胸部のデザイン例 小池千枝先生

小池千枝先生の「服装造形論」に、胸部のデザイン例がたくさん載っていました。
作例とともに、小池千枝先生の解説を紹介します。

 

1 ピエール・カルダン 1954年

小池千枝先生 胸部のデザイン例07 ピエール・カルダンジャケット ピエール・カルダン 1954年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より
ISBN4-579-10217-7

1の作品は、乳房をより強くボリュームに強調したもの。
バストポイントの位置も方向も自然であるが。乳底を広く高くそして腋下に深く拡大して、よりウエストを細くみせているものである。

 

2 イヴ・サンローラン 1958年

小池千枝先生 胸部のデザイン例08 イヴ・サンローランデイ・ドレス イヴ・サンローラン 1958年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

  • デイ・ドレス
    イヴ・サンローラン
    1958年
    ” L’officiel de la Couture et de la Mode de Paris “

2は、バストポイントの間隔を狭く、高く上げ、女性の成長段階における少女を表現したものである。
ディオール時代が終わって、イヴ・サンローランなど若いデザイナー時代に移った最初のもので、女性を著しく若返らせる方向に向かっている。
女性像の若返り化には、バストポイント表現がいかに大切なものであるかを示していると同時に、全体のシルエットを実に立体的につくり上げたものである。

 

3 カルバン(カルヴェン) 1960年

小池千枝先生 胸部のデザイン例09 カルバンジャケット カルヴェン 1960年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

  • ジャケット
    カルヴェン
    1960年
    ” L’officiel de la Couture et de la Mode de Paris “

3は、落ち着きと安らぎのあるバスト表現をしたもの。
バストポイントは高からず低からず、そして、サイドに寄せて胸部をやや偏平的にみせているが、それによってウエストと腰の表現を実にデリケートなものにしている。

 

4 アントニオ・カスティーヨ 1960年

小池千枝先生 胸部のデザイン例10 カスティヨコート アントニオ・カスティーヨ 1960年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

  • コート
    アントニオ・カスティーヨ
    1960年
    ” L’officiel de la Couture et de la Mode de Paris “

4の作品は、乳房のボリューム感や突出感を表現するものではなく、むしろマイナス感を表現したもの。
このマイナス表現も美的なものとしての訴えをもつために、他の部位、すなわちウエストやヒップおよび肩から背へかけてのボリュームづくりを行っている。

 

5 ピエール・カルダン 1962年

小池千枝先生 胸部のデザイン例11 ピエール・カルダンジャケット ピエール・カルダン 1962年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

  • ジャケット
    ピエール・カルダン
    1962年
    ” L’officiel de la Couture et de la Mode de Paris “

5は、女体のナチュラルなラインを表現したもの。
この時代にはそれなりの要求理由があり、美しいファッション性を感じるものである。

 

6 アンドレ・クレージュ 1965年

小池千枝先生 胸部のデザイン例12 アンドレ・クレージュジャケット アンドレ・クレージュ 1965年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

 

7 イヴ・サンローラン 1962年

小池千枝先生 胸部のデザイン例13 イヴ・サンローランジャケット イヴ・サンローラン 1962年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

  • ジャケット
    イヴ・サンローラン
    1962年
    ” L’officiel de la Couture et de la Mode de Paris “

6、7の表現は、前期思春期タイプをより強調し、ボーイッシュ化をファッション的に表現した作例である。
いずれも乳房を否定しただけでなく、ウエスト、ヒップも女性的表現を拒否したタイプで、さわやかなものであるが、多くの人に普遍化することはできない。
しかし一部には熱烈な支持が得られるデザインであろう。

 

8 イヴ・サンローラン 1965年

小池千枝先生 服装造形論04ドレス イヴ・サンローラン 1965年
「服装造形論 着て・動いて・美しく」より

 

  • ドレス
    イヴ・サンローラン
    1965年
    ” L’officiel de la Couture et de la Mode de Paris “

8は、モンドリアン風のパターンをいかしたデザインで、大胆なバストアップを表現したもの。
カッティングと図柄や厚地でこなしのきく素材などの効果が競合してバストアップが成功し、二頭身めがバストポイントという身体比例のバランスをはるかに引き離し、コスチュームの域から絵画的な領域まで達したものといえよう。

「服装造形論 着て・動いて・美しく」p70〜71より引用しました。

 

以下も、参考にしてください。