立体裁断とボディ 小池千枝先生

小池千枝先生に教えていただいたことを、紹介したいと思っていました。
本を読んでいて、ボディのことを書いてみようと思いました。

 

立体裁断について

小池千枝先生 立体裁断とボディ02小池千枝先生
「新・立体裁断」より
ISBN4-579-10011-5

 

小池千枝先生が著した、「新・立体裁断」より引用します。

衣服の起源をたどれば、ヨーロッパ、アジアを問わず、平面的で直線的なものであった。
ヨーロッパにおいて、中世を経てルネサンス時代ともなると、胸や腰を誇張させた、細い胴を強調して人体にシェイプさせた立体的な服装が造形された。
さらにモードの中心がフランスに移行し、バロック時代からロココ時代を経て近代に至るまで、時代とともに様々に変化してその完成度が高められてきた。
そして現代、シャネルディオールカルダンサンローランたちに続き数多くのデザイナーたちによって、多様な立体美が創造されている。
著者自身も、戦後まもなく、これらのデザイナーの立体感にあふれたコレクションに誘発されて、平面感および平面裁断に一応の完成をみていた日本の服飾技術の中に、ヨーロッパ的な美しい立体感覚の技術を導入する必要を感じた。
そして、立体裁断に必要なボディの開発やテキストの著作に専念してきた。

アパレル産業が盛んになった昨今、より優れたデザイナー、パタンナーが要望され、平面裁断だけでなく立体裁断の技術が急速に求められてきている。
大手メーカー各社も、それに応じたボディの研究開発に力を入れている。
ボディは、企業や研究所により、そのフォルムに差異がある。
また、体型は年々変化し続けるので、数年ごとのモデルチェンジの必要性も生じてくる。
したがって、それに対応できる態勢を整えていなければならない。

平面裁断が、採寸し、原型を使用するなどして、二次元上の操作でパターンメーキングするのに対して、立体裁断(ドレーピング)というのは、ボディまたは人体を用いて三次元の操作でパターンメーキングすることという定義づけになる。
いずれにしても、いいパターンを作ることが目的なのである。

 

ボディと布が形を教えてくれる

小池千枝先生 立体裁断とボディ03文化式ボディ(前)
「新・立体裁断」より

 

立体裁断では、ボディと布があれば、出したいと思う形を自由に生み出すことができる。
絵を描くように布をボディにかけて表現すればいいのである。
そうするとボディと布の物理的特性が形を教えてくれるのである。
垂れの多いものは垂らして、張りのあるものはその張りを利用して形づくればよいので、決してむずかしいテクニックは必要ないのである。
ただし、注意したいのは、立体にフィットさせることのみがデザインでも技術でもないということ。
大切なのは、立体(人体)と服との間にどのような空間を作るか、その空間こそがファッションとなり、着心地、機能性にもつながる、ということである。

基本操作に慣れてくると、あとはカッティングをしながらでもデザインが生まれるようになるのである。
また、平面ではなかなか計算しにくい布の厚みや垂れなどは、立体の布を扱うことによって、おのずと解決してくる。
ときには、布の性質に逆らったデザインを生み出したり、テクニックのおもしろさをねらってもいい。
とくにドレープのあるデザインは、平面操作では、くり返しの着装によって吟味しなければならないが、立体裁断では、最初から着装した条件でカッティングできるので、的確な出来上がりが求められる。
造形上のファッション美からいえば、ときには、人体にデフォルメが必要になることがある。
その場合も、立体裁断ならば、着装状態でのデフォルメの分量、バランスなどを容易に確認することができる。

一般に立体裁断はボディで行うが、人体で行えば理想的である。
ボディは静的なものであるために、動き分を加味する必要があるからである。

 

ボディ(人台)

小池千枝先生 立体裁断とボディ04文化式ボディ(後ろ)
「新・立体裁断」より

 

立体裁断にとって、最も大切な用具がボディである。
人が着用するものを作るのだから、人体に直接布を当てて裁断するのが望ましいが、それを満たすには困難な場合が多いので、人体に変わるものとしてボディが必要になってくる。
したがって、ボディはできるだけ人体に近い要素を備えているものがいいということになる。
ただし、動く人体と固定されているボディとでは当然、条件が違ってくる。
人体にそってリアルにできていればいいというわけではない。
骨格や筋肉の隆起などが人体そっくりでは、かえって使いにくかったりする。
もちろん、形体がはっきりしていないのもよくない。

立体裁断において、ボディのよしあしが出来上がりの良否や仕事の能率を左右する、といっても過言ではない。
では、よいボディとはどういうボディをいうのか、立体裁断をする立場に立って述べてみる。

 

いいボディの条件

小池千枝先生はいいボディの条件を、

  1. 美しいプロポーションであること
  2. ヌードボディがいい
  3. 使いやすい素材位のものを
  4. 肌の色を代表する色のもの

と言っています。

それでは、それぞれ具体的に見ていきましょう。

 

美しいプロポーションであること

小池千枝先生 立体裁断とボディ05フランスのボディ(前)
「新・立体裁断」より

 

各部分の測定値から抽出され、類型化された寸法を有しながら、なおかつ美しいプロポーションであること。
服は、その人の寸法に合わせながらも、美しいシルエットを作り上げ、その中に人体を入れ込んで着こなすので、土台となるボディは美しいプロポーションにしておく。
肩甲骨の張り。鎖骨のきわのくぼみや張り、僧帽筋(後ろの首筋から肩、背にかけての菱形状の平かな筋)、腹直筋(おなかの筋)などがある程度感じられるもの。
デザインの最も中心になるバストの張りは、やや控えめのもののほうがいい。
バストの張りは補正パッドで自由に形づくることができるので、流行やデザイン上で胸を強調しない場合もあることを考えて、利用範囲の広いものにしておくのである。

 

ヌードボディがいい

小池千枝先生 立体裁断とボディ06フランスのボディ(脇)
「新・立体裁断」より

 

多彩な服種に合わせて数多くのボディを持つことは不可能である。
水着からコートに至るまであらゆる服種に対応できるよう、ボディはゆとりを入れないヌード寸法のものがいい。

 

使いやすい素材のものを

布を当ててすべりやすかったり、かたくてピンが刺さりにくい素材を避ける。
人体の皮膚のようになめらかさと弾力性を備えているものが好ましく、硬質のボディの上にドミット芯や綿などをはり、その上に布をぴったりはったものがいい。
布は、あまりすべらず、ざらつかない麻や木綿が好ましい。

 

肌の色を代表する色のものを

市販されているものは、ほとんど、白が中心になっているのでとくに問題はないようである。
肌の色を代表する色であると同時に、立体裁断に使用する布の妨げにならない色で、汚れが目立たないものがいい。
麻や木綿の生なりの色がいい。

 

まとめ

小池千枝先生 立体裁断とボディ07フランスのボディ(後ろ)
「新・立体裁断」より

 

小池千枝先生の「新・立体裁断」を、久しぶりに読みました。

とても、ためになりました。

私の体験ですが、転職をしてボディが変わると1ヶ月くらいは調子が悪くなりました。

ボディのくせに合わせるのに、時間がかかってしまいました。

それくらいメーカーによって、ボディの特徴は違うのです。

 

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