袖 着やすさと美しさのテクニック

小池千枝先生が著した、「袖 着やすさと美しさのテクニック」。
何度読んで、何度実践したか覚えていません。

 

袖 着やすさと美しさのテクニック

小池千枝先生 袖02「袖 着やすさと美しさのテクニック」表紙

 

袖 着やすさと美しさのテクニック

  • 著者・・・小池千枝
  • 発行所・・文化出版局
  • ISBN4-579-10131-6

このシリーズは、衿、袖、ポケットの3部作からなっています。
この中で小池千枝先生が執筆されたのは、「袖」のみです。

私はこの「袖 着やすさと美しさのテクニック」を、文化服装学院の聴講生になったとき買いました。

最初のページから読んだというよりは、服を作りながら読みました。

作りたい服があり、イメージに近い袖を選び読みました。
そして、作図をしてトワルを組み立てみました。

イメージ通りの袖になるまで、何度も読み返し、何度も作図しました。

おかげでパタンナーとして型紙を作るとき、「袖 着やすさと美しさのテクニック」の作図と、小池千枝先生の文章が頭に浮かぶようになりました。

小池千枝先生が書いた「はじめに」を、以下に引用します。

「この本一冊で袖のすべてに強くなるように、袖にのみかぎり、わかりやすくだれにもすぐ役だつものを」という話があり、一応はおもしろいものに、と思いながらスタートしました。

しかし、一つの大きな障害は、袖の部分にかぎるということです。
袖は衣服の一部でしかなく、ボディの表現とつながったものであり、決して切り離せないものです。
身頃があり、衿があり、袖があってはじめて一つの造形表現になるものです。

たとえば、パフスリーブを作りたいからといわれても、それはどんな身頃なのか、衿があるのかないのかによって、裁つべき袖が決まるものです。

これらの関連をどうわかっていただけるかということに苦心しました。
ただ願いとしては、このささやかな一冊から、移り変わりゆく時の流れのなかで、より美しく、より着やすい袖を、それを受けるボディにうまく接合し、変化させてください、ということです。

曲がりなりにも何十年もこの仕事をやってきて思うことは、ファッションの今日のノートは明日のノートではないということです。

しかしまた、昨日のノートから今日に、明日にとつながる断ち切れない真実のあることも知っているつもりです。
そして人間の感性が生み出すファッション美が、一筋縄ではいかないならば、実際的な理論こそ必要だということも・・・・・。

どうか、これらの真実をくみとって、固定された方式や寸法にとらわれず、自由にのびのびと良い加減に表現したいものを表現してください。
本書で、そのお手伝いができれば幸いです。

最後に、山崎賀子さんには毎度のことながら原稿の浄書を、坂本千尋さんにはなんどもイラストを描き直していただいて、ありがたいことでした。

昭和54年初夏

小池千枝

 

やさしいラグランスリーブ

小池千枝先生 袖03「袖 着やすさと美しさのテクニック」P116より
スタイル画 坂本千尋

 

この「袖 着やすさと美しさのテクニック」のなかで、私が一番感動したページを紹介します。

タイトルは、「やさしいラグランスリーブ」です。

以下に引用します。

やさしい裁ち方のラグランスリーブを、ドローストリングスタイルのワンピースにとり入れてみましょう。

作図要点

前身頃原型だけを使用して作図

作図が簡単だから形が悪いとか、着心地が悪いとかいうことはなく、このような単純なもののほうが、どのような形や素材にも合い、むしろ体型の個性や素材の味を出してくれるものです。

また、難しい作図をするから高級で格好のいい服ができるとはかぎりません。
これからは、だれでもできる、より簡単な作図を心がけたいものです。

袖つけ線の描き方

直線的な袖ぐり線をカバーするために、カーブをもたせて描きましよう。
とくに後ろ袖つけ線は腕の前方性をだすため、点線のように1.5cm追加して、くりを浅くしておきます。

 

やさしいラグランスリーブ作図

小池千枝先生 袖04 ラグランスリーブ「袖 着やすさと美しさのテクニック」P117より

 

この作図は、やさしいです。
やさしい作図だからこそ、「腕の前方性をだす方法」が誰にでも理解できます。

私が建築に興味を持ったころ、私は単純な型紙を作ることに夢中になりました。
単純な型紙で、デザインを表現することが楽しかったです。

そして大体、単純な型紙で服を作った方が、格好のいい服ができました。

 

「袖 着やすさと美しさのテクニック」の内容を紹介します。

  1. 袖丈による名称 小池千枝先生
  2. 袖幅による名称 小池千枝先生
  3. 袖つけの構造による名称 小池千枝先生
  4. 袖の造形の変化 小池千枝先生
  5. 袖のデザインと機能性1 小池千枝先生
  6. 袖のデザインと機能性2 小池千枝先生
  7. 肩傾斜について 小池千枝先生