ジャポニスムがパリモードに与えた影響

ジャポニスムは、パリモードにどのような影響を与えたのでしょうか?
その影響を、服と一緒に見ていきましょう。

 

ポール・ポワレに見られる影響

ジャポニスム10 ポール・ポワレイブニング・ドレス ポール・ポワレ 1910-1911年
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • イブニング・ドレス
    ポール・ポワレ
    1910-1911年

    ベージュの絹サテンのワンピース・ドレス
    絹チュールのオーバードレスに多色のビーズと金糸で花の刺繍
    金チュールのペプラム付き

ポール・ポワレは、1903年頃からきものにヒントを得た服を作り始めました。

ポール・ポワレがまだ、ウォルトの店で働いていたときでした。

ポール・ポワレは自伝に、 
「黒のラシャ製の、大きくて四角なキモノで、黒サテンで縁取りしてあった。
袖は大きく、中国のコートの袖のように刺繍で飾ってあった。」
と記しています。

写真のイブニング・ドレスには、折衷主義的なポール・ポワレの特徴がよく表れています。

シルエットは体を無理に締め付けず、ゆったりとしています。

ポール・ポワレは、日本と中国の違いを正確に把握していたとは思えません。

しかし重要な点は、

  1. 直線的な裁断
  2. 緩やかさの訴求

にあります。

 

マドレーヌ・ヴィオネに見られる影響

ジャポニスム11 マドレーヌ・ヴィオネイブニング・ドレス マドレーヌ・ヴィオネ 1922年
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • イブニング・ドレス
    マドレーヌ・ヴィオネ
    1922年

    銀のラメ糸を経糸に入れたピンクの絹ボイルのドレス
    着物の合わせのような前身頃と後ろ身頃
    ゆとりのある細長いシルエット
    ビーズ刺繍で弓文様

マドレーヌ・ヴィオネは、早くから身体の解放を目指していました。

マドレーヌ・ヴィオネはキャロ姉妹のもとで働いていたとき、日本人の踊り子「貞奴」を訪ねたことがありました。

1910年代後半から、きものの構造に目を向けた衣服制作を展開しました。

そして女性の身体性を新たな解釈で際立たせる、衣服の新しい構成概念を打ち立てました

 

緩みと平面性が特徴の直線の裁断

ジャポニスム12 マドレーヌ・ヴィオネウエディング・ドレス マドレーヌ・ヴィオネ 1922年
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • ウエディング・ドレス
    マドレーヌ・ヴィオネ
    1922年

    白い絹ファイユとチュール
    直線裁ちされたくるぶし丈のワンピース・ドレス
    後ろ腰に大きなボウと長いトレーン
    袖口と、オーバースカートのチュールには、共布の小さなバラ飾り

第一次世界大戦後、モードには機能性が重要視されました。

マドレーヌ・ヴィオネは、

  • 「フリソデ」
  • 「ジャポニカ」

などの名前をつけた作品を発表していました。

さらにマドレーヌ・ヴィオネはきものにインスピレーションを得て、

  1. 緩みと平面性
  2. 直線の裁断

によって、立体的な身体に沿う服作りが可能であることを試みています。

 

そしてバイアス・カットへ

ジャポニスム14 マドレーヌ・ヴィオネデイ・ドレスのアップ マドレーヌ・ヴィオネ 1925年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • デイ・ドレス
    マドレーヌ・ヴィオネ
    1925年ころ

    グリーンの絹クレープのワンピース・ドレス
    直線的なシルエット
    ボート・ネックライン
    身頃全体に手縫いのピンタックが施され、
    肩から腰までは波模様
    腰から裾までは直線を描く

マドレーヌ・ヴィオネの1918-1920年代初期の作品は、直線的な構成を見せています。

やがてそうした直線的な裁断から、より自由に解き放たれてバイアス・カットへと向かいます。

バイアスの布使いは、布地が伸びるので身体に添い、美しいドレープを創ります。

そして着る人の動きにそって、思いがけない流れを作り出すのです。

マドレーヌ・ヴィオネの裁断技術によって、20世紀の衣服はさらに自由なデザインを発想し、展開していくことになるのです。

 

まとめ

ジャポニスム15 マドレーヌ・ヴィオネイブニング・ドレス「アンリエット」 マドレーヌ・ヴィオネ 1923年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • イブニング・ドレス「アンリエット」
    マドレーヌ・ヴィオネ
    1923年ころ

    金色、銀色ラメ平織りのワンピース・ドレス
    金ラメ平織りとシルク・クレープのストール
    金銀各28枚の布で市松文風にパッチワーク

ポール・ポワレとマドレーヌ・ヴィオネの服を、見てきました。

ジャポニスムがパリモードに与えた影響とは、

  1. 直線的な裁断
  2. 緩み

の2点でした。

このことによって、衣服は機能的になりました。

さらにマドレーヌ・ヴィオネによって、バイアス・カットへと発展していきます。

ポール・ポワレとマドレーヌ・ヴィオネは、ジャック・ドゥーセのメゾンにいたことがあります。

ジャック・ドゥーセは、早くからジャポニスムに注目していました。

ポール・ポワレとマドレーヌ・ヴィオネ、2人の違いがはっきりわかりました。

ポール・ポワレは、折衷主義の人でした。

マドレーヌ・ヴィオネは、きものから発想して独自の技術を確立しました。

この2人の違いが、私の好き嫌いに関係していることは間違いありません。

 

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