ジル・サンダー

とても大事なファッションデザイナーを、忘れていました。
今回紹介するジル・サンダーは、私のなかで「もやもや」したファッションデザイナーです。

 

ジル・サンダー

ジル・サンダー01ジル・サンダー
Anti Fashion」より

 

ジル・サンダー(Jil Sander)

本名:ハイデリー・イリーネ・ザンダー

  • 1943年 ドイツのハンブルグ近郊で生まれる(11月27日)
  • 1963年 クレフェルト・スクール・オブ・テキスタイル専門学校を卒業
  • 1968年 ブティックをハンブルグの近郊にオープン
  • 1973年 パリ・コレクションにデビュー
  • 1979年 「ジル・サンダー」ブランドの化粧品を発売
  • 1980年 パリ・コレクションを撤退
  • 1985年 ミラノを拠点として再出発
  • 1987年 ミラノ・コレクションに参加
  • 1989年 ジル・サンダー社をフランクフルト証券取引所に上場
  • 1993年 パリに旗艦店をオープン
  • 1997年 ミラノでメンズコレクションを発表
  • 1999年 プラダ・グループがジル・サンダー社を買収
  • 2000年 デザイナーを辞任(1月)
  • 2003年 「ジル・サンダー」のデザイナーに復帰(5月)
  • 2004年 デザイナーを辞任(11月)
  • 2009年 ファーストリテイリング社とデザインコンサルティング契約(3月)
  • 2011年 ファーストリテイリング社とのデザインコンサルティング契約を終了
  • 2012年 「ジル・サンダー」のデザイナーに復帰
  • 2013年 デザイナーを辞任

 

ジル・サンダーのミニマリズムの革新

ジル・サンダー02セーターとスカート ジル・サンダー 1997年秋冬
「もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー」より
ISBN978-4-7661-2374-6

 

  • セーターとスカート
    ジル・サンダー
    1997年秋冬
    セーターはウール
    スカートはベルベット

ジル・サンダーはデザインの過程でどんな困難に遭遇しても、

  • 既存の問題を解決
  • 新たな発想を生み出す

このように前進してきました。

ジル・サンダーは、ミニマリズムを絶えず革新し続けました。

そして装飾ではなく、デザインの良さで勝負するという発想を打ち出しました。

ジル・サンダーの言葉を、以下に引用します。

デザイナーとして直面する困難こそが、デザインの糧になる。
困難を克服することで、新たな発想への道が開け、思いがけないものが生まれてくるかもしれないという緊張感が生まれる。
だからこそ、困難に直面しても投げ出してしまうべきではないのだ。
クリエイティブに切り抜けることができるのだから。

「もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー」p144より引用

 

ジル・サンダーの3つのインスピレーションの源

ジル・サンダー03ドレス ジル・サンダー 1999年春夏
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より
ISBN978-3-8365-3719-1

 

  • ドレス
    ジル・サンダー
    1999年春夏
    金色のポリエステル・ジャガード

ジル・サンダーのインスピレーションの源は、3つあるといいます。

ジル・サンダーの言葉から、以下に引用します。

私のインスピレーションの源は3つある。
ひとつは、どこからともなく湧いてくるなにか。
ふたつめは、過ぎ去った時代が残していったもの。
そして3つ目は、未来を形作っていくものすべてだ。
我々は、シンボルやシグナル、ヒエログリフ(古代エジプト文字の一種)を読みとり、それがどのような未来を示唆しているのか読み解くすべを学ぶべきだ。

「もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー」p144より引用

ジル・サンダーは、

  • 女性たちの現在のニーズ
  • 時が経っても色あせない未来志向のデザイン

を生み出しています。

 

ジル・サンダーの紆余曲折

ジル・サンダー04ドレス ジル・サンダー 2000年春夏
「もっとも影響力を持つ50人のファッションデザイナー」より

 

  • ドレス
    ジル・サンダー
    2000年春夏
    滑らかさと空気のような軽さが特徴的な素材

ジル・サンダーの経歴を見ていると、「紆余曲折」という言葉が浮かんできます。

ジル・サンダーは1968年に、

を扱うブティックを始めました。

ジル・サンダーは、1973年にパリ・コレクションに進出しました。

しかし評価されず、1980年に撤退しました。

1985年にミラノに拠点を移し、ジル・サンダーは再出発しました。

1990年代に入り「ジル・サンダー」はようやく、トップ・ブランドとして認識されるようになりました。

しかし人気絶頂の1999年に、ジル・サンダー社はプラダ・グループに買収されてしまいます。

それからジル・サンダーは、3度の退任劇を経験しました。

 

まとめ

ニック・ナイト07 ジル・サンダードレス ジル・サンダー 1992年
「NICKNIGHT」より

ISBN978-3-88814-661-9

 

  • ドレス
    ジル・サンダー
    1992年
    撮影 :ニック・ナイト
    モデル:タチアナ・パティッツ

ジル・サンダーがファーストリテイリング社とデザインコンサルティング契約を結んだとき、私は不思議に思いました。

「コストを下げて品質を落としたくない」という理由で、ジル・サンダーは2000年にデザイナーを辞任したものとばかり思っていました。

ファーストリテイリング社の品質でいいのなら、2000年にジル・サンダー社を辞めなくてもよかったと思うのです。

プラダ・グループの一員になったとしても、「ジル・サンダー」は「+J」の品質よりいいはずです。

ジル・サンダーの2000年の退任劇は、他に理由があったのではないかと思ってしまいます。

2000年以降の出来事は、ジル・サンダーのキャリアに傷をつけたように思います。

キャリアの晩年に、傷をつけてしまう大御所ファッションデザイナーはたくさんいます。

「引き際が大切」ということでしょうか。