文化学園服飾博物館で開催されている、「ヨーロピアン・モード」展を観てきました。
ロココ・時代から、約250年の女性モードの変遷をみることができました。
ヨーロピアン・モード
「ヨーロピアン・モード」展
- 開催期間:2017年3月11日(土)-2017年5月16日(火)
- 開館時間:10:00-16:30
(4月21日、5月12日は19:00まで)
(入館は閉館の30分前まで) - 休館日 :日曜日、祝日
- 会場 :文化学園服飾博物館
東京都渋谷区代々木3-22-7
新宿文化クイントビル
JR・京王線・小田急線新宿駅(南口)より徒歩7分 - 入館料 :一般 :500円
大高生:300円
小中生:200円
*20名以上の団体は100円引き
*障がい者とその付添者1名は無料
「ヨーロピアン・モード」展の展示内容
イブニング・ドレス クリスチャン・ディオール 1957年
「文化学園服飾博物館 ヨーロピアン・モード」より
- イブニング・ドレス
クリスチャン・ディオール
1957年
ドレープは前面から背面へと続き、ウエストで留められている
展示は、以下のように年代順に分類分けされています。
- ロココ・スタイル(1750-1789年)
- エンパイア・スタイル(1790-1830年)
- ロマンティック・スタイル(1830-1850年)
- クリノリン・スタイル(1850-1870年)
- バッスル・スタイル(1870-1890年)
- 1890年代のスタイル
- アール・ヌーヴォー・スタイル(1900-1910年)
- 1910年代のスタイル
- アール・デコ・スタイル(1920-1930年)
- 1930年代のスタイル
- 1940年代のスタイル
- 1950年代のスタイル
- 1960-70年代のスタイル
- 1980-90年代のスタイル
また特集として、「黒のドレス」を取り上げています。
スタイルの年代区分は、東京家政大学博物館で開催された「西洋服装史Ⅱ スタイルとディテイル」展と違いがあります。
ヨーロピアン・モードの1950年代以降のスタイル
ドレス ピエール・バルマン 1954年
「文化学園服飾博物館 ヨーロピアン・モード」より
- ドレス
ピエール・バルマン
1954年
肩から胸、細いウエストから張り出した腰など、丸みを帯びたシルエットが巧みに表現されている
今回は、1950年代以降の服について感想を述べます。
「ヨーロピアン・モード」展で一番目を引いた服が、ピエール・バルマンのドレス(1枚目、3枚目の写真)でした。
バランスや仕立てを見ても、一番良かったです。
「文化学園服飾博物館 ヨーロピアン・モード」で写真を見たときは、印象に残りませんでした。
しかし実物を見たとき、その洗練さに驚きました。
隣にある1940年代の服と比べると、何かが変わったのがはっきりとわかりました。
戦後の、パリ・モードの始まりを感じました。
衿の返りやシルエットが、素晴らしかったです。
写真では細かいところが見えませんが、実物は工夫されているところがたくさんあるのでぜひ実物を見てください。
残念に思うこと
コート クリストバル・バレンシアガ 1955年ころ
「文化学園服飾博物館 ヨーロピアン・モード」より
- コート
クリストバル・バレンシアガ
1955年ころ
体から離れたセミ・フィットのコート
造形的なシルエットは巧みなカッティングによって生み出される
私は、残念に思うことがあります。
日本で見るクリストバル・バレンシアガの服が、あまり良くないことが多です。
イヴ・サンローランの服も、あまり良いものを見たことがありません。
この偉大な2人のクチュリエの作品は、過去に素晴らしい実物を何度も見たことがあります。
写真でも、素晴らしい作品がたくさん残されています。
日本には、なぜ良い服が残されていないのでしょうか?
私は、色々考えてしまします。
- コレクターのセンスが悪いのか?
- 正規の製品ではないのか?
- またはライセンス商品か?
- オーダーした人の体型が悪いのか?
できるだけファッションデザイナーの魅力がわかる服を展示してほしいと、私は思います。
展示されている服が良かったファッションデザイナー
パンタロン・スーツ アンドレ・クレージュ 1970年ころ
「文化学園服飾博物館 ヨーロピアン・モード」より
- パンタロン・スーツ
アンドレ・クレージュ
1970年ころ
クレージュのパンタロンは、ミニと共に世界的流行になった
展示されている服の中で袖付けが一番きれいな服は、ピエール・カルダンのドレスでした。
いせが入りやすいツィードを使っていましたが、本当に見本のような袖付けでした。
ピエール・カルダンの服は3着展示してありましたが、本当によくできていました。
ライセンス商品しか知らない人はきっと意外に思うほど、ピエール・カルダンはすごいファッションデザイナーでした。
マダム・グレの服は、2着展示されていました。
その2着とも、素晴らしい服でした。
「ヨーロピアン・モード」展では、
- ピエール・バルマン
- ピエール・カルダン
- マダム・グレ
の服が良かったです。
袖付けといえば、展覧会を観ていて「袖なんて適当につければいい。」と思えるほどラフな袖付けの服がありました。
ラフな袖付けでも、ちゃんとした袖付けだったのですが。
まとめ
ベスト、パンツ ジャンニ・ヴェルサーチ 1992年
「文化学園服飾博物館 ヨーロピアン・モード」より
- ベスト、パンツ
ジャンニ・ヴェルサーチ
1992年
「ヨーロピアン・モード」展は、ためになりました。
しかしこのような展覧会にはもっと頑張ってもらいたいので、気になったことを書きます。
- エンパイア・スタイルの展示にロココ・スタイルの時代の靴が展示してあった
- マドレーヌ・ヴィオネの服が展示されていなかった
- 「リトル・ブラック・ドレス」にシャネルの服が展示されていなかった
- 服によってマネキンとボディを使い分けていたのは、意図があったのか?
- ボディによって背丈が違った
- 「オートクチュール」か「プレタポルテ」か「ライセンス」か記入されていなかった
- 展覧会が勉強の場のようで、一般の人が見たら楽しくなさそうだった
- 展示した服は、あれがベストなのか?
この辺が、私には残念でした。
文化学園服飾博物館には、これからも楽しい展示をよろしくお願いします。