室内着としてのキモノ

2017年の最後は、「室内着としてのキモノ」を紹介します。
ジャポニスムの流行で、キモノがどのように誕生したのかがわかります。

 

きものとキモノ

室内着としてのキモノ02日本製輸出用室内着 1906年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より
ISBN978-4-89737-894-7

 

  • 日本製輸出用室内着
    1906(明治39)年ころ
    クリーム色の絹サテン
    藤、菖蒲(しょうぶ)、燕、鷺(さぎ)の模様を絹糸刺繍
    両脇にマチ入り
    後ろ腰にプリーツ入り
    裾と袖に袘(ふき)付き

日本のきものは、当時のファッションに比べてゆるやかでした。

女性たちはコルセットをゆるめて着られる室内着として、きものを着用しました。

19世紀後半、日本のきものは欧米に渡りました。

そして絵画に登場したり、女性たちの室内着として着られました。

日本のきものは、流行のドレスに仕立て直されたりしました。

20世紀初頭には、きものは欧米で新種のおしゃれな室内着「キモノ」となりました。

一大kimonoブームを起こし、日本製、海外製を含めて多くのキモノが生産されました。

このような流行に乗じて、1900年から1910年代にかけて日本からも多くのキモノが輸出されました。

 

マリアノ・フォルチュニィ

室内着としてのキモノ03 マリアノ・フォルチュニィ室内着 マリアノ・フォルチュニィ 1910年代
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • 室内着
    マリアノ・フォルチュニィ
    イタリア
    1910年代
    オフ・ホワイトの絹タフタ
    松皮菱(まつかわびし)、雪輪に葵のモチーフをステンシル・プリント
    袘(ふき)と裏地はピンクの絹タフタ

マリアノ・フォルチュニィは、日本の美術品や布地に囲まれて育ちました。

このキモノは、

  • 衿や袖の付け位置
  • 前後の身頃が一続きでない

などきものと構造上多くの相違点があります。

マリアノ・フォルチュニィは1906年ころから日本の型染めに影響を受け、「ステンシル」を用いたシルクスクリーンによる多色プリント技術を開発しました。

モチーフには、

  • 東洋的
  • 中世的
  • ルネサンス的
  • 日本的

なものが度々使われました。

 

オー・ミカド店

室内着としてのキモノ04 オー・ミカド店室内着 オー・ミカド店 1900年代
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • 室内着「キモノ・サダヤッコ」
    オー・ミカド店
    フランス
    1900年代
    生成りの羽二重に黒の鳳凰(ほうおう)、鳳凰の丸文、蝶のプリント
    衿は栗色の絹サテン

1900年にパリで公演した川上貞奴は、美貌ときものの着こなしで人気になりました。

その人気にあやかって、パリのオー・ミカド店が「キモノ・サダヤッコ」を売り出しました。

「キモノ・サダヤッコ」の広告は、1903年ころからフランスの女性誌「フェミナ」に登場しました。

やがて、イタリアやスペインの雑誌にも広告が出され通信販売が行われました。

広告では、「キモノ・サダヤッコ」は日本から運んだ本物のきものと銘打たれていました。

しかし実際には、西欧で仕立てられたものでした。

「キモノ・サダヤッコ」は足首までの着丈でしたが、この製品はのちに裾が切られて短くなっています。

 

20世紀初頭のアメリカでの流行

室内着としてのキモノ05 チャールズ・ウェブスター・ホーソーン「キモノを着て坐る女性」 チャールズ・ウェブスター・ホーソーン 1923年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • 「キモノを着て坐る女性」
    チャールズ・ウェブスター・ホーソーン
    アメリカ
    1923年ころ
    油彩、カンヴァス
    H.59.7×W.41.3cm
    クライスラー美術館蔵

この絵に描かれた、

  • 胸が大きく開いた室内着の上にきもの風室内着を羽織り
  • 肘掛け椅子でくつろぐ女性

は20世紀初頭のアメリカで流行した主題でした。

この絵には、

  • 鴨が描かれた屏風
  • 黒い骨組みに赤地に白と黄色の花柄のランプシェード

など当時のアメリカの中流家庭で流行した日本趣味の調度品が描かれています。

 

まとめ

室内着としてのキモノ06室内着 アメリカ製 1908年ころ
「ファッションとアート 麗しき東西交流展」図録より

 

  • 室内着
    アメリカ製(推定)
    1908年ころ
    ピンクの綿フランネルにちょうちん柄のプリント
    ピンクの絹サテンのトリミング

20世紀初頭、欧米でキモノ人気が広がりました。

アメリカでは安価な人造絹糸製の、ドイツ製キモノが広く着用されました。

アメリカの通信販売用カタログ

  • シアーズ・ローバック
  • モントゴメリー・ワード

などには、キモノと称する安価なアメリカ製やドイツ製の室内着が多く見られました。

私は大学生のとき、前後の身頃が一続きのきもののようなメンズのコートを作りました。

このコートは肩傾斜が体に合わないので、着心地は良くありませんでした。

日本のきものが欧米でキモノになるとき、肩に接ぎが入ったことは当然のことだったと思います。

肩に接ぎを入れるか入れないか、服の性格を決める上でとても大切なことです。

 

ジャポニスムについては、以下も参考にしてください。

 

Share on FacebookTweet about this on TwitterPin on Pinterest