エルザ・スキャパレリ

シュルレアリスムの流れで、エルザ・スキャパレリの名前を目にすることがあります。
しかし、本流のファッションデザイナーではないような気もします。

 

エルザ・スキャパレリ

エルザ・スキャパレリ02フランシス・マーシャル 「エルザ・スキャパレリの肖像」 1936年
「100years Fashion Illustration」より
ISBN978-1-85669-462-9

 

  • フランシス・マーシャル
    「エルザ・スキャパレリの肖像」
    1936年

    ”イギリス版ヴォーグ”

エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)

  • 1890年 イタリアのローマに生まれる(9月10日)
  • 1912年 ロンドン遊学
  • 1914年 イギリスでウィリアム・ドゥ・ケルロル伯爵と結婚
  • 1919年 仕事を求めてニューヨークに渡る
  • 1925年 娘とともにパリに移る
  • 1926年 自分でデザインしたトロンプルイユ・セータを着て歩いたところ、
         同じものを作って欲しいと声がかかる
  • 1927年 自身のメゾン「プール・スポーツ」をオープン 
         「ディスプレイNo.1」という初めてのコレクションを開催
  • 1928年 「ディスプレイNo.2」発表。ドレスやスーツを手がける
  • 1931年 コレクションにイブニング・ドレスを追加
         正式にクチュリエになる
  • 1933年 アメリカへ販促活動に出かける
  • 1935年 ファスナーつきのイブニングドレスを多数含むコレクションを発表
  • 1937年 ジャン・コクトーとのコラボレーション
         香水「ショッキング」を発表
  • 1940年 アメリカで「服は女性を作る」という講演旅行
  • 1941年 ニューヨークに移住(1945年まで)
  • 1945年 パリに戻り、オートクチュールを再開
  • 1949年 ニューヨークに支社を開く。既製服の生産を始める
  • 1954年 メゾン閉鎖
         回顧録「ショッキング・ライフ」を執筆
  • 1973年  死去(11月13日)

 

エルザ・スキャパレリのスポーツウェア

エルザ・スキャパレリ07ビーチウェア エルザ・スキャパレリ 1930年
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • ビーチウェア
    エルザ・スキャパレリ

    1930年
    ”フランス版ヴォーグ”
    写真:ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン

エルザ・スキャパレリは、

  • セーター
  • ビーチウェア

などのファッションデザインからスタートしました。

次第に、

  • タウンウェア
  • イブニング・ドレス

までデザインするようになりました。

エルザ・スキャパレリはやがて、1930年代を代表するファッションデザイナーになりました。

エルザ・スキャパレリの服は、アイディアとウィットに富んだユニークなファッションでした。

 

エルザ・スキャパレリとアート

エルザ・スキャパレリ04イブニング・ドレス エルザ・スキャパレリ 1937-38年
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • イブニング・ドレス
    エルザ・スキャパレリ

    1937-38年
    幅広の肩が1940年代のスタイルの移行を示している
    金糸とスパングルで表した植物文様には強いうねりが見られ、シュルレアリスムの影響を感じさせる
    刺繍は老舗刺繍工房、ル・サージュによる

エルザ・スキャパレリは同時代のだれよりも、アートに接近したファッションデザイナーでした。

ダダの影響を受け、シュルレアリスムの潮流に加わり、その手法を取り入れました。

エルザ・スキャパレリは独創的で、時には奇抜な服や帽子を提案しました。

 

芸術の一形態としてのファッション

エルザ・スキャパレリ05 クリスチャン・ベラール画:クリスチャン・ベラール デザイン:エルザ・スキャパレリ 1938年
「100years Fashion Illustration」より

 

  • 画:クリスチャン・ベラール
    デザイン:エルザ・スキャパレリ

    ”ヴォーグ”1938年10月号

エルザ・スキャパレリは、アートを直接ファッションに取り込みました。

例えば、

のスケッチをそのまま服の上に再現した作品も数多く作られました。

 

エルザ・スキャパレリと新素材

エルザ・スキャパレリ03イブニング・コート エルザ・スキャパレリ 1936年秋冬
「FASHION 18世紀から現代まで」より
ISBN978-4-88783-282-4

 

  • イブニング・コート
    エルザ・スキャパレリ

    1936年秋冬
    ボルドー色のウール
    衿はベルベットに金の皮革、ビーズによるアップリケ

また、エルザ・スキャパレリは新素材の採用に熱心でした。

レーヨンを積極的に用い、ビニールやセロファンを使った実験的な作品を製作しています。

1935年にエルザ・スキャパレリは、オートクチュールで初めてファスナーを使いました。

上の写真のイブニング・コートの内ポケットに、ファスナーが使われています。

 

エルザ・スキャパレリに対する評価

エルザ・スキャパレリ06ドレス エルザ・スキャパレリ
「モードとインテリアの20世紀展」より

 

  • ドレス
    エルザ・スキャパレリ

モード史における、エルザ・スキャパレリの一般的な評価を見てみましょう。

服そのものを革新する意識は薄く、シルエットや技術面の新しさは見られない。
彼女の服の基調だった四角い肩とウエスト・マークのラインは、30年代の主流となり、第二次大戦下のファッションに引き継がれる。

 「FASHION 18世紀から現代まで」p93より引用

ダリ、コクトーらの影響を受け、ユニークでシュールな作品が多い。
好んで用いた鮮やかなピンクは「ショッキング・ピンク」と呼ばれ、彼女の代名詞となっている。

「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」P37より引用

 

エルザ・スキャパレリに対する、シャネルの揶揄

シャネルは、エルザ・スキャパレリを嫌っていました。

エルザ・スキャパレリに対するシャネルの言葉を、以下に引用します。

ロシアの影響を受けたスタハノヴィスム(生産性高揚運動)に、モード界もみならったのか、マダム・スキャパレリは、コレクションの発表を工場でしたりしたものだった。

「獅子座の女シャネル」p167より引用
ISBN978-4-579-30055-6

 

まとめ

エルザ・スキャパレリ08イブニング・ドレス エルザ・スキャパレリ 1935年夏
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • イブニング・ドレス
    エルザ・スキャパレリ

    1935年夏
    黒地にプリントの絹クレープのワンピース・ドレス
    プリーツ
    共地のベルト付き

私がエルザ・スキャパレリを本流のファッションデザイナーと感じなかった理由は、

  1. エルザ・スキャパレリが、服そのものを革新する意識が薄かった
  2. 服をキャンバスに、絵を描いているイメージがある
  3. 服の形に新しさがない

この3点です。

しかし同時代に一人、エルザ・スキャパレリのようなファッションデザイナーがいるのと楽しいです。

エルザ・スキャパレリのプリントにはユーモアがあり、とてもかわいいです。

エルザ・スキャパレリは、独特のセンスのファッションデザイナーです。

 

エルザ・スキャパレリについては、以下も参考にしてください。