マドレーヌ・ヴィオネ

マドレーヌ・ヴィオネ。
この偉大なファッションデザイナーの名前を私が初めて知ったのは、1991年6月のことでした。

 

マドレーヌ・ヴィオネの影響

マドレーヌ・ヴィオネ02マドレーヌ・ヴィオネのドレス 1924-1925年
「FASHION 18世紀から現代まで」より
ISBN978-4-88783-282-4

 

  • マドレーヌ・ヴィオネのドレス
    画:エルネスト・タヤート(Ernesto Thayaht)
    ”ガゼット・デュ・ボン・トン”
    1924-1925年

 

この年(1991年)、マドレーヌ・ヴィオネの本が発行されました。

三宅一生が、この本の序文を書いています。

同じころ、パリコレではジャン=ポール・ゴルチエがハンカチーフヘムのスカートを発表しました。

世界中で、マドレーヌ・ヴィオネへの関心が高まっていました。

小池千枝先生が特別授業で教えてくださったマドレーヌ・ヴィオネのバイアス・カットは、私に多大な影響を与えました。

 

マドレーヌ・ヴィオネ

マドレーヌ・ヴィオネ03イブニング・ドレス マドレーヌ・ヴィオネ 1927年
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • イヴニング・ドレス
    マドレーヌ・ヴィオネ

    1927年
    黒い絹ゴースに金糸刺繍のワンピース・ドレス
    エジプト風の幾何学模様
    右肩から布が垂れ、先端に絹糸と金糸のタッセル飾り

マドレーヌ・ヴィオネ(Madeleine Vionnet)

  • 1876年  フランスのシャール=オ=ボワに生まれる(6月22日)
  • 1888年  12歳、仕立て屋のマダム・ブルグイユに弟子入りする
  • 1895年  18歳、ロンドンへ渡る
          紳士服店「ケイト・ライリー」で経験を積む
  • 1901年  パリへ帰国
          キャロ姉妹のメゾンに入る
  • 1906年  ジャック・ドゥーセのメゾンに入り、デザイナーとして活躍
  • 1912年  独立。メゾンを開店
  • 1914年  第一次世界大戦中 一時閉店
  • 1919年  再開
  • 1923年  モンテーニュ通りへメゾンを移転
  • 1930年代 キャサリン・ヘップバーン、グレタ・ガルボにも愛用される
  • 1939年  メゾンを閉鎖
          フランスのレジオンドヌール勲章を受章
  • 1945年  ファッション・スクールで立体裁断の授業を開始
  • 1975年  死去(3月2日)

 

バイアス・カット

マドレーヌ・ヴィオネ06イヴニング・ドレスとストール マドレーヌ・ヴィオネ
「モードとインテリアの20世紀展」より

 

  • イヴニング・ドレス
    マドレーヌ・ヴィオネ

    サーキュラースカートのワンピース・ドレス

同時代のシャネルは、スタイリスト的なファッションデザイナーでした。

一方マドレーヌ・ヴィオネは、ファッション界の建築家でした。

マドレーヌ・ヴィオネは、卓抜した造形感覚と立体裁断技術で独創的な衣服造形に取り組みました。

マドレーヌ・ヴィオネは、

  • バイアス・カット
  • 円形裁断
  • スラッシュと三角マチのはめ込み
  • ホルター・ネック
  • カウル・ネック

などの独特な裁断やディテイル・デザインを生み出しました。

バイアス・カットは布を斜めに使用することで、

  • 伸縮性
  • ドレープの流動性

を高める技法です。

マドレーヌ・ヴィオネはバイアス・カットを応用し、あらゆる角度で布を裁断しました。

そしてさまざまなシルエットを作り、無数のドレスを作りました。

 

仕立屋でありクリエイターでもある

マドレーヌ・ヴィオネ05ドレス 左右ともマドレーヌ・ヴィオネ
「モードとインテリアの20世紀展」より

 

マドレーヌ・ヴィオネは自身を、

ただの仕立屋だけど、クリエイターでもある珍しいタイプ。

「もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー」p90より引用

と言っていました。

マドレーヌ・ヴィオネの技術があったからこそ、服に独自の概念を持ち込むことができました。

そしてマドレーヌ・ヴィオネは、20世紀のファッションを変えることができました。

マドレーヌ・ヴィオネのドレスを着た女性は、動きやすさを手にいれることができました。

 

マドレーヌ・ヴィオネの服の作り方

マドレーヌ・ヴィオネ07ドレス マドレーヌ・ヴィオネ 1930年代
「もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー」
ISBN978-4-7661-2374-6

 

  • ドレス
    マドレーヌ・ヴィオネ

    1930年代

  • ホワイト・アーミンで縁取り
    黒いベルベット

  • 白いクレープ織りのボディス
    パン・ベルベットのスカート

マドレーヌ・ヴィオネの服は、

  1. マドレーヌ・ヴィオネは、1/4サイズの木製マネキンを使いました。
  2. このマネキンを使って、布地を合わせながら構成を実験しました。
  3. モスリンを裁断し、ピンを打ち、ドレープを作りました。
  4. これを簡単に、スケッチしました。
  5. 仕立屋が、小型のモスリン・ドレスから実際のサイズのドレスを作りました。
  6. このドレスを、モデルに試着させました。

以上のような方法で作られました。

 

まとめ

マドレーヌ・ヴィオネ04キュロット・ドレス マドレーヌ・ヴィオネ 1937年ころ
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • キュロット・ドレス
    マドレーヌ・ヴィオネ

    1937年ころ
    ピンクの絹シフォンのキュロット・ドレスに、黒のネットにレースをアップリケしたオーバースカート
    キュロット・ドレス型のスリップはクレープ・デ・シン

マドレーヌ・ヴィオネは、1939年に引退しました。

引退から70年以上が経った今でも、マドレーヌ・ヴィオネは多くのファッションデザイナーに影響を与えています。 

私も、マドレーヌ・ヴィオネの影響を大きく受けました。

装苑賞の対談のとき中村乃武夫先生は冗談ぽく、「真剣にバイアス・カットに取り組もうと思ったら、とても広いアトリエがいるな」とおっしゃいました。

今でもあのときの中村乃武夫先生の笑顔を、はっきりと覚えています。

 

マドレーヌ・ヴィオネについては、以下も参考にしてください。