服装造形論 小池千枝著

この本は、文化服装学院の同級生にもらいました。
とても読み応えのある本です。

 

服飾造形論

小池千枝先生 服装造形論02「服装造形論 着て・動いて・美しく」表紙

 

服装造形論

  • 昭和56年7月19日 第1刷発行
  • 著者 :小池千枝
  • 発行所:文化出版局 
  • ISBN4-579-10217-7

服装造形論の副題は、「着て・動いて・美しく」です。

ファッションデザインを始めると、まず着て美しい服を作ろうとします。

動いたときの美しさを、考える余地はありません。

何作も服を作っているうちに、ようやく動きを意識します。

小池千枝先生の、序を引用します。

小池千枝

この「服装造形論」は、「服装文化」(文化出版局)129号(1971年)から155号(1977年)までの中で26回にわたって連載したものですが、多方面から1冊にまとめてはとの御要望をいただき、このたびこれをまとめることになりました。

序文には大沼先生から過分なお言葉をいただき恐懼するものです。
まだまだなすべきことが多く、非力にして十分になし得ないことをあらためて考えさせられております。

当然、さらに、具体的な造形技術に筆をすすめなければならないのですが、一応ここまでで不十分ながら造形論の前編とします。

よりよい衣服を作り出すためには、多少回り道でも人間を、時には人体としてさまざまな因子の解明からファッション、素材の物性まで、幅広く見ていかねばならないものであり、それらの遠い道のりをさらに若い人たちの手で研究をすすめられることを念じるものです。
私としてはこれが多少なりとも、先達としての役割を果たしているのではないかと自らを慰めています。

これをまとめるにあたって文化女子大学の山崎賀子さんには並々ならぬ協力をいただき、深い感謝を申し上げるものです。

以上

1981年5月

 

肩傾斜角度

小池千枝先生 服装造形論03マダム・グレの作品
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

服装造形論の面白いところは、人体の形状をファッションデザイナーの作品を使って解説している点です。

肩傾斜角度は、マダム・グレの作品が使われています。

私は学生時代、このマダム・グレのなで肩を表現しようと試みましたが、失敗に終わりました。

小池千枝先生の解説を、引用します。

モジリアニの絵画にみられる人物像の肩傾斜に注目してみると、かなりの傾斜をもっている。
これは生体を離れた絵画の画だからこそ表現できるのだと思うであるうが、実際のファッションのなかにもこれに値する造形表現がみられるものがあり、その実例を過去の資料から抽出してみてみよう。
1956年のマダム・グレの作品である。

(中略)

これらの裏には、カッティングも重要であるが、そのシルエットを支えるパッドと生体との関係を見逃すことはできないことは前述したとおりである。

 

胸部 

小池千枝先生 服装造形論04イヴ・サンローラン作 1965年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

イヴ・サンローランのモンドリアン・ルックは、胸部のデザイン例として登場します。

小池千枝先生の解説を、引用します。

モンドリアン風のパターンをいかしたデザインで、大胆なバストアップを表現したもの。
カッティングと図柄や厚地でこなしのきく素材などの効果が競合してバストアップが成功し、二頭身めがバストポイントという身体比例のバランスをはるかに引き離し、コスチュームの域から絵画的な領域まで達したものといえよう。

とても勉強になりました。

 

まとめ

小池千枝先生 服装造形論05ウエストライン設定の変化
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

面白いので、ウエストラインの設定図を引用しました。

あらためて「服装造形論」を読み、とてもためになりました。

もう一度、読み直します。

残念なのは、モデルが昭和の日本人体型なことです。

最新の日本人の体型で、「服装造形論」を読んでみたいです。

しかし小池千枝先生だからこそ、執筆できた本です。

今の日本を見渡して、これだけの本を書ける人はいないでしょう。

本当に残念です。

 

「服装造形論 着て・動いて・美しく」については、以下も参考にしてください。