ポール・ヘニングセン

ポール・ヘニングセンは、北欧の照明デザイナーの代表格です。
デザインの他にもポール・ヘニングセンは、文筆家としても活躍しました。

 

ポール・ヘニングセン

ポール・ヘニングセン02ポール・ヘニングセン
「北欧インテリア図鑑 ELLE DECOR NO.139 2015年 8月号別冊付録」より

 

ポール・ヘニングセン(Poul Henningsen)

  • 1894年 デンマークのコペンハーゲンに生まれる(9月9日)
  • 1911年 フレデリクスベアのテクニカル・スクールで学ぶ(-1914年)
  • 1914年 コペンハーゲンのテクニカル・カレッジで学ぶ(-1917年)
  • 1916年 初めてカットガラスのシャンデリアをデザイン
  • 1919年 カールスバーグ社のためにシャンデリアをデザイン
         最初の建築設計契約となるデンマーク学生ボートクラブを設計
  • 1924年 マルチシェードを鏡面仕上げした器具をデザイン
  • 1925年 ルイスポールセン社とのコラボレーションが始まる
  • 1926年 「PHランプ」の原型が生まれた
  • 1941年 スウェーデンに亡命(-1949年)
  • 1958年 「PH5」「PHアーティチョーク」「PHスノーボール」をデザイン
  • 1967年 死去(1月31日)

 

人に優しい光

ポール・ヘニングセン03ドローイング ポール・ヘニングセン
「Casa BRUTUS No.202 2017年1月号」より

 

  • ドローイング
    ポール・ヘニングセン
    綿密なドローイングを通して、
    シェードと光の広がりの関係について科学的に検証を重ねた

ポール・ヘニングセンは、「人に優しい光」の実現に取り組んだデザイナーです。

ポール・ヘニングセンの照明は、まぶしい光源を巧みに隠しながら周囲に温かい光を投げかけます。

ポール・ヘニングセンは常に、照明を使う人の感覚を大切にしました。

 

パリ・ランプ

ポール・ヘニングセン04イラスト 1927年
「Casa BRUTUS No.202 2017年1月号」より

 

  • イラスト
    1927年
    「PHランプ」のラインアップ
    それぞれが照らす範囲を示している

1925年のパリ万国博覧会でポール・ヘニングセンは、6枚の円錐形のシェードが光源を覆う「パリ・ランプ」を発表しました。

パリ・ランプは、

  1. 電球のフィラメントが直接見えない
  2. シェードの隙間から光が差す

構造で後の「PHランプ」と共通していました。

しかし銅合金のシェードは、光源からの強い光をそのまま反射しました。

 

ルイスポールセン社

ポール・ヘニングセン05平面図 ポール・ヘニングセン
「Casa BRUTUS No.202 2017年1月号」より

 

  • 「PH5」の断面を示す平面図
    ポール・ヘニングセン
    光源はフロスト電球を想定

パリ・ランプの製作を担当した照明ブランドのルイスポールセンとともに、ポール・ヘニングセンはより完成度の高い構造に取り組みました。

ポール・ヘニングセンはルイスポールセン社とのコラボレーションを、1925年に開始しました。

ルイスポールセン社は、1874年にデンマークで創業した照明メーカーです。

ポール・ヘニングセンとルイスポールセンとのコラボレーションは、生涯に渡って行われました。

 

対数螺旋曲線

ポール・ヘニングセン06 PH5 クラシックPH5 クラシック ポール・ヘニングセン 1958年
「Casa BRUTUS No.202 2017年1月号」より

 

  • PH5 クラシック
    ポール・ヘニングセン
    1958年
    シェードに対数螺旋という曲線を採用し、グレアを抑制
    内部の赤と青の反射板には、光の色を補正する役目がある
    直径500×H285mm
    ルイスポールセン社

1926年に、「PHランプ」の最初のモデルが生まれました。

このとき初めて、シェードの曲線に対数螺旋曲線が用いられました。

対数螺旋曲線とは、巻き貝など自然の形態にも見られる渦巻きの形です。

渦の中心に光源を置くとその光は同じ角度で曲線に当たり、広がっていく性質があります。

そのため光源からの光がコントロールしやすくなり、明るくしたい範囲を適切に照らせるようになりました。

 

文筆家としての顔

ポール・ヘニングセン07 PHアーティチョークPHアンティチョーク ポール・ヘニングセン 1958年
「Pen No.256 2009年11月15日号」より

 

  • PHアンティチョーク
    ポール・ヘニングセン
    1958年
    コペンハーゲンのレストラン「ランエリーニュ・パヴィリオン」のためにデザイン
    72枚のシェードすべてに光が正確に当たる
    4サイズ展開
    ルイスポールセン社

ポール・ヘニングセンには、

  1. 作家
  2. 批評家
  3. 建築家
  4. デザイナー
  5. 世界大戦間の文化的生活の代表者

という顔がありました。

特に芸術から政治までを批判的に語るアンチ保守派の論客として、デンマーク国内で広く知られていました。

ポール・ヘニングセンの政治的・文化的意見は、かなり急進的なものでした。

そのためポール・ヘニングセンは一時、デンマークの新聞紙からライターとしての活動の場を追われていました。

 

まとめ

ポール・ヘニングセン08 PH4/3PH4/3 ポール・ヘニングセン 1966年
「北欧デザイン手帖」より
ISBN978-4-579-21019-0

 

  • PH4/3
    ポール・ヘニングセン
    1966年
    柔らかい光を下方に集めるデザイン
    直径400×H200mm
    ルイスポールセン社

ポール・ヘニングセンの製品は、今もなお有名です。

しかしポール・ヘニングセン自身のことは、あまりよくわかりません。

ポール・ヘニングセンについて調べると、おもしろそうなエピソードがいくつかあります。

例えば、

  1. ポール・ヘニングセンは、アルネ・ヤコブセンと一緒にスウェーデンに亡命したこと
  2. ポール・ヘニングセンは一時、ヴェルナー・パントンの義父だったこと

などが挙げられます。

ポール・ヘニングセンは、すばらしい照明を作ったデザイナーです。

 

デンマークのデザイナーについては、以下も参考にしてください。