ポップアートとペーパー・ドレス

数年前、私はロイ・リキテンスタインに興味を持ちました。
そしてロイ・リキテンスタインの本やポスターを、何点か購入しました。

 

ポップアート

ポップアートとペーパードレス02 ロイ・リキテンスタイン「ヴィッキー」 ロイ・リキテンスタイン 1964年
「LICHTENSTEIN」より
ISBN978-4-88783-008-0

 

  • 「ヴィッキー」
    ロイ・リキテンスタイン
    1964年
    スチール・エナメル
    106cm×106cm

第二次世界大戦が始まると、ヨーロッパで活躍していた芸術家たちの多くがアメリカへ移住しました。

  • サルバドール・ダリ
  • マルク・シャガール
  • ピエト・モンドリアン
  • ワルター・グロピウス
  • ミース・ファン・デル・ローエ

ら優れた才能は、アメリカへと渡りました。

このことは、戦後のアメリカで芸術の発展にとって大きな起爆剤となりました。

それ以前のアメリカは、フランスのアカデミズム崇拝でした。

そんなアメリカに、アメリカ独自のアートを花開かせることになりました。

1950年代になってポップアートは、新たな展開を見せていきました。

 

ポップアートの性格

ポップアートとペーパードレス03 ロイ・リキテンスタイン「ごらん、ミッキー」 ロイ・リキテンスタイン 1961年
「LICHTENSTEIN」より

 

  • 「ごらん、ミッキー」
    ロイ・リキテンスタイン
    1961年
    キャンバス・油彩
    121.9cm×175.3cm

2001年にパリのポンピドゥ・センターで、「ポップな時代」展が開催されました。

「ポップな時代」展の図録には、ポップアートは以下のような性格を持つとしています。

  1. 大衆的であること
  2. 消費され、そして、すぐ忘れられること
  3. 安いこと
  4. マスプロダクションであること
  5. 若者向け
  6. ウィットに富んでいること
  7. セクシーであること
  8. ギミック(まやかし)であること
  9. グラマラスであること
  10. 大もうけできること

それまでの「芸術的」というイメージが避けてきた要素ばかりが、目立っています。

 

アンディ・ウォーホルとイヴ・サンローラン

ポップアートとペーパードレス04 アンディ・ウォーホル「Ads : Apple」 アンディ・ウォーホル 1985年
ANDY WARHOL 15MINUTES ETERNAL」ポストカードより

 

  • 「Ads : Apple」
    アンディ・ウォーホル
    1985年
    シルクスクリーン
    96.5cm×96.5cm

イヴ・サンローランは1966年にパリで、アンディ・ウォーホルに会って意気投合しました。

その年のコレクションにイヴ・サンローランは、

を発表しました。

イヴ・サンローランは、1968年にニューヨークにやって来ました。

そしてアンディ・ウォーホルとその仲間たちによって、ニューヨークの本物のポップな空気をいっぱいに吸い込まされました。

 

ペーパー・ドレス

ポップアートとペーパードレス05 アンディ・ウォーホルスーパー・ドレス 作者不明 1966年ころ
「FASHION A History from the 18th to 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • 「スーパー・ドレス」
    ペーパー・ドレス
    作者不明
    レーベル:Souper Dress
    1966年ころ
    アメリカ
    「キャンベル・スープ缶」のプリントを施した不織布のミニ・ドレス
    黒いバイアス・テープ

アンディ・ウォーホルの初個展に並んだのが、「32個のキャンベル・スープ缶」(1962年)でした。

アンディ・ウォーホルは1966年ころから、

  • バナナドレス
  • キャンベル・スープ缶ドレス
  • フラジール・ドレス

などを製作しています。

アンディ・ウォーホルはコットンを素材に使いましたが、ポップファッションは「不織布」という新しい素材にのせられることが多くなりました。

1960年代後半に科学技術への憧れから、不織布の服がアメリカで大流行しました。

不織布の服は、「ペーパー・ドレス」と呼ばれました。

 

ペーパー・ドレスの特徴

ポップアートとペーパードレス06 アンディ・ウォーホルペーパー・ドレス
「ファッションの世紀」より

 

  • ペーパー・ドレス
    アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン・プリントの影響が見られる
    ハリウッド俳優の顔をポップアート風にプリント

ペーパー・ドレスの特徴は、

  • 紙に似た不織布製で、着捨ててしまう
  • 安価(普通のドレスの1/10程度)
  • 消費される
  • 長く持たない
  • マスプロダクション

で、まさにポップの申し子のような存在でした。

ペーパー・ドレスの流行は、やがてヨーロッパにも飛び火しました。

1960年代の

  • ミニ丈
  • 明快で単純な形態

のドレスは、まるでキャンパスのようでした。

 

まとめ

ポップアートとペーパードレス07 ハリー・ゴードンディスポーザブル・ドレス ハリー・ゴードン 1968年
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • ディスポーザブル・ドレス
    ハリー・ゴードン
    1968年
    不織布にプリントを施したドレス

小池千枝先生は、不織布を嫌っていました。

服に不織布の芯地を貼ることを、大変嫌がっていました。

布の自由な動きが、不織布によって妨げられてしまうからです。

それから不織布を貼った布の風合いは、悪くなってしまいます。

それから山本耀司は、アメリカのポップアートが嫌いだと言っています。

ポップアートの性格はファッションの性格と、とてもよく似ています。

しかしそんなファッションの性格に、本気で反発している人もいるわけです。

私もその一人でありたいと、いつも思っています。

しかし私は、ポップアートを嫌いではありません。

 

参考文献

  • ファッションの世紀
    深井晃子署
    平凡社
    ISBN4-582-62034-5

20世紀のアートとファッションの関係は、以下も参考にしてください。