小池千枝先生 第13回

文化服装学院での1年間が終わった後も、私は週に1度くらいは文化出版局に用事がありました。 

 

文化出版局に行く7つの理由

小池千枝先生39小池千枝先生 平成元年2月23日 衣服文化賞受賞パーティで
「小池千枝 ファッションの道」より
ISBN4-579-30334-2

 

文化出版局に行く7つの理由

  1. 月に一回はデザイン画を文化出版局に持って行きます。
  2. 装苑賞の候補に選ばれると、文化出版局にデザイン画を取りに行きます。
  3. 仮縫いを見てもらうために、文化服装学院のファッション工科専攻科を訪れます。
  4. 完成した服を文化出版局に持って行きます。
  5. 装苑に載せる装苑賞候補作品の写真撮影のために、文化出版局に行きます。
  6. デザイン画を選んでくださった先生との対談のため、文化出版局に行きます。
  7. それ以外にも、画材を買ったりシーチングを買いに文化服装学院の購買部に行きます。

こんな風に私は、文化服装学院内をうろうろしていることが多かったのです。

そんなある日、ファッション工科専攻科の担任の先生と偶然出会いました。
「佐藤さん、丁度良いところにいた。小池先生のところへ行ってちょうだい。」
と慌てた様子で、担任の先生が言いました。

私は、小池千枝先生の部屋へ向かいました。

小池千枝先生は、
「元気そうね。今日、これから時間ある?」
とおっしゃいました。

私は、
「はい。今日は時間があります。」
と答えました。

小池千枝先生は、
「良かった。これから私の代わりにファッションショーに行ってきてちょうだい。」
とおっしゃると、私に2枚の招待券を手渡されました。

 

ファッションショー

小池千枝先生40 文化服装学院円形校舎文化服装学院円形校舎
2階に小池千枝先生の部屋がありました
「小池千枝 ファッションの道」より

 

1件目のファッションショーは、大手アパレルメーカーが展開していたブランドのショーでした。

代々木公園の、大きなテントで行われたファッションショーに行きました。

会場入り口で招待状を見せると、
「小池千枝様ですね?」
と尋ねられ、ランウェイ中央の最前列に連れて行かれました。

VIP席に座らされ、周りにはテレビや雑誌で見たことのある人たちが大勢座っていました。

 

モスキーノのフロアショー

2件目のファッションショーは、バーニーズで行われたモスキーノのファッションショーでした。

1件目のファッションショーでのVIP待遇にも驚きましたが、モスキーノのショーではさらに驚くことがありました。

新宿にあるバーニーズの最上階でファッションショーは行われ、招待客は8人しかいません。

私はまた、
「小池千枝様ですね?秘書の方ですか?」
と尋ねられ、丸テーブルの席へと案内されました。

席に着くと、紅茶が用意されファッションショーが始まりました。

モデルは番号札を持って登場し、招待客はバイヤーや顧客なのだと想像できました。

紅茶を飲みながらファッションショーを見たのは、これが初めてでした。

普段では絶対にできない体験を、させていただきました。

小池千枝先生が私のために、いろいろな体験をさせてくださったのだと思います。

 

装苑賞

私は小池千枝先生に、2型デザイン画を選んでいただきました。

対談のとき小池千枝先生はいつも、
「元気そうね。良かったわ。」
と言ってくださいました。

講評は厳しかったけれど、いつも私のことを心配してくださいました。

そして毎回、
「頑張ってね。」
と応援してくださいました。

第14回につづく・・・