リバティ商会とジャポニスム

小花柄で有名なリバティ商会は、ジャポニスムの流行に大きく関係がありました。
リバティ商会とジャポニスムの関係について、調べてみます。

 

リバティ商会

リバティ商会02リバティ商会のカタログ 1898年
「FASHION A History from the 18th to 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • リバティ商会のカタログ
    1898年
    「Japanese Silk-Dressing-Gowns and Jackets.」

リバティ商会は、1875年にアーサー=ラセンビィ・リバティによって創設されました。

19世紀末のリバティ商会の顧客は、

でした。

リバティ商会は、日本をはじめ東洋から輸入した、

  • 美術工芸品
  • 絹地

を販売して、イギリスにおけるジャポニスムの流行を先導しました。

また、自らも東洋風の布を生産しました。

リバティ商会は、20世紀初めにはポール・ポワレと親密な関係を持つファッショナブルな店でした。

 

アーサー=ラセンビィ・リバティ

リバティ商会03リバティ商会カタログ 1891年
ファッションとアート 麗しき東西交流」図録より
ISBN978-4-89737-894-7

 

  • リバティ商会カタログ
    1891年
    「Japanese Pressed Lacquer and Hand-carved Work.」
    中央に芝山細工の飾棚が掲載されている

アーサー=ラセンビィ・リバティとリバティ商会

  • 1843年 イギリスに生まれる(8月13日)
  • 1875年 リバティ商会を設立
  • 1884年 婦人服部門を設立
  • 1890年 横浜支店を設ける
         パリ支店を設ける(-1932年)
  • 1917年 死去(5月11日)

 

アフタヌーン・ティーと日本趣味の流行

ジャポニスム05輸出用ティー・ガウン 1895年ころ
「FASHION A History from the 18th to 20th Century」より

 

  • 輸出用ティー・ガウン
    [リバティ商会取扱い(推定)]
    1895年ころ
    ピンクの精好(せいごうと呼ばれる絹タフタ)
    ジャボとプラストロンは楊柳(ようりゅう)
    菊の刺繍
    背にピエモンテーズ風プリーツ
    ハンギング・スリーブ
    裏地は羽二重にミシン・ステッチのキルティング

ロンドンやパリでは、19世紀半ばから日本の品を扱う店が開店しました。

芸術家やコレクターが、競って浮世絵や工芸品を購入しました。

1867年のパリ万国博覧会を契機に、日本の美術品が広く注目を集めました。

ロンドンのリバティ商会が日本の品を扱うことで、大衆に広がりました。

特にイギリスでは、女性の社交の場であった「アフタヌーン・ティー」の習慣が、日本趣味の流行に重要な役割を果たしたと言われています。

この茶会で既婚の女主人は、ティー・ガウンを身に着けていました。

ティー・ガウンは、

  • 日本のきものの要素を取り入れた
  • コルセットで体を締め付けない
  • ゆったり着用できる

室内着でした。

 

前衛のファッション運動

リバティ商会04イヴニング・コート リバティ商会 1927年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流」図録より

 

  • イブニング・コート
    リバティ商会
    1927年ころ
    金色のレーヨンのコート
    身頃と袖には、菊文様を織り出したオレンジ色と金色の絹ジャガードを重ねている
    ビーバーの毛皮の衿

1880年頃から、

  • レイショナル・ドレス(合理服)運動
  • エステティック・ドレス(美的服)

などの運動が起こりました。

劇作家のオスカー・ワイルドは、エステティック運動の代弁者でした。

  • 生活の芸術化を目指すエステティック運動
  • 中世や初期ルネッサンスの芸術を範としたラファエル前派
  • コルセットの弊害を唱える合理服運動

が注目されるなか、リバティ商会はハイ・ウエストのエステティック・ガウンを流行させました。

リバティ商会は1889年のパリ万国博覧会に、エステティック・ガウンを出展し好評を博しました。

1890年から1932年まで、リバティ商会のパリ支店が開設されました。

この期間は、パリモードでジャポニスムの影響が強まった時期と重なります。

リバティ商会のアーティスティックなテキスタイルは、パリのクチュリエたちに愛され続けました。

 

まとめ

リバティ商会05イブニング・ドレス リバティ商会 1924年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流」図録より

 

  • イブニング・ドレス
    リバティ商会
    1924年ころ
    ラベンダーと銀色ラメによる風景柄の絹ジャガードのワンピース・ドレス
    右腰にビーズ刺繍と、銀糸とビーズのフリンジ飾り付き

そしてジャポニスムが流行した、ずっとのちの1970年代。

フランスのキャシャレル社がシャツやドレスに使ったコットンのリバティプリントが、世界中に大流行しました。

この可憐な色彩の小花柄のプリントは、イギリスを代表するイメージとして愛され続けています。

 

参考文献

  • ファッションの世紀
    深井晃子署
    平凡社
    ISBN4-582-62034-5

20世紀のアートとファッションの関係は、以下も参考にしてください。