小池千枝先生 最終回

2006年10月1日(日曜日)、私は小池千枝先生の自宅を訪問しました。
小池千枝先生にお会いするのは、7年ぶりのことでした。

 

小池千枝先生の自宅に伺いました

小池千枝先生43小池千枝先生の自宅に向かう途中、駅の方向を撮影

 

2006年の秋、私は急に小池千枝先生にお会いしたくなりました。

お忙しい小池千枝先生にご迷惑とは思いましたが、私は小池千枝先生に電話をかけました。 

小池千枝先生は、とてもお元気そうでした。

そして10月1日午後1時半頃、私は小池千枝先生の自宅へ伺いました。

 

小池千枝先生のお話

小池千枝先生は、とても喜んでくださいました。

そしてベルギーのチョコレートと、紅茶を出してくださりました。

小池千枝先生は私に、とてもたくさんのお話をしてくださいました。

本当に、たくさんのことを話してくださいました。

このときのことは、今でもはっきり覚えています。

小池千枝先生が話してくださった中から、2つだけ紹介いたします。

 

「あなたが着ているジャケット、腕を上げにくそうね!」

小池千枝先生45小池千枝先生の自宅への途中「山道」

 

私は、ヨウジヤマモトプールオムのジャケットを着ていました。

小池千枝先生はこのジャケットをじっと見て、
「あなたが着ているジャケット、腕を上げにくそうね!」
とおっしゃりました。

そして、
「ちょっと腕を上げてごらんなさい。」
とおっしゃるので、私は腕を上げました。

すると、
「ほら、腕をあげると身頃も上がるでしょ。そんなジャケットはダメよ。」
とおっしゃりました。

私は、
「ヨウジさんのジャケットなのですが・・・。」
と言いました。

小池千枝先生は、
「ヨウジさんでも、ダメなものはダメよ。」
と笑いながらおっしゃり、私をアトリエ(のようなところ)へ連れて行きました。

このアトリエには数は多くはないけれど、選び抜かれた服が置かれていました。

その中から、小池千枝先生はイヴ・サンローランのジャケットを選び、
「これを着てごらんなさい。」
とイヴ・サンローランのジャケットを私に着させてくださいました。

 小池千枝先生は、とても嬉しそうに、
「どう、着やすいでしょ。ちょっと腕を上げてみなさい。」
とおっしゃいます。

私は、腕を上げてみました。

確かに、腕を上げやすいジャケットでした。

いつも思うのですが、着やすい服は男の私がレディースの服を着たとしても、着心地がいいのです。

小池千枝先生は、満足そうに笑っていらっしゃいました。

 

「若者を正社員で雇用して欲しい。」

小池千枝先生46小池千枝先生の自宅への途中「竹藪」

 

小池千枝先生は、文化服装学院の卒業生の進路を、とても心配していらっしゃいました。

「企画の仕事は正社員での雇用が減り、契約社員やアルバイトでの仕事しか無くなっていく」
ことを、小池千枝先生は憂いていらっしゃいました。

小池千枝先生は、
「若い人から、正社員の仕事がなくなってきていると言われています。」
「アルバイトのような不安定な環境だと、長く働き続けることができなくなっちゃうから・・・。」
と、心配していました。

そして小池千枝先生は、
「佐藤さんからも会社の方に、若者を正社員で採用するように言ってください。」
とおっしゃいました。

小池千枝先生は名誉学院長を辞めた後も、文化服装学院の卒業生のことを心配していました。

若者の将来を、心配していました。

そして小池千枝先生は、アパレル業界の今後を心配していました。

大勢の方にぜひ聞いて欲しい、小池千枝先生の言葉です。

 

帰宅のとき

小池千枝先生44小池千枝先生の自宅への途中「竹藪」

 

小池千枝先生の自宅にお邪魔して、3時間が経ってしまいました。

外は、雨が降っていました。

小池千枝先生は、
「雨が降っているから、バスで帰りなさい。」
と私に、バス停までの道筋を教えてくださいました。

お礼とお別れの挨拶をして、小池千枝先生の自宅を後にしました。

すると小池千枝先生が、雨のなか私を追いかけてきてくださいました。

「バス停までは、道が複雑でしょ。」
と肌寒い中、小池千枝先生は私をバス停まで案内してくださいました。

小池千枝先生は、
「今日は来てくれて、ありがとう。」
となんども何度も言ってくださり、雨の中バスが見えなくなるまで私を見送ってくださいました。

小池千枝先生とお会いした、最後の日の思い出です。

 

最後に

この「服について。」というブログに、小池千枝先生のことを書いて3ヶ月が経ちました。

この3ヶ月間、小池千枝先生のことをたくさん思い出しました。

今でも小池千枝先生は、とても厳しくて、とても優しい先生です。

小池千枝先生のお話は、これで終わりです。

最後までおつきあいくださり、ありがとうございました。