小池千枝先生 第12回

1992年3月。
文化服装学院での1年間はあっという間に過ぎ、とうとう「卒展」の時期になってしまいました。

 

卒展

小池千枝先生38 佐藤真樹小池千枝先生と私 1992年3月6日
卒展会場にて

 

文化服装学院の卒業生は、「卒ショー」というファッションショーを行います。

ファッション工科専攻科は学生が11名と少なく、ファッションショーができません。

そこで、ファッション工科専攻科では毎年、「卒展」を開催していました。

ファッションショーに比べれば、卒展は地味に見えます。

しかし服をよく見てもらい、お客さんとコミニュケーションをとるには、 展示会はとても良い発表の場です。

卒業生は「卒展」のために作品を作ったり、会場のディスプレーに力を入れ、自分の展示スペースを作りました。

私は、装苑賞、並木賞、遠藤賞に出した作品3体を展示しました。

小池千枝先生が「卒展」を見に来てくださり、卒業生1人1人に言葉をかけてくださいました。

そして卒業生全員と、写真を撮ってくださいました。

 

文化服装学院の卒業生による講演

文化服装学院では卒業式間近に、文化服装学院を卒業して活躍している先輩をお呼びしていました。

そして、1時間半くらいの講演をしていただきます。

「今年は誰にしよう。」
という話になりました。

小池千枝先生が、ファッション工科専攻科の担任の先生に、
「今年はヨウジさんにお願いしようと思うけど、どうかしら?」
と話されました。

講演の後、ヨウジさんに「卒展」を見ていただくことになりました。

私たちは嬉しい半面、とても緊張しました。

ヨウジさんの講演はとても感動的でした。

しかし、内容を思い出すことができません。
(なぜか、この時期のことを詳しく思い出すことができません。)

講演の後、ヨウジさんが「卒展」を見に来てくださいました。

小池千枝先生と担任の先生が、ヨウジさんに学生1人ひとりを紹介してくださいました。

ヨウジさんが私のところに来て、
「これはどうしたの?」
と並木賞に出した服を指さしました。

小池千枝先生がヨウジさんに、
「並木賞の佳作をとったのよ。」
と説明してくださいました。

ヨウジさんは、
「ふーん」
といった感じで、他の学生の作品の方へ歩いて行きました。

 

後日談

ヨウジヤマモト034 小池千枝先生ヨウジヤマモト 1992-93年秋冬コレクション
「All About Yohji Yamamoto」より
ISBN978-4-579-30446-2

 

1992年4月18日に東京で、ヨウジヤマモト1992-93年秋冬コレクションが開催されました。

ランウェイには、金色の紙が敷かれていました。

そして作品には、ゴールドが多く用いられていました。

私も卒展で金色の紙を使ったので、嬉しい気分になりました。

ヨウジさんが、私の卒展を真似てくれたのかと勝手に思いました。

お金があると大量の金色の紙を使うことができて、私は羨ましくなりました。

 

卒業式

小池千枝先生と担任の先生のご好意によって、私も卒業式に出席させていただきました。

小池千枝先生の卒業生への言葉に、私たちは感動しました。
(感動した気持ちは覚えていても、内容を覚えていないことが残念でなりません。)

卒業式の後、ファッション工科専攻科の学生と担任の先生、副担任の先生と、新宿の居酒屋で謝恩会を行いました。

小池千枝先生はお忙しいなか、参加してくださいました。

そして小池千枝先生は私に、
「一年間よく頑張ったわね。これからも頑張りなさい。」
と声をかけてくださいました。

私はこれからの一年間、
「装苑賞にかけていく。」
とは言ったものの、果たしてデザイン画を選んでいただくことはできるのでしょうか?

不安と希望が入り混じるなか、私の文化服装学院での一年間は終わりを告げました。

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