウムにサポートされました。

ヴェルナー・パントンがスイスのバーゼルに事務所を構えたのも、フェールバウムの招きがあってのことかもしれません。

ヴェルナー・パントンの才能を愛した人たちの支えによって、新しい素材を自在に使ってデザインを具現化することができました。

 

ヴェルナー・パントン06 フラワー・ポットフラワー・ポット ヴェルナー・パントン 1968年
「ELLE DECOR NO.104 2009年 10月号」より

 

  • フラワー・ポット
    ヴェルナー・パントン
    1968年
    アルミニウム

    直径230×H160mm
    ユニークインテリア社が復刻

ヴェルナー・パントンは、白でモデルを作りました。

しかしヴェルナー・パントンは、白い壁を嫌っていました。

ヴェルナー・パントンの言葉を、以下に引用します。

(白は)驚異的に退屈だし、想像力が欠如している。
私に決定権があるなら、白いペンキに特別課税するだろうね。

単色が意味するところは何もない。
色はほかの色と組み合わせたときに初めて重要性を獲得するのだから。

私は信じられないくらい、赤が好きなんだ!

「ELLE DECOR NO.104 2009年 10月号」p117より引用

 

アルネ・ヤコブセン

ヴェルナー・パントン07 ヴァーパンVPグローブ ヴェルナー・パントン 1969年
「北欧インテリア図鑑 ELLE DECOR NO.139 2015年 8月号別冊付録」より

 

  • VPグローブ
    ヴェルナー・パントン
    1969年
    透明なアクリル球の中に4枚の反射板を配置
    反射板は赤と青の上下異なる色で構成
    直径400×H400mm
    ヴァーパン社

ヴェルナー・パントンは、王立芸術アカデミー在学中からアルネ・ヤコブセンの助手を務めました。

アントチェアをはじめとする、実験的な家具デザインの現場に立ち会いました。

ハンス・J・ウェグナーがアルネ・ヤコブセンの事務所で働いた、数年後のことでした。

 

リビングタワー

ヴェルナー・パントン08 リビングタワーリビングタワー ヴェルナー・パントン 1969年
「美しい椅子5 世界の合成素材製名作椅子」より
ISBN4-7779-0304-4

 

  • リビングタワー
    ヴェルナー・パントン
    1969年
    木製構造体+発砲ウレタン+布

ヴェルナー・パントンはリビングタワーで、

  • 寝転がる姿勢
  • どんな風にも姿勢を変えられる

家具を提案しました。

ヴェルナー・パントンは、「かしこまって座らなければいけない」という椅子への概念を根本的に打ち破りました。

 

まとめ

ヴェルナー・パントン09 スパイラル マルチスパイラル マルチ ヴェルナー・パントン 1969年
「Casa BRUTAS 北欧デザインの名作と暮らす」より
ISBN978-4-8387-8936-8

 

  • スパイラル マルチ
    ヴェルナー・パントン
    1969年
    螺旋状のパネルが3つのレイヤーに分けて吊るされている
    自然光に照らされたときと照明をつけたときで異なる印象を与える
    スチールフレーム、蒸着仕上げ
    W450×D450×H600mm
    ヴァーパン社

2009年に東京オペラシティアートギャラリーで、「ヴェルナー・パントン展」が開催されました。

この展覧会では、

  1. 天井

を一体化させた空間「ファンタジー・ランドスケープ」が再現されました。

リビングタワーの巨大空間版、と言ったところでしょうか。

私はこの、「ファンタジー・ランドスケープ」の感動をいまでも思い出します。

私が行った展覧会での、最高の体験でした。

ヴェルナー・パントンのようなデザイナーを輩出するデンマーク・デザインは、本当に奥が深いです。

 

デンマークのデザイナーについては、以下も参考にしてください。