シャネル「私は着古した服しか好きではない。」

シャネルの記事を書こうと思い、2週間くらいシャネルに関する本を読んでいました。

  • 「獅子座の女 シャネル」
    ポール・モラン 著
    秦 早穂子 訳
    文化出版局 ISBN978-4-579-30055-6
  • 「ココ・シャネルの秘密」
    マルセル・ヘードリッヒ 著
    山中 啓子 訳
    早川書房 ISBN978-4-15-050192-1

私が読んでいたシャネルについての本は、この2冊です。

この2冊の本の中に、印象に残るシャネルの言葉がありました。

 

シャネルの言葉

シャネル05ジャージのカーディガン・スーツを着たシャネル 1928年
「FASHION 18世紀から現代まで」より
ISBN978-4-88783-282-4

 

私の印象に残ったシャネルの言葉を、以下に引用します。

わたしは着古した服しか好きではない。
わたしは決して新しいドレスを着て外に出ることはない。
どこかがぴりりと裂けるのではないかという気がして心配なのだ。

古い服というものは古い友だちのようなものだ。

「ココ・シャネルの秘密」p514より引用 

シャネルは、「着古した服しか好きではない」と言っています。

しかしシャネルはまた、こうも言っています。

モードは死ななければいけない。
それも早く死ぬことである。
そうでなければ、とうてい、商売は成り立ちはしない。

 「獅子座の女 シャネル」p213より引用

 

シャネルの言葉の矛盾

シャネル06デイ・アンサンブル シャネル 1928年ころ
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • デイ・アンサンブル
    シャネル

    1928年ころ
    ジャケットとスカートは一枚仕立ての黒いウール・クレープ
    セーターは白いウール・ジャージ 

2つの言葉を比べると、シャネルの言葉は矛盾しているように思えます。

「獅子座の女 シャネル」という本は、『1947年の冬にシャネルが語ったこと』を元に書かれています。

シャネルは、1939年にメゾンを閉鎖しました。

そして1944年に、シャネルはスイスに亡命しました。

シャネルは、1953年にメゾンを再開する決心をしてパリに戻りました。

翌年の1954年に、シャネルはカムバックを果たしました。

一方「ココ・シャネルの秘密」という本は、『1958年以降のシャネルへのインタビュー』を元に書かれています。

「ココ・シャネルの秘密」から、シャネルのモードについての考えを以下に引用します。

わたしは長続きしないモードには反対だ。
これはわたしの男性的な面である。
春だからといって、服を捨ててしまうなどということはわたしには考えられない。

もうモードというものはない。
昔は数百人の人々のためにモードを作っていたものだ。
ところがわたしは世界中の人のために一つのスタイルを作り出した。

「ココ・シャネルの秘密」p514-515から引用 

 

シャネルの本当の気持ち

シャネル07左 シャネル イヴニング・ドレス 右 マドレーヌ・ヴィオネ
「PARIS オートクチュール世界に一つだけの服」展より

 

ファッションデザイナーの言葉には、一貫性などないように思われます。

そのときの気分や時代の空気で、カッコ良さそうなことだけを言っているファッションデザイナーがほとんどです。

ファッションデザイナーとは、矛盾の塊のようなものです。

しかしシャネルの「私は着古した服しか好きではない」という言葉は、私にはシャネルの本心だと思えてなりません。

「私は着古した服しか好きではない」という言葉は、

  • 戦争
  • メゾンの閉鎖
  • スイスへの亡命
  • カムバック

を経て75歳を過ぎたシャネルの本当の気持ちだったのでしょう。

 

シャネルについては、以下も参考にしてください。