袖つけの構造による名称 小池千枝先生

今回は、「袖つけの構造による名称」を紹介します。
12種類の袖つけがあるので、ぜひ参考にしてください。

 

袖つけの構造による名称

小池千枝先生 袖つけ02袖つけ線のテンプレート

 

「袖 着やすさと美しさのテクニック」より、以下に引用します。

袖つけの位置は、決して一定のものではなく、最も基本的なセットインスリーブでも、体の構造そのものからみると不明確です。
骨格の連結では合理的な位置のように思われますが、筋の走行からみると、必ずしも適切ではない点があるのです。

したがって、袖つけ線の設定には変化の範囲の広がりがあります。
さらに、デザイン的な感覚でバリエーションを求めれば、多様な構造をもつ袖が生まれます。

 

セットインスリーブ

小池千枝先生 袖つけ03セットインスリーブ

 

セットインスリーブ(set-in sleeve)

袖を、肩先点およびそれよりあまりはずれない位置を通る袖ぐり線につけたものです。
この場合、袖ぐり下は浅くしても深くくっても関係ありません。
袖山にはいせ分を入れますが、ギャザーやタックなど、なんらかのデザインが施されていても、セットインスリーブとなります。

 

ドロップトショルダースリーブ

小池千枝先生 袖つけ04ドロップトショルダースリーブ

 

ドロップトショルダースリーブ(dropped shoulder sleeve)

肩先点周辺から下がった位置につけられた袖。
袖つけ位置が低いため、背が低く見えがちです。

どちらかといえば、背の高い人に合う袖ですが、背の低い人の場合は、かわいいキャップスリーブ風の袖つけにするといいでしょう。

 

シャツスリーブ

シャツスリーブ(shirt sleeve)

袖山が低く、着やすく動きやすいことが身上のシャツスリーブは、日常着のブラウスやスポーティーなシャツによく用いられます。

肩先点よりも低い袖つけのために、シャツスリーブはドロップトショルダースリーブと同じ種類に属しますが、どちらかといえば、身頃に立体感のあるほうがドロップトショルダースリーブ、ないほうがシャツスリーブとでもいえるでしょうか。

 

ハイショルダースリーブ

小池千枝先生 袖つけ05ハイショルダースリーブ

 

ハイショルダースリーブ(high shoulder sleeve)

一般的にはなじみのない名称ですが、ドロップトショルダースリーブがあるならば、ハイショルダースリーブかアップショルダースリーブ(up shoulder sleeve)があってもよく、あえてとり上げました。

肩先点から上、つまりセットインスリーブよりもネック寄りにつけられた袖のことです。

 

ラグランスリーブ

小池千枝先生 袖つけ06ラグランスリーブ

 

ラグランスリーブ(raglan sleeve)

前後身頃の肩の部分から続いた袖。
袖つけは、肩先の関節部分を避けて、体表上の筋のくぼみにそって、衿ぐりから袖ぐり下へと設定してあります。
セットインスリーブの袖つけ位置が、腕の上下運動に対して構造的にみて必ずしも合理的でないならば、本当に人体の構造に即した機能的な袖は、ラグランスリーブであるともいえるでしょう。

この袖の由来は1853年のクリミア戦争から。
負傷者が楽に着られるようにと、イギリスのラグラン将軍が考案したものといわれ、今なお、着心地のよさが好まれています。

 

エーポレットスリーブ

小池千枝先生 袖つけ07エーポレットスリーブ

 

エーポレットスリーブ(epaulet sleeve)

エーポレット(epaulet 肩章、肩飾り)風の狭い肩の部分が袖についているもので、ラグランスリーブの変形ともいえるでしょう。

男性的で、肩をいからせたスポーティーなジャケットやコートなどによく応用されます。

 

ヨークスリーブ

小池千枝先生 袖つけ08ヨークスリーブ

 

ヨークスリーブ(yoke sleeve)

ヨーク(yoke)には、結合するという意味があり、洋裁用語では切替え布をさします。

身頃の切替え部分、すなわちヨークと袖がつながったものがヨークスリーブです。
ヨークの大きさや形は自由ですが、バストポイントに近い場合は、その切替え線で胸ぐせが処理しやすいものです。

 

キモノスリーブ

小池千枝先生 袖つけ09キモノスリーブ

 

キモノスリーブ(kimono sleeve)

身頃から袖が続けて裁断されたもの。
直線的なシルエットが着物に似ているところから、この名が生まれたのでしょう。

ドルマンスリーブ風のゆったりとしたものから、運動量を補うためにまちをあしらってフィットさせたものまで、デザイン範囲の広い袖です。

袖丈は半袖から長袖まで、形は肩先をおおう小さなキャップ型から着物のような筒袖型まで、種々様々です。

 

フレンチスリーブ

小池千枝先生 袖つけ10フレンチスリーブ

 

フレンチスリーブ(French sleeve)

キモノスリーブの一種ではありますが、一般的に丈の短いものをフレンチスリーブとよぶようです。

この袖の持ち味は可憐さと軽やかさ。
軽やかさは肩の解放感から生まれます。
したがって袖口が比較的広く、楽に着られるものが好まれるでしょう。

 

キャップスリーブ

小池千枝先生 袖つけ11キャップスリーブ

 

キャップスリーブ(cap sleeve)

肩先にキャップ(cap 帽子)をかぶせたように見える袖。
肩先になじませながら、キモノスリーブ風に裁ち出したもの、小さな袖を別裁ちにしてつけたものがあります。

軽やかで若々しい感覚はフレンチスリーブとよく似ていますが、キャップスリーブのほうが肩先にアクセントがあるといえるでしょう。
ときには袖ぐり下があいているものもあります。

 

スクエアスリーブ

小池千枝先生 袖つけ12スクエアスリーブ

 

スクエアスリーブ(square sleeve)

袖つけがスクエア(square 四角)になっているところから、この名があります。

この袖は、体にフィットさせる構造性よりも、むしろ視覚に訴えるデザイン性に優れています。
また、コートに用いられるように、重ね着をしてもよく、ゆとりのある着やすさが利点といえるでしょう。

 

ドルマンスリーブ

小池千枝先生 袖つけ13ドルマンスリーブ

 

ドルマンスリーブ(dolman sleeve)

袖ぐりを大きくくったもので、キモノスリーブのように身頃と続け裁ちのものや、袖つけ縫い目のあるものもあります。

ドルマン(dolman)のそもそもの語源は、トルコ語のド ラマン(dolaman 長い服)。
トルコ人が着用している外とうの袖からきています。
深い袖ぐりと細い袖口が特徴で、長袖が多く見られます。

この袖は、ゆったりと着こなしたい、アダルト(大人らしい)な服に向くでしょう。

 

バットウィングスリーブ

小池千枝先生 袖つけ14バットウィングスリーブ

 

バットウィングスリーブ(batwing sleeve)

袖つけ線がなく、身頃のウエストのあたりから袖が続けて裁たれたものです。
深い袖ぐりと、細くすぼまった袖口から、ドルマンスリーブの一種とされています。

こうもりの翼に似ているためにこの名がありますが、蝶のようにも見えるためバタフライスリーブ(butterfly sleeve)ともよばれます。

 

参考文献

  • 袖 着やすさと美しさのテクニック
    ISBN4-579-10131-6

小池千枝先生の「袖 着やすさと美しさのテクニック」については、以下も参考にしてください。

 

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