テーラードジャケットの袖つけ

以前このブログで、テーラードジャケットの袖ぐりの始末の仕方についてふれたことがあります。
「文化ファッション講座 婦人服2」から、テーラードジャケットの袖つけを紹介します。    

 

袖つけの仮縫いをする

テーラードジャケットの袖つけ01袖つけの仮縫いをする
「文化ファッション講座 婦人服2」より
ISBN978-4579100101

 

袖つけの仮縫いをする

身頃と袖の合い印を合わせて、袖ぐり下のほうからつり合いを見ながらピンを打つ。
袖山の丸みの強いところは、身頃の上に袖をかぶせるように持ち、しつけ糸1本どりでいせ分を逃さないように注意して袖側からしつけをする。
ここでもう1度試着して袖つけの感じを見る。
このときは、肩パッドを袖つけ縫い代にかるく止めて試着し、袖のすわり、袖つけ位置、いせの配分などのバランスを点検する。

服を作るときは、合い印がとても大事です。

適切な場所に、適切な数の合い印をつけるようにします。

 

袖つけミシンをかける

テーラードジャケットの袖つけ02袖つけミシンをかける
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

袖つけミシンをかける

袖側を見ながら、後ろパネルラインあたりから縫い始めてぐるっと1回りし、後ろと袖ぐり下は特に力がかかるので、同一線上を重ねてミシンをかけておくと丈夫である。
次に袖つけ縫い代にアイロンをかけて落ち着かせる。

袖つけミシンをかけるとき、

  • 右袖は袖下〜前身頃〜袖山〜後ろ身頃〜袖下
  • 左袖は袖下〜後ろ身頃〜袖山〜前身頃〜袖下

と縫われていきます。

右袖と左袖で、縫われていく方向が逆になります。

袖をつけ終わったとき、袖が向いている方向が左右で違わないように注意します。

 

袖山布をつける

テーラードジャケットの袖つけ03袖山布をつける
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

袖山布をつける

袖山布は、袖山のいせのひびきをなくし、ふくらみを出す目的でつける。
布に厚みと弾力があって山の丸みがきれいに出ている場合は必要ない。
袖山布は表布、フェルトタイプの芯、毛芯、パンピースなど、また袖山布として市販されているものもあり、適度の厚みと弾力性をもった素材がいい。
つけ方は、袖つけのしつけの要領で袖山のいせの丸みの上に袖山布をのせるようにしてピンを打つ。
このとき、端は袖つけ縫い代と0.3cmぐらいの段差をつけ、袖つけミシンのきわ(0.1cm以内)にしつけ糸で止める。

私は、袖山布はバイヤスにカットした表布を2枚重ねて使うことが多いです。

袖山布の枚数は、表布の厚さや弾力性によって調整します。

そして私は、袖山布をミシンで止めます。

このときのミシンの運針幅は、 0.4〜0.5cmにします。

袖山布をしつけ糸で止めるよりも、ミシンで止めたほうが袖山がしなやかに仕上がる気がします。

 

肩パッドを入れる1

テーラードジャケットの袖つけ04肩パッドを入れる1
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

肩パッドを入れる1

肩縫い目と肩パッドの合い印を合わせ、袖つけ線から1.5cmぐらいパッドを縫い代側に出して、肩先縫い代に止める。
まず表側から身頃にパッドをなじませながら袖つけ線のきわにピンを打ってパッドを固定する。

肩パッドをつける前に私は、袖山を挟んで5cmくらい割っていました。

1990年前後のヨウジヤマモトプールオムのテーラードジャケットは、袖山が割られていました。

「文化ファッション講座 婦人服2」の通りに袖をつけると、袖が身頃よりも高くなります。

このとき袖山を割るだけで、とても格好良くなるのです。

袖山を割るときは縫い代に切り込みを入れるので、破れないように注意します。

 

肩パッドを入れる2

テーラードジャケットの袖つけ05肩パッドを入れる2
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

肩パッドを入れる2

次に肩パッドを、裏側から袖ぐり縫い代にとじる。
パッドに厚みがあるので、針はパッドと縫い代に直角に通すようにし、パッドの厚さをつぶさないようにしつけ糸2本どりでとじる。
さらに肩縫い代に止める。

肩パッドの取り付けは、とても難しいです。

経験を積んで、自分なりのコツをつかむことが大切です。

 

後ろパネルラインを中とじする

テーラードジャケットの袖つけ06後ろパネルラインを中とじする
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

後ろパネルラインを中とじする

表身頃と裏身頃の後ろパネルラインの合い印を合わせ、裏身頃がつれないように中とじをする。

 

袖ぐり縫い代を中とじする1

テーラードジャケットの袖つけ07袖ぐり縫い代を中とじする1
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

袖ぐり縫い代を中とじする1

表身頃と裏身頃の後ろ中心縫い目を合わせ、袖ぐり縫い代の合印も合わせる。
このとき裏布の背幅、胸幅がつれないように注意して、袖ぐり、肩の周辺にしつけをする。
ウエストも平らに広げて同様にしつけをする。
次に表から袖つけ線に落しじつけをし、表身頃に裏身頃を固定する。

 

袖ぐり縫い代を中とじする2

テーラードジャケットの袖つけ08袖ぐり縫い代の中とじをする2
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

袖ぐり縫い代の中とじをする2

袖ぐり縫い代の中とじは表袖の裏面を見て、袖つけミシンより0.2cm縫い代側に針を直角に通して返し縫いでとじる。
肩パッドの位置は、パッドの片面だけをすくってとじてもいい。

この工程で、テーラードジャケットの立体感が出てきます。

袖ぐりの縫い代を返し縫いで中とじすることによって、

  • 表身頃
  • 裏身頃
  • 表袖
  • 肩パッド
  • 袖山布
  • (胸増しの毛芯)

が一体化します。

そしてテーラードジャケットの袖つけに、厚みと弾力が出ます。

 

裏袖山をまつる

テーラードジャケットの袖つけ09裏袖山をまつる
「文化ファッション講座 婦人服2」より

 

裏袖山をまつる

袖下、袖山の合い印を合わせ、いせ分量をつり合いよく配分してピンを打つ。
袖下の部分は表袖の縫い代にかぶせる分を確かめ、いせ分の少ない袖下から袖山に向かってまつる。
まつりの間隔は0.3〜0.4cmにし、まつり糸を使う。
袖下は、摩擦で糸がすれやすいので、まつり糸はまつり始めと2〜3cm重ねてまつる
また袖下部分は裏袖を落ち着かせるために、まつった位置より0.5cm縫い代側に星止めをする。

袖下に星止めをすると裏袖が落ち着き、着心地が良くなります。

 

まとめ

ヨウジヤマモト417 Y's for men 1994年秋冬カタログスーツ Y’s for men 1994年秋冬
「Yohji Yamamoto V&A」より
ISBN978-1-85177-627-6

 

  • スーツ
    Y’s for men
    1994年秋冬
    撮影:Ferdinando Scianna

文章と図は、「文化ファッション講座 婦人服2」のp156〜159より引用しました。

以前「ヨウジヤマモト2005年秋冬のDM+Y’s」で、

このころのヨウジヤマモトプールオムのジャケットは、袖付けが格好良いです。

と書きました。

このころのヨウジヤマモトプールオムのジャケットは、「文化ファッション講座 婦人服2」に書いてある袖つけの工程を省略していません。

最近のヨウジヤマモトプールオムのジャケットは、

  • 袖ぐり縫い代を中とじする
  • 裏袖山をまつる

の工程がミシンになりました。

そして表身頃と裏身頃が、袖ぐりで完全に中とじされなくなってしまいました。

工程が変わると、テーラードジャケットの見栄えも変わってしまいます。