クリスチャン・ディオールのスーツスタイル

以前クリスチャン・ディオールのドレスを見て、私は「下手。」と書きました。
ではクリスチャン・ディールのスーツは、どうなのでしょうか?

 

クリスチャン・ディオール

クリスチャン・ディオール11 デザイン画クリスチャン・ディール デザイン画
「クリスチャン・ディオール 一流デザイナーになるまで」より
ISBN978-4-434-12444-0

 

クリスチャン・ディオール

  • 1905年 フランスのノルマンディー、グランビルに生まれる(1月21日)
  • 1911年 一家はパリに移住
  • 1923年 パリのパリ政治学院に入学
  • 1928年 ジャック・ボンジャンと美術画廊を開く
  • 1931年 父の会社が倒産
         母が死去
         画廊が倒産
  • 1935年 クチュリエのためにフリーランスの仕事を請け負う
  • 1938年 ロベール・ピゲのもとでデザイン・アシスタントとして働く
  • 1939年 第二次世界大戦で短期従軍
  • 1942年 ルシアン・ルロンのもとで働く
  • 1946年 自身のオートクチュール・メゾンをオープン
  • 1947年 ニュールックを発表
  • 1957年 死去(10月24日)

 

ニュールック(Xライン)

クリスチャン・ディオール12 ニュールックバースーツ クリスチャン・ディオール 1947年春夏
「100 years of Fashion Illustration」より
ISBN978-1-85669-462-9

 

クリスチャン・ディオールは、自身のメゾンを立ち上げるために、

  • ルシアン・ルロンからレイモンド・ゼーネッカー
    (デザイン部門チーフ)
  • ジャン・パトゥからお針子30人
  • ジャン・パトゥからマルグリット・カレ
    (技術部門チーフ)
  • ピエール・カルダン
    (テーラードの責任者)

を雇いました。

ピエール・カルダンは、1946年から1950年までクリスチャン・ディオールのメゾンで働きました。

上の写真は、ニュールックの代表と言えるバースーツの写真です。

バースーツの特徴は、

  • 丸みを帯びたなだらかな肩
  • 豊かな胸
  • 細く絞られたウエスト
  • ペチコートで膨らませたロングスカート
    (床上20cmのくるぶし丈)

です。

クリスチャン・ディオールは、「花冠ライン」と命名しました。

ハーパース・バザー編集長のカーメル・スノーが、
「なんと素晴らしい、これはまさにニュールックだ!」
と絶賛しました。

 

Hライン

クリスチャン・ディオール13 HラインHライン クリスチャン・ディオール 1954年秋冬
「20世紀ファッションの文化」より
ISBN978-4-309-24746-5

 

Hラインについて、クリスチャン・ディオール自ら語っています。

「クリスチャン・ディオール 一流デザイナーになるまで」より、引用します。

このラインは、随分非難され、間違って考えられ、批評されたので、ここでもう一度説明することにしよう。

バストを細く長くする事を基礎として、そのスタイルから清らかさ、つつましやかさ、優雅さをもっていた。
ルネッサンスの時代からインスピレーションを受けた「Hライン」は、1952年に始まったウエストを自由にする傾向の完成となった。

発表の翌日、カルメル・スニーはハーパス・バザー誌に「Hラインはニュールックよりさらに重要な変化である。」と打電した。
すると、忽ちこの新しい傾向は「フラットルック(平たい)」と命名された。
しかし私は決して「平たい」流行を作ろうとは思わなかった。
仕方のない事である。
名前も要点も間違って発表された。
私はどうしようもなかった。

「クリスチャン・ディオール 一流デザイナーになるまで」p195-196より原文のまま引用

 

Aライン

クリスチャン・ディオール14 Aラインデイ・アンサンブル クリスチャン・ディオール 1955年春夏
「100 years of Fashion Illustration」より

 

  • デイ・アンサンブル(Aライン)
    クリスチャン・ディオール
    1955年春夏
    季節ごとのトレンド変化の予測に基づいて、裾を上げた

クリスチャン・ディオールは、Hラインをさらに変化させAラインが生まれました。

 

マグネットライン

クリスチャン・ディオール15 マグネットラインマグネットライン クリスチャン・ディオール 1956年秋冬
「華麗なるオートクチュール展」図録より

 

1956年秋冬コレクションは、「エマン(愛にあふれた)コレクション」とあります。

マグネットラインは、

  • 高く丸味を持った帽子
  • 丸い肩
  • 腰でゆるみを持ったスカート

が特徴です。

写真のアフタヌーン・アンサンブルは、ドレスとジャケットの構成です。

素材は、黒と白のウールツイード地です。

ドレスの身頃には黒のウールニットで半袖が付いていて、ウエスト回りに付いたスナップでスカートを留めています。

 

まとめ

クリスチャン・ディオール16 ファッションショーファッションショー クリスチャン・ディオール
「クリスチャン・ディオール 一流デザイナーになるまで」より

 

クリスチャン・ディオールは、苦労人です。

父の会社が倒産し、母が亡くなり、自分の画廊が倒産した後、クリスチャン・ディオールは失意のうちに友人の家を転々としました。

生活のためにデッサンを描くうち、デザイン画がデザイナーや雑誌編集者の目にとまるようになりました。

以前、「ディオールの作品とラインの変遷 小池千枝先生」という記事を書きました。

小池千枝先生は、

彼が本気で作っていたのは、ソワレよりもむしろデイタイムの服なんです。
(中略)
デイタイムのスーツから始まるんですね。
ソワレはスーツに従属するものに思えました。

とおっしゃっています。

私もディオールの作品を見て、スーツを本気で作っていると思いました。

ガチガチの芯地の上に作るのは、ソワレよりもスーツの方が似合っています。

 

クリスチャン・ディオールについては、以下も参考にしてください。