金属で作られたクリノリン5選

今回は、金属で作られたクリノリンを紹介します。
金属が使われるようになったおかげで、クリノリンは軽量化されました。

 

クリノリン

クリノリン・スタイル10「クリノリンを身につけるには」 1865年
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

軽くて着脱の容易なクリノリンの出現で、スカートは急激に巨大化しました。

しかし巨大化したクリノリンは、

  • ドアが通れない
  • 馬車に乗れない

などの支障がありました。

クリノリンは、風刺画や写真の格好の材料として取り上げられました。

 

クリノリンの歴史

クリノリン・スタイル11 金属クリノリンクリノリン 1865年ころ
「FASHION A History from the 18th to 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • クリノリン
    1965年ころ
    40本のスティール・ワイヤー・フープと11本の白い麻テープ
    幅径約   95cm
    前後径約  98cm
    裾周囲約303cm

1830年代から、スカートが膨らみ始めました。

スカートのボリュームを出すために、ペティコートが何枚も重ね着されました。

1840年代の初期、麻布(lin)に馬の尾毛(crin)を緯糸に織り込んだペティコートが考案されました。

このペティコートを、クリノリン(crinoline)と呼びました。

クリノリンが考案されて、一枚で簡単にスカートを膨らませることができるようになりました。

1856年フランス人ミリエによって、金属製の輪を連ねたかご型のクリノリンが考案されました。

スカートは容易に、大きく広げられるようになりました。

 

クリノリンの大きさを支えた3つの技術

クリノリン・スタイル12 金属クリノリンクリノリン 1860年代中ころ
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

1860年代に入ると、クリノリンの大きさは最大になりました。

クリノリンの大きさを支えたのは、

  1. 鉄素材の開発
    (鉄製の針金は大型化を容易にしました)
  2. 織物産業の発展
    (織機の改良、染色の発達は布の量、種類を格段に増加させました)
  3. ミシンの実用化

の3つの工業技術の発展でした。

コルセットと同じようにクリノリンの巨大化も、産業の近代化が関係していました。

 

巨大化したクリノリンの恩恵

クリノリン・スタイル13 金属クリノリンクリノリン 1865年ころ
「FASHION 18世紀から現代まで」より
ISBN978-4-88783-282-4

 

  • クリノリン
    1865年ころ
    12本のスティール・ワイヤー・フープと白と紫の綿
    幅径約   73cm
    前後径約  81cm
    裾周囲約244cm

クリノリン・スタイルのスカートに使われる布地は、膨大な量に達しました。

この需要の恩恵を最も受けたのは、フランスのファッション産業でした。

中でもリヨンの絹織物産業は、大きな恩恵を受けました。

ナポレオン3世は、ファッション産業を政治的に推進しようとしました。

ナポレオン3世の方針は、新興ブルジョワジーの嗜好とも合致しました。

シャルル・フレディリック・ウォルトは、リヨンの絹織物を使ったドレスを最新流行のファッションとして世界各地に発信しました。

パリ・モードの素材供給地として、リヨンの名声は高まりました。

 

クリノリンからバッスルへ

クリノリン・スタイル14 金属クリノリンクリノリン 1975年ころ
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • クリノリン
    1875年ころ
    レーベル:THOMSON’S
    12本のスティール・ワイヤー・フープと赤い綿
    幅径約   58cm
    前後径約  59cm
    裾周囲約189cm

1860年代末ころから、服のシルエットはスカートの前部が平らになりました。

そして後ろ腰のみに膨らみが残る形へと、変化しました。

このラインを支えたのが、バッスルと呼ばれる下着でした。

クリノリン・スタイルからバッスル・スタイルへと、移りました。

しかしバッスルにも、クリノリンの構造が受け継がれました。

 

まとめ

クリノリン・スタイル07 金属クリノリンクリノリン 1860年代後半
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • クリノリン
    1860年代後半
    19本のスティール・ワイヤー・フープと白い綿
    幅径約 105cm
    前後径約 98cm
    裾周囲約318cm

ファッションは産業の発展とともに、極端な方向に走ることがあります。

それは、今でも同じことです。

趣味やセンスとは別に、本当に技術を極限まで追求しようとします。

そのファッションを纏う人々は、纏うことができない人々の嘲笑を浴びます。

風刺画が描かれ、面白おかしく写真が撮られます。

笑われることは、ファッションの宿命です。

そして流行は、消費されます。

クリノリンを見ていたらファッションの、

  • 下らなさ
  • バカバカしさ
  • 儚さ
  • 面白さ
  • 楽しさ

が見えてきました。

 

クリノリン・スタイルについては、以下も参考にしてください。