西沢立衛のCADの話

数年前、新建築という雑誌を私は毎月読んでいました。
表紙裏にVectorworksというCADソフトの広告が載っていました。

 

西沢立衛

西沢立衛01十和田市現代美術館 西沢立衛 2008年
「Casa BRUTUS vol.128 2010年11月号」より

 

西沢立衛

  • 1966年 神奈川県横浜市に生まれる
  • 1988年 横浜国立大学工学部建築学科卒業
  • 1990年 横浜国立大学大学院工学研究科計画建築学専攻修士課程修了
         妹島和世建築設計事務所入所
  • 1991年 妹島和世にパートナーシップを打診される
  • 1995年 妹島和世と共にSANAA設立
  • 1997年 西沢立衛建築設計事務所設立
  • 2001年 4月、横浜国立大学大学院Y-GSA准教授
  • 2004年 ベネツィアビエンナーレ国際建築展金獅子賞
  • 2006年 日本建築学会賞作品賞(金沢21世紀美術館)
  • 2008年 日本建築学会賞作品部門審査員
  • 2010年 10月、横浜国立大学大学院Y-GSA教授
         プリツカー賞受賞(SANAA)

 

西沢立衛のCADについての文章

西沢立衛03 竹尾見本帖本店竹尾見本帖本店 西沢立衛 2000年
「Casa BRUTUS vol.128 2010年11月号」より

 

新建築2010年9月号のこの広告は、建築家の西沢立衛が寄稿していました。

この文章を読んだ私は、大衝撃を受けました。

新建築から、西沢立衛の文章を引用してみます。

スケール感がないことも驚きでした。
どこまででも拡大できる。
抽象化の仕方が今までと違うと思いました。

手描きの時代は、線には太さという感覚がなくて、断面線は見え線に対して太く書きますが、それは単に強調しているだけで、太さという概念ではなかった。

ところがCADでは拡大していくと線が面のようになる。

あれは建築家の感受性を相当変えたと思いますね。

二本の線が接するといっても、いろんな接し方があるんだということは、手描きの時代には思いつかなかったことです。

「新建築2010年9月号 Vectorworksの広告」より引用

 

CADについてのこんな広告文を、私はアパレルCADの広告文で見たことがありませんでした。

アパレルCADの場合、

  • CADを開発しているメーカー
  • CADを使用しているパタンナーやファッションデザイナー

のどちらもCADを使用して作成した型紙について語りません。

西沢立衛の文章を読むと、CADを使っている時の心理や感性まで伝わってきます。

そしてその心理や感性は、理論に裏づけされています。

2010年に西沢立衛の文章を読んだ時、私はアパレルCADを使っていませんでした。

西沢立衛の様にアパレルCADについて語れるメーカーがあれば、私はCADを使っていたかもしれません。

私は西沢立衛の文章を目にして、「アパレル業界には、理論的に考えたり理論的に話せる人がとても少ない」と確信しました。

 

続・建築について話してみよう

西沢立衛02「続・建築について話してみよう」表紙
ISBN978-4-86073-052-9

 

「続・建築について話してみよう」という、西沢立衛の本があります。

この本を読むと、西沢立衛のみずみずしい感性と建築への愛情が伝わってきます。

その上で、西沢立衛は理論的な思考を展開しています。

アパレル業界にはもう少し、理論性が必要だと思うのです。

 

好きなファッションブランドは?

西沢立衛04西沢立衛 2010年
「なりたいのは建築家」より
ISBN978-4-7601-3964-4

 

西沢立衛は、「好きなファッションブランドは?」と質問されたことがありました。

この質問に「イタリア人やフランス人の作る服。どこのブランドというより、『こう振る舞え』と主張する服が好き」と西沢立衛は答えています。

「今の日本の服には、主張がない」と、西沢立衛に言われている気がしました。