クリスチャン・ディオールのドレススタイル

前回は、クリスチャン・ディオールのスーツを見ました。
今回はクリスチャン・ディオールの言葉と共に、ドレススタイルを見て行きましょう。

 

一流デザイナーになるまで

クリスチャン・ディオール18 ドレスイブニング・ドレス クリスチャン・ディオール 1955年秋冬
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • イブニング・ドレス
    クリスチャン・ディオール
    1955年秋冬

    シャンパン・ピンクの絹サテンに重ねたチュールに銀糸、スパンコールの刺繍

前回「クリスチャン・ディオールのスーツスタイル」を書いたとき、「クリスチャン・ディール 一流デザイナーになるまで」を改めて読みました。

とても興味深い話がいくつかあったので、クリスチャン・ディオールのドレスと一緒に紹介します。

  • クリスチャン・ディオール
    一流デザイナーになるまで
    ISBN978-4-434-12444-0

より引用します。

 

ポール・ポワレ

クリスチャン・ディオール19 ドレスイブニング・ドレス クリスチャン・ディオール 1950年代
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • イブニング・ドレス
    クリスチャン・ディオール

    1950年代
    パールピンクと白い絹サテンを二重使い
    背中心で、リボン結び

ポワレが現れて、すべてをくつがえした。

この偉大な芸術家は何よりもまず創造者であり、装飾家であった。
不幸にして、彼の苦しい晩年が証明しているように彼は商売人ではなかった。

(中略)

このように1912年のパリは、一種のハレムのようになり、ポール・ポワレはさしずめ恐ろしい、そして人の良いサルタンといった所だった。
しかし東洋調は一時しか続かなかった。

リュシアン・ヴォゼルのガゼット・デュ・ボン・トン誌のポール・イリーブ、マルティ、ルパープ等すべてのデザイナーは、ディレクトワールのスタイルに心酔していた。
このスタイルは、ピザンス・バグダット、立体主義、オルフェー主義、野獣主義と交わって1925年の有名な「アール・デコ」となるのである。

「一流デザイナーになるまで」p24-26より引用

 

裁断の勝利

クリスチャン・ディオール20 ドレスイブニング・ドレス クリスチャン・ディオール 1955年秋冬
「華麗なるオートクチュール」図録より

 

  • イブニング・ドレス
    「ソワレ・フリューリー」
    クリスチャン・ディオール

    1955年秋冬
    身頃、スカート、サッシュベルトは白い絹サテン
    銀と銀メッキした糸、多彩色の石、虹色に輝く白と金色のループで刺繍
    キャップスリーブ

この簡単な衣裳店史の最後に、マドレーヌ・ヴィヨネジャンヌ・ランバンが自らの腕と鋏でコレクションの衣裳を作って、デザイナーの職業を変化さしたことを申し上げておこう。

衣裳は全体的なものとなった。
スカートとボディーは同じカットに服従する事になった。

この仕事でマドレーヌ・ヴィヨネの右に出る者はいない。
彼女は服地を使用する天才であり、二つの大戦の間の婦人にやわらかく巻きついていたバイヤス裁ちを発明した。
以後1900年の装飾やポワレの飾りは衣裳になくてはならないものではなくなった。
裁断のみが大事であり、他は余分なものとなった。

「一流デザイナーになるまで」p26より引用

 

シャネル

クリスチャン・ディオール21 ドレスディナー・ドレス クリスチャン・ディオール 1956年秋冬
「華麗なるオートクチュール」図録より

 

ディナー・ドレス
クリスチャン・ディオール

1956年秋冬
長袖の身頃とスカートは、黒い絹ファイユ
抜き襟はワイヤーを入れた両肩と、一般に「メリー・ウイドウ」と知られる、長いボーンの入った胴衣によって支えられている
数え切れないほど取りつけられたチュールのペチコートによって、体から浮かせたこのドレスのスカートは支えなしでも立つ

この人達の中でシャネル嬢が際立ち、支配し、君臨した。
彼女は針一本持てないと自分で言っていたが、趣味に於いても、また彼女自らの中にもエレガンスと偉大なる魅力を持っていた。
マドレーヌ・ヴィヨネと彼女は、又違った意味で近代流行の創始者という事ができる。

このようにして、殆ど無名の職人のものとして長く続いた衣裳店は、今日一個人、店の責任者の表現芸術となったのである。
これは何故衣裳店とデザイナーが今日程話題にならなかったのかという事を説明するものである。

「一流デザイナーになるまで」p26-27より引用

 

トワールから衣裳へ

クリスチャン・ディオール22 ドレスイブニング・ドレス クリスチャン・ディオール 1952年ころ
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • イブニング・ドレス
    クリスチャン・ディオール

    1952年ころ
    左右に腰を張り出したシャープなシルエットが特徴
    プロフィール・ラインのドレス

最初のトワールを検討する日がやっとやって来ると、カーテンを全部開けて、スタジオには活気が呼びもどされて来る。

(中略)

最初のトワールは大体いつも60体位である。

(中略)

世間では天才的な才能をもってモデルに布を捲き付けているデザイナーを想像するだろう。
しかしこれは非常に稀な事である。
基礎をしっかりと決めてから長い間かかってやっと一つのデザインを作るのだ。
だからモデルに布を捲くのも、コレクションの為の裁断が全部決定して初めて出来るのである。

(中略)

初めて見た時に私達の心をうばうデザインは、デッサンの時には殆ど目に着かなかったものが多い。
それに反して、初めに期待したデッサンは往々にしてうまくゆかないものである。
或るトワールが私が考えていたものと、全然ちがったものとなるのは仕立てる時に失敗したからではなく、デッサンが忠実にトワールに写されなかった時である。

(中略)

このようにトワールは、もとのデッサンと同じように、大雑把なものである。
ただシルエットとか、裁断、線等を表しているだけである。
これらは基礎となるトワールであって、この裁断を基礎としてコレクションの全作品を作るのである。

「一流デザイナーになるまで」p92-95より引用

 

まとめ

クリスチャン・ディオール23 ドレスイブニング・ドレス クリスチャン・ディオール 1957年
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • イブニング・ドレス
    クリスチャン・ディオール

    1957年
    スカートとトレーンを一体としたカッティング

クリスチャン・ディオールの服の特徴は、その硬さにあります。

この硬さが、構築的なシルエットを生みました。

私のように、この硬さが苦手な人もいるはずです。

しかし私の好き嫌いに関係なく、クリスチャン・ディオールは重要なファッションデザイナーの一人です。

 

クリスチャン・ディオールについては、以下も参考にしてください。

 

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