1984年版文化式原型 原型シリーズ1

小池千枝先生は原型を作るとき、採寸や製図が簡単であること、適合度が高く、機能性に富んでいることを大事にしました。
1984年版文化式原型の作り方を、紹介します。

 

1 基本線を引く

小池千枝先生 文化式原型01「婦人服2」文化服装学院・編
ISBN4-579-10010-7より

 

1984年版文化式原型の作り方は、「婦人服1」文化服装学院・編(ISBN4-579-10009-3)を参考にします。

人体の上半身の原型で、バストと背丈の寸法を基本とします。

必要寸法・・・バスト(B)、着丈

基本線を、引いていきます。

  1. 縦の方向に背丈、横の方向にB/2にゆるみ分として5cmを加えて長方形をかく
  2. バストラインを引く
    上端からB/6+7cmの位置に水平線を引く
  3. 脇線の位置はバストラインの中央にする
  4. 背幅線を引く
    後ろ中心線から、B/6+4.5cmの位置に背幅線を引く
  5. 胸幅線を引く
    前中心線から、B/6+3cmの位置に胸幅線を引く

 

2 輪郭線を引く

小池千枝先生 文化式原型02「婦人服2」文化服装学院・編より

 

次に、輪郭線を引きます。

  1. 後ろ襟ぐり、後ろ肩線、前襟ぐり、前肩線をかく
  2. 後ろ袖ぐり線、前袖ぐり線をかく
  3. 脇線、前下り分、バストポイントの位置を決め、ウエストラインを引く
  4. 前後の袖ぐり線に、それぞれ合い印を入れる

 

3 袖を作る準備

小池千枝先生 文化式原型03「婦人服2」文化服装学院・編より

 

袖原型は腕部分の原型で、

  • ゆとり分
  • いせ分

などを考慮した1枚袖です。

身頃原型の袖ぐり寸法を基に、袖山の高さと袖幅を決めます。

そのためにまず、袖ぐり寸法をはかります。

袖ぐり寸法は上の図のA点からB点までを、テープメジャーを立てて少しずつ正確にはかります。

 

4 袖の基本線、輪郭線を引く

小池千枝先生 文化式原型04「婦人服2」文化服装学院・編より

 

必要寸法・・・袖ぐり寸法(AH)、袖丈

袖の基本線、輪郭線を引きます。

  1. 直角に交差する2本の直線を引く
  2. 交差点から上に、袖山の高さとしてAH/4+2.5cmをとる
  3. 袖山点から、左に後ろAH+1cmをとる
  4. 袖山点から、右に前AHとり、袖幅を決める
  5. 袖山点から袖丈と肘丈(袖丈/2+2.5cm)をとる
  6. 袖下線を引き、袖丈、肘丈の水平線を入れる
    袖の基準線が決まる
  7. 図のように輪郭線を入れる

身頃の袖ぐり線の寸法(AH)と、袖の袖つけ線の寸法を比べると、袖つけ線のほうが長いことがわかります。

これは袖原型にいせ分量が含まれているからです。

 そこで袖つけをするときの目安として、袖原型に合い印を入れます。

身頃原型の前後の合い印寸法(▲と●)を、はかります。

それぞれに袖つけ下のいせ分量として、0.2cmを加えた寸法を袖つけ線上にとり、袖つけのときの合い印とします。

なお袖山点は、身頃のショルダーポイントに合わせます。

これで、1984年版文化式原型が完成しました。

 

原型

世の中には、原型を馬鹿にする人がいます。

しかし山本耀司は、

「次世代に伝えたいファッションデザイナーとして心得ておくべきことを教えて下さい。」

という質問に対して、

「平面の原型を利用した裁断で服を作ることが、日本人にとって有利であると気付くことです。
ヨーロッパの服作りは、すべて立体裁断ですが、日本の服飾系の先生が平面の原型を発明したことで、平面裁断が日本から広まりました。
平面裁断により、服を作るスピードが3倍から4倍に上がっているのですが、意外と気付いていないデザイナーが多いのが残念なので、そこを知ってほしいです。」

と答えています。

また1984年版の文化式原型を、
「作業服のよう・・・。」
と悪く言う人もいます。

小池千枝先生は誰もが洋裁ができるように、

  • 簡単な採寸
  • 簡単な作図

で原型を作れるようにしました。

作図や立体裁断に慣れ自分が表現したいシルエットがわかるようになったら、自分で原型を修正すればいいのです。

私は1984年版文化式原型を基に、自分の原型を作っていました。

作図のスピードと服の適合度に、問題は全くありませんでした。

1984年版文化式原型は、今流行りのダーツをたくさんとった原型より、応用がきく原型だと確信しています。

原型シリーズ2につづく・・・

 

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