袖幅による名称 小池千枝先生

前回の「袖丈による名称」に続いて、今回は「袖幅による名称」を紹介します。
おまけとして、「裁断による名称」を最後に紹介します。

 

袖幅による名称

小池千枝先生 袖幅02袖幅のテンプレート

 

それでは、「袖 着やすさと美しさのテクニック」より引用します。

袖幅による名称

袖丈に関係なく、短くても長くても同様な名称でよばれます。

 

タイトスリーブ

小池千枝先生 袖幅03タイトスリーブ

 

タイトスリーブ(tight sleeve)

タイト(tight)とは、”ぴったりした”という意味で、腕に合った細い袖をタイトスリーブといいます。
このような袖はスリムスリーブ(slim sleeve)とかフィッティドスリーブ(fitted sleeve)ともよばれています。

一口にタイトスリーブといっても、腕にぴったりとしているものから多少ゆるやかなものまであり、袖幅寸法の増減などでいろいろに作ることができます。

ただ、タイトのものほど肘のアクセントをつけないと、腕を曲げることができなくなるので注意してください。

私がデザインする袖は、タイトスリーブが多いと思います。

私の袖の考えの中心にあるのが、ジャケットの二枚袖です。

 

ルーススリーブ

小池千枝先生 袖幅04袖幅のテンプレート

 

ルーススリーブ(loose sleve)

袖幅を広くして、ゆとりをたっぷり入れたもの。
袖幅に変化がなく、袖口まで真っすぐなストレートスリーブ(straight sleeve)と、袖口に向かって開かれたフレアスリーブ、パフスリーブなどがあります。

私がルーススリーブをデザインすると、「布をつけました」みたいな袖になります。

ルーススリーブを今回描いてみましたが、私のラインになってしまいました。

 

フレアスリーブ

小池千枝先生 袖幅05フレアスリーブ

 

フレアスリーブ(flare sleeve)

袖口が開いたドレッシーなもの。
フレア(flare ゆらめく炎)の言葉どおりの、美しく流れるような形が特徴です。
袖丈は長短いずれもあり、二重、三重に重ねて、さらに華やかさをだすこともあります。

フレアスリーブは、難しいです。

身頃と違って腕は、美しいフレアを作ってくれる要素が少ないです。

いろいろな服を見ても、美しいフレアスリーブはそれほどないと思います。

現在売られている服で美しいフレアスリーブは、皆無と言ってもいいのではないでしょうか。

 

パフスリーブ

小池千枝先生 袖幅06パフスリーブ

 

パフスリーブ(puff sleeve)

袖口や袖山に、ギャザーまたはタックをとって、パフ(puff ふくらみ)をもたせた袖。
この袖は、やわらかく動的な雰囲気が持ち味です。
そのため、かたすぎる素材は不向きで、ギャザーなどが軽やかに流れるシルクや、薄地素材が向くでしょう。

ロックバンドのボーカルなんかが、大げさなパフスリーブのシャツを着ているとはまります。

私のデザイン画の中に、パフスリーブは全くないと思います。

パフスリーブをデザインするときは、狙わないとデザインできないと思います。

私のデザインは狙ったデザインではないので、このようなディテールがないのです。

今は、上品なパフスリーブを作れる布がなくなりました。

 

裁断による名称

縦方向に裁断されて袖を構成している布の枚数による名称です。
横方向に何枚にも分けられていても、とくに呼び名はありません。

 

一枚袖

一枚の布で作る袖。
ブラウスやワンピースに多く用いられます。

一枚袖で、形を自由に作るのはとても難しいです。

構造は簡単なので、一枚袖を簡単と思っている人は多いです。

服を作るのが大事なのではなく、美しい(自分の意図通り)の服を作ることが大事なのです。

一枚袖を美しく作れるようになると、どんな袖でも美しく作れるようになります。

しかし一枚袖を作っているだけでは、美しい一枚袖を作れるようにはなりません。

 

一枚半袖

一枚の布でありながら、袖口から縦方向に深いダーツがある袖。
この一枚半袖という名称は慣習的なものといえるでしょう。

最近では、一枚半袖は見なくなりました。

私が文化服装学院で勉強していた1991年にも、一枚半袖はほとんどありませんでした。

クラシックな、袖です。

話は変わりますが、日本人は何でも切り替えてしまってダーツを使わなくなりました。

工場がダーツを縫いたくないというのもあるのでしょうが、ダーツの良さが忘れられているようです。

小池千枝先生がジャケットの立体裁断で言われたように、ダーツが作り出す滑らかな表情を思い出してほしいものです。

 

二枚袖

縦方向の二枚の布で作る袖。
形が自由になり、保形性もあるので、スーツやコートに、また形状のはっきりしたドレスなどにも向きます。
このほかに、二枚以上の三枚、四枚で構成することもあります。

二枚袖は作図は複雑ですが、自由な形が作れます。

慣れると、面白いように袖の表現の幅が広がります。

二枚袖で得たものが、美しい一枚袖を作るヒントとなるでしょう。

 

参考文献

  • 袖 着やすさと美しさのテクニック
    ISBN4-579-10131-6

小池千枝先生の「袖 着やすさと美しさのテクニック」については、以下も参考にしてください。

 

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