ギュスターヴ・ベール

最近古い服の写真を見ていて、あるファッションデザイナーの名前をよく見かけました。
その人の名は、ギュスターヴ・ベールです。

 

ギュスターヴ・ベール

アール・ヌーヴォ・スタイル05 ベールデイ・ドレス ギュスターヴ・ベール 1905年ころ
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • デイ・ドレス
    ギュスターヴ・ベール
    1905年ころ
    レース、ボイルなど柔らかな素材を用いている
    豊かな装飾
    素材や装飾を複雑に組み合わせるのが、この時代の特徴

ギュスターヴ・ベールは、生没年が不明です。

そこで海外のサイトを調べてみたところ、おおよその生まれた年が書いてありました。

これをもとに、ギュスターヴ・ベールの略年表を書いてみます。

ギュスターヴ・ベール(Gustave Beer)

  • 1875年 このころドイツで生まれる
  • 1895年 傘と扇を扱う
  • 1905年 パリのヴァンドーム広場にメゾンを開設
  • 1929年 ドレコル店と合併し、ドレコル・ベール店と改称

ギュスターヴ・ベールは、ニースとモンテカルロに支店を持っていました。

 

ドレスとランジェリー

ギュスターヴ・ベール02アフタヌーン・ドレス ギュスターヴ・ベール 1910年
「FASHION 18世紀から現代まで」より
ISBN978-4-88783-282-4

 

  • アフタヌーン・ドレス
    ギュスターヴ・ベール
    ”レ・モード”誌 1910年5月号
    フェリックス撮影

ギュスターヴ・ベールはヴァンドーム広場のメゾンで、

  • エレガントなドレス
  • 高級ランジェリー

を提供していました。

ギュスターヴ・ベールは、パリで最も高価なドレスメーカーの一人でした。

ギュスターヴ・ベールのファッション哲学は、「保守的な顧客のためのコンサバティブ・エレガンス」でした。

その細部まで贅沢に作られたエレガントな服は、高い評価を得ました。

 

ジャポニスムの影響

アール・ヌーヴォ・スタイル06フォルム・ジャポネーズ ギュスターヴ・ベール 1907年
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • フォルム・ジャポネーズ
    ギュスターヴ・ベール
    ”レ・モード”誌 1907年2月号
    P.ボイヤー撮影

19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて、ジャポニスムが流行しました。

ギュスターヴ・ベールも、ジャポニスムの影響を受けました。

衿と打ち合わせに、日本の着物のイメージがあらわれています。

アール・ヌーヴォー・スタイルに、ジャポニスムを組み合わせた例です。

S字型シルエットにジャポニスムのディテールのドレスは、珍しいです。

 

アール・デコ・スタイルへ

ギュスターヴ・ベール06イブニング・ドレス(前) ギュスターヴ・ベール 1919年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流」図録より
ISBN978-4-89737-894-7

 

  • イブニング・ドレス
    ギュスターヴ・ベール
    1919年ころ
    黒い絹チュールのワンピース・ドレス
    シルバー・ビーズの刺繍
    胸元に、バックルを模したラインストーン刺繍
    黄緑と金色のラメ・ストライプ織のサッシュ
    スカート前部にシルバー・ビーズのフリンジ飾り
    トレーン付き

このドレスは、1920年代を予感させます。

その特徴は、

  1. スカート前部のフリンジが揺れ動き、脚線美を強調している
  2. 直線的なシルエット
  3. 金属的な輝き
  4. 青海波(せいがいは)

の4点です。

波文様の一種である青海波(せいがいは)は、

  • 西欧では鱗
  • 中国では地図上で波

を表します。

青海波はアール・デコ好みの幾何学文様で、1920年代にたびたび登場しました。

 

まとめ

ギュスターヴ・ベール07イブニング・ドレス(後ろ) ギュスターヴ・ベール 1919年ころ 
「ファッションとアート 麗しき東西交流」図録より

 

ギュスターヴ・ベールは、アール・ヌーヴォー・スタイルからアール・デコ・スタイルにかけて活躍しました。

今まで見てきたなかで、

  • アール・ヌーヴォー・スタイル
  • アール・デコ・スタイル

の両方の服を見ることができるファッションデザイナーは、いませんでした。

ギュスターヴ・ベールは、とても興味深いファッションデザイナーです。

日本であまり知られていないことが、残念です。

 

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