建築家・篠原一男 多木浩二著

清家清に師事した篠原一男について調べようと、「建築家・篠原一男」という本を買いました。
2011年のことでしたが、難解な本で読むことを諦めてしまいました。

 

建築家・篠原一男

篠原一男 多木浩二02「建築家・篠原一男」表紙

 

建築家・篠原一男
幾何学的想像力

  • 著者 :多木浩二
  • 発行所:青土社
  • 定価 :2,200円(税別)
  • 2007年7月20日 第1刷発行
  • ISBN978-4-7917-6336-8

篠原一男について書きたいと思ったものの、私は何一つ知らないことに気づきました。

私は6年振りに、「建築家・篠原一男」を手に取りました。

多木浩二が亡くなった時、「新建築」の書評で知ってこの本を購入したことを思い出しました。

 

篠原一男

篠原一男 多木浩二03花山南の家 篠原一男 1968年
「建築家・篠原一男」より

 

篠原一男

  • 1925年 静岡県に生まれる(4月2日)
  • 1947年 東京物理学校卒業
         東北大学で数学を専攻
  • 1949年 東京工業大学工学部建築学科に入学
  • 1953年 東京工業大学工学部建築学科を卒業
         同学科一般教育図学教室の助手となる
  • 1962年 助教授となる
  • 1967年 工学博士号を取得
  • 1970年 教授に就任 
  • 1972年 日本建築学会賞(「未完の家」以降の一連の住宅)
  • 1986年 定年退官
         東京工業大学名誉教授
  • 1989年 芸術選奨文部大臣賞
  • 1990年 紫綬褒章
  • 1997年 毎日芸術賞特別賞
  • 2000年 勲三等旭日中綬章
  • 2005年 日本建築学会大賞
  • 2006年 死去(7月15日)
  • 2010年 ヴェネツィア・ビエンナーレ特別記念金獅子賞(没後)

篠原一男は東京工業大学で、清家清に師事しました。

 

篠原一男の主な作品

篠原一男 多木浩二04同相の谷 篠原一男 1971年
「建築家・篠原一男」

 

篠原一男の主な作品

  • 1958年 久我山の家その2竣工
  • 1960年 狛江の家竣工
         茅ヶ崎の家竣工
  • 1961年 から傘の家竣工
  • 1963年 土間の家竣工
  • 1966年 白の家竣工
  • 1968年 花山南の家竣工
         鈴庄さんの家竣工
  • 1970年 未完の家竣工
         篠さんの家竣工
  • 1971年 直方体の森 竣工
         同相の谷竣工 
  • 1972年 久が原の住宅竣工
  • 1973年 成城の住宅竣工
  • 1974年 谷川さんの住宅竣工
  • 1976年 上原通りの住宅竣工
  • 1977年 愛鷹裾野の住宅竣工
  • 1978年 上原曲がり道の住宅
  • 1982年 日本浮世絵博物館
  • 1987年 東京工業大学百年記念館

 

多木浩二

篠原一男 多木浩二05鈴庄さんの家 篠原一男 1968年
「建築家・篠原一男」より

 

多木浩二

  • 1928年 兵庫県神戸市に生まれる(12月27日)
  • 1955年 第2回美術出版社芸術評論で「井上長三郎論」で佳作入選
  • 1957年 東京大学文学部美学美術史学科卒業
  • 1959年 博報堂に入社
  • 1961年 編集デザイン事務所ARBO(アルボ)を設立
  • 1968年 同人誌「PROVOKE―思想のための挑発的資料」刊行
  • 1994年 八束はじめと季刊誌「10+1」(INAX出版)の編集を始める
  • 1998年 「シジフォスの笑い」で芸術選奨文部大臣賞受賞
  • 2011年 死去(4月13日)

多木浩二は教育者としては、

  • 和光大学助教授
  • 東京造形大学教授
  • 千葉大学教授

などを歴任しました。

「建築家・篠原一男」の写真は全て、多木浩二による撮影です。

 

住宅は芸術でなければならない

篠原一男 多木浩二06未完の家 篠原一男 1970年
「建築家・篠原一男」より

 

多木浩二は篠原一男とその建築について、

  1. ナルシスト
  2. 真の革新者
  3. 「正統」に対する「異端」
  4. 大胆な人
  5. 繊細
  6. 威圧的な態度
  7. 外国人からどうして作品はいいのに人物は不愉快なのだろう、と聞かれたことがある
  8. 美しいものに共感しうる人間性を問題にした
  9. ある意味で「図々しい建築」
  10. 人間の非合理性を蘇らせた
  11. 雑誌に発表する時に自分について書く著者まで決めてしまう
  12. 知的理解ではすまない
  13. 70年代が黄金時代だった
  14. もっとも驚くのは、彼の「直感」なのです
  15. 作品至上主義だった
  16. 集団に対する興味を持たなかった
  17. 小さな個人が作る完璧な不変性
  18. 精神と形式についてシビアに考えた

と語っています。

 

まとめ

篠原一男 多木浩二07上原通りの住宅 篠原一男 1976年
「建築家・篠原一男」より

 

「建築家・篠原一男」には、篠原一男と多木浩二の対談が掲載されています。
(初出は「4人のデザイナーとの対話」新建築社 1975年)

二人の対談を読んでいると、不思議な違和感を感じます。

私は、お互い(篠原一男と多木浩二)の中に「苛立ち」のようなものを感じました。

対談を読んでいる私の中にも、「苛立ち」が生じた様に思いました。

2006年に多木浩二自らが、この対談について回顧しています。

以下に、引用します。

それから確かなもの、不確かなものということを問題にしたのは、あの対談よりもう少し前のことだったんです。
その点に関しては篠原さんと私のあいだに決定的な意見の違いがあったのです。
私はこの世には確かなものなど存在しないと考えていました。

(中略)

篠原さんは「確かなもの」があるという立場でした。
これはものを作る人と、言葉だけの人間との違いかどうか、あまりはっきりしていません。

「建築家・篠原一男」p22より引用

篠原一男の言葉は、難解です。

しかし篠原一男の言葉は、

  • 原風景
  • 具体例
  • 経験

が語られていて私にも理解することができました。

一方、多木浩二は

  • 抽象的
  • 普遍的
  • 観念的

な言葉を意図的に使うので、私には理解できませんでした。

私は、ものを作る人の言葉に惹かれます。