布の地の目が初めて見えた瞬間

服を作る者にとって、布の地の目はとても大切です。
どこに経地の目(たてじのめ)を通すかによって、服の表情が変わります。

 

布の表情 

布地02 イヴ・サンローラン赤い布のサンプル(経糸と緯糸見えますか?)
「YVES SAINT LAURENT」より
ISBN978-0-8109-9608-3

 

経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を織って、布地を作ります。

  1. 糸の種類
  2. 経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の太さの違い
  3. 打込み本数(1インチあたりの糸の本数)の違い
  4. 織り方による組織の違い(主に平織り、綾織り、朱子織りがある)

これらの違いによって、布の張り感、垂れ感の違いが生まれます。

布の表情が違うと、服のデザインも変わってきます。

 

地の目が見えた瞬間

布地03 イヴ・サンローラン青い布のサンプル
「YVES SAINT LAURENT」より

 

私が文化服装学院で勉強を始めた頃、地の目の大切さを頭ではわかっていました。

しかしトワルを組んでみても、地の目を実感することがなかなかできませんでした。

もちろん、布地を見れば経糸(たていと)、緯糸(よこいと)は見えます。

織り方の違いによる、組織の違いもわかります。

でもトワルを組んでいるときには、地の目が見えてこなかったのです。

文化服装学院で学び始めて10ヶ月が過ぎた2月頃、装苑賞の候補作品に選ばれました。

私はトワルを組んでは解体し、又組み直すことを繰り返していました。

トワルを、20体くらい組んだ頃でしょうか。

突然、トワルの「地の目」が目に飛び込んできたのです。

私は、驚きました。

あれほど見えなかった地の目が、自然と見えるようになったのです。

地の目が見えるようになってからの作品は、私が思うに「窮屈さがない」ようになりました。

 

繰り返しトレーニングするということ

装苑1992年6月号 候補作品この服を作っている時に自然と地の目が見えるようになりました
「装苑1992年6月号」より

 

その後も、繰り返し繰り返し服を作りました。

そして繰り返し服を作る過程から、

  1. わかったこと
  2. 身についたこと

が、たくさんありました。

「服を作る」ということは、頭でわかっているだけではできません。

服を作るためには、トレーニングが必要です。

繰り返しトレーニングをすることは、楽しいことではありません。

しかしつまらないと思うことを、何度も何度も繰り返さなければ、できるようにはならないことは沢山あります。

トレーニングを重ねて、初めて見えるもの、理解できることがあります。

私はアパレル業界で、トレーニングを積んでこなかった人をたくさん見ました。