浮世絵に描かれた洋装と和装

最近観た展覧会に、浮世絵がたくさん展示されていました。
「浮世絵の愉しみ」と「ファッションとアート麗しき東西交流」から、同じ作家による洋装と和装を描いた浮世絵を紹介します。   

 

歌川貞秀が描いた洋装

浮世絵 洋装02 歌川貞秀東都名所見物異人 王子滝の川の光景 おらんだ 1861年
「浮世絵の愉しみ」図録より

 

  • 東都名所見物異人 王子滝の川の光景 おらんだ
    歌川貞秀(うたがわさだひで)
    文久元年(1861年)
    大判竪
    山口屋藤兵衛

王子の料理屋・扇屋の二階から、オランダ人の男女が石神井川を見下ろしています。

川の中にはオランダ人に雑言を浴びせている、男女が描かれています。

 

歌川貞秀が描いた和装

浮世絵 和装03 歌川貞秀横浜商館真図(中) 1861年
「ファッションとアート麗しき東西交流」図録より

 

  • 横浜商館真図(中)
    歌川貞秀
    文久元年(1861年)
    大判3枚組

歌川貞秀は1860年に横浜を主題に取り上げ、「横浜浮世絵」と呼ばれるジャンルを切り開きました。

羽根つきを楽しむ、きもの姿の女性が描かれています。

後ろには、横浜で働く様々な国の人々が描かれています。

 

安達吟光が描いた洋装

浮世絵 和装04 安達吟光貴女裁縫之図(右) 1887年
「ファッションとアート麗しき東西交流」図録より

 

  • 貴女裁縫之図(右)
    安達吟光(あだちぎんこう)
    明治20年(1887年)
    大判3枚組

宮廷服の洋装化を受けて、洋裁は華族の女性の嗜みの一つとなりました。

ドレスをまとう女性たちが、

  • 棒針編み
  • 鉤(かぎ)針編み
  • アイロンかけ
  • ミシン縫い
  • メジャーによる採寸
  • ブラッシングの作業

を行なっています。

 

安達吟光が描いた和装

浮世絵06 安達吟光東京名所花競 王子芍薬 1890年
「浮世絵の愉しみ」図録より

 

  • 東京名所花競 王子芍薬
    安達吟光
    明治23年(1890年)
    大判竪
    小森宗次郎

王子の芍薬園で、きもの姿の女性たちが働いています。

 

月岡芳年が描いた洋装

浮世絵 洋装05 月岡芳年風俗三十二相 遊歩がしたさう 明治年間 妻君之風俗 1888年
「ファッションとアート麗しき東西交流」図録より

 

  • 風俗三十二相 遊歩がしたさう 明治年間 妻君之風俗
    月岡芳年(つきおかよしとし)
    明治21年(1888年)
    大判竪

「風俗三十二相」のシリーズの、最後の一点です。

この女性は顔貌に江戸浮世絵の伝統を残しながら、

  • 華やかな洋服に身を包み
  • 頭には麦藁帽子
  • 手にはパラソル
  • 髪型は「西洋上げ巻き」

という姿をしています。

 

月岡芳年の描いた和装

浮世絵 和装06 月岡芳年東京自慢十二ヶ月 十月 滝ノ川の紅葉 1880年
「浮世絵の愉しみ」図録より

 

  • 東京自慢十二ヶ月 十月 滝ノ川の紅葉
    月岡芳年
    明治13年(1880年)
    大判竪
    井上茂兵衛

秋の滝野川を、料理屋から楽しむ女性が描かれています。

島田髷の女性は、瓢箪酒に里芋を食しています。

 

楊洲周延の描いた洋装

浮世絵 洋装07 楊洲周延飛鳥園遊覧之図(右) 1888年
「浮世絵の愉しみ」図録より

 

  • 飛鳥園遊覧之図(右)
    楊洲周延(ようしゅうちかのぶ)
    明治21年(1888年)
    大判3枚組
    小林鉄次郎

明治天皇が1876年に、飛鳥山公園に登臨を行いました。

また1877年には、英照皇太后・昭憲皇后も行啓を行いました。

この絵は、この二つの事跡を一つの事柄としてまとめて描写されました。

 

楊洲周延の描いた和装

浮世絵 和装08 楊洲周延時代かがみ 安政之頃 飛鳥山かわらけなげ 1896年
「浮世絵の愉しみ」図録より

 

  • 時代かがみ 安政之頃 飛鳥山かわらけなげ
    楊洲周延
    明治29年(1896年)
    大判竪
    松木平吉

画面に大きく描かれる町娘は、安政年間(1854-60年)の風俗を示しています。

髷を折り曲げて、その途中を元結で締める島田髷を結っています。

 

楊斎延一の描いた洋装

浮世絵 和装09 楊斉延一大日本美術展覧会(中) 1890年
「ファッションとアート麗しき東西交流」図録より

 

  • 大日本美術展覧会(中)
    楊斎延一(ようさいのぶかず)
    明治23年(1890年)
    大判3枚組

この絵には、

  • 明治天皇
  • 美子皇后(後の昭憲皇太后)
  • 嘉仁親王(後の大正天皇)

の一行が、第3回内国勧業博覧会を訪れた場面が描かれています。

 

楊斎延一の描いた和装

浮世絵 和装10 楊斉延一滝乃川紅葉の三曲(左) 1893年
「浮世絵の愉しみ」図録より

 

  • 滝乃川紅葉の三曲(左)
    楊斎延一
    明治26年(1893年)
    大判3枚組
    柏木延一郎

石神井川沿の料理屋を前景に、滝野川の紅葉の景を描いています。

料理屋の張り出しでは、

  • なでしこ柄の若い女性が胡弓
  • 島田髷に瓢箪柄の帯の女性が琴
  • 年長の女性は横笛

を奏でています。

 

まとめ

  • 歌川貞秀
  • 安達吟光
  • 月岡芳年
  • 楊洲周延
  • 楊斎延一

による、洋装と和装の浮世絵を見てきました。

明治時代になると、ヨーロッパのファッションプレートを参考に洋装の浮世絵が描かれるようになりました。

歌川貞秀が描いた洋装はクリノリン・スタイルのはずですが、微妙に何かが違っているように見えます。

それ以降の浮世絵は、バッスル・スタイルとわかるようになりました。

洋装と和装の浮世絵を比べて見てみると、和装姿の女性を描いた浮世絵の方が生き生きしていると思いました。

 

浮世絵については、以下も参考にしてください。