1920年代にきものの影響を受けて作られたコート

ファッションデザイナーは1920年代に、きものに影響を受けた服をたくさん発表しました。
その中から今回は、コートを紹介します。

 

Maria Monaci Gallenga

きものの影響を受けたコート02 Maria Monaci Gallengaイブニング・コート Maria Monaci Gallenga 1922年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • イブニング・コート
    Maria Monaci Gallenga
    1922年ころ
    黒いベルベットにアラベスク柄のプリント
    きものの様な袖
    枕状の衿
    タッセル
    ベルベットの裏地

Maria Monaci Gallenga(1880年-1944年)は、イタリアのローマに生まれました。

このイブニング・コートは、袖の振りがきものを連想させます。

 

ポール・ポワレ

きものの影響を受けたコート03 ポール・ポワレコート ポール・ポワレ 1923年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • コート「マンダリン」
    ポール・ポワレ
    1923年ころ
    黒のウール・ツイルに多色の刺繍
    ウイング・カラー

このコートはボーべ刺繍による細かいチェーン・ステッチで、

  • 籬(まがき)・・・竹や柴などで目を粗く編んだ垣根
  • 雄鶏
  • 水文(みずもん)・・・水の文様

といった日本的なモチーフを描き出しています。

マンダリンとは、中国清朝の高級官吏を意味します。

ポール・ポワレは、日本と中国を明確には区別していませんでした。

折衷主義者のポール・ポワレらしく、このコートのモチーフは左右対称になっています。

 

パンゴン夫人

きものの影響を受けたコートコート04 バンゴン夫人コート パンゴン夫人 1924年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より
ISBN978-4-89737-894-7

 

  • コート
    パンゴン夫人
    1924年ころ
    紫のベルベット
    虎の柄をバティック染め
    衿は黒のベルベット
    裏地は紫の絹シャルミューズ

このコートは、きもののシルエットに影響を受けています。

しかし後ろ身頃の背中心に接ぎがなく、一枚で仕立てられています。

ウエストには、ドローストリングの様なギャザーが見られます。

バティック染めとは、インドネシアで染められている「蠟纈(ロウケツ)染め」のことです。

 

マギー・ルフ

きものの影響を受けたコートコート05 マルグリット・ブザンソン・ド・ワグネルコートのデザイン画 マギー・ルフ 1927年秋冬
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • コートのデザイン画
    マギー・ルフ
    1927年秋冬
    グワッシュ、ワニス、鉛筆、紙

ファッションデザイナーのマギー・ルフ(1896年-1971年)が描いた、きもの風コートのデザイン画です。

マギー・ルフはきものを、西洋の視点で大胆にデザインしています。

マギー・ルフのメゾンは、1929年に両親のクチュール店を引き継いで始まりました。

マギー・ルフは、1948年に引退するまでデザインを続けました。

 

ジャンヌ・ランバン

きものの影響を受けたコート06 ジャンヌ・ランバンイブニング・コート ジャンヌ・ランバン 1929年夏
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • イブニング・コート
    ジャンヌ・ランバン
    1929年夏
    赤い絹サテン
    両袖にラベンダーと黒い絹糸、金糸で刺繍
    裏地は赤い絹羽二重
    きもの風のシルエット

こちらはジャンヌ・ランバンによる、きもの風のイブニング・コートです。

ジャンヌ・ランバンが、西洋的な視点できものを解釈し構成しています。

このイブニング・コートときものとの共通点は、

  1. 両身頃の脇にきものの身八つ口風の明きがある
  2. 袖付けから袖下までの振りの明きがある

ところです。

またこのイブニング・コートときものの違う点は、

  1. 左右の前身頃に衽(おくみ)がない
  2. 後ろ身頃は背縫いなしの一枚仕立て
  3. 肩線が傾斜している

ところです。

 

エミーリエ・フレーゲ

きものの影響を受けたコート07 エミーリエ・フレーゲコート エミーリエ・フレーゲ 1920年代
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • コート
    エミーリエ・フレーゲ
    1920年代
    黒と白の綿サテンをストライプ状にパッチワーク
    黒い綿サテンの大きなショール・カラー
    ハンギング・スリーブ
    打合せは黒のくるみボタン留め
    後ろ身頃に2枚のパネル付き

このコートは、打合せのきものをイメージしています。

特に特徴的な袖の振りは、アシンメトリーになっています。

左右の袖で、50cmも長さが異なっています。

1873年のウィーン万博を機に、オーストリアにも日本文化が広く紹介されました。

エミーリエ・フレーゲ(1874年-1952年)は、グスタフ・クリムトの生涯の伴侶でした。

エミーリエ・フレーゲは2人の姉と一緒に、1904年から1938年まで服飾店「カーサ・ピッコロ」を経営しました。

 

1920年代のファッションは、以下も参考にしてください。

きものについては、以下も参考にしてください。