バッスル・スタイルのドレス10選

バッスル・スタイルのドレスを、年代順に見ていきます。
年代による流行の変化が、見られます。

 

1870年代

バッスル・スタイル19デイ・ドレス 左1875年ころ 右1869年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より
ISBN978-3-8365-5719-1

 

  • 左:デイ・ドレス
    1875年ころ
    青い羽根の模様をプリントした白の麻オーガンジー
    ツーピース・ドレス
    裾にフラウンス飾り
  • 右:デイ・ドレス
    1869年ころ
    白い綿オーガンジー
    ツーピース・ドレス
    青い麻オーガンジーのアンダードレスにはプリーツ飾り

1870年から1890年までは、一般にトゥールニュール(バッスル)時代と呼ばれています。

普仏戦争(1870年)から第一次世界大戦(1914年)が始まるまでの約40年間のヨーロッパは、平和な繁栄の時代でした。

人々の生活は安定し、裕福な階級は富の増大とともに社交生活が華やかにくり広げられました。

そして、スポーツや娯楽が盛んになりました。

公的な儀式などと相まって、

  • パーティー
  • レセプション

がたびたび開かれるようになりました。

一方、

  • 観劇
  • 競馬
  • 散歩
  • テニス
  • 海水浴
  • 旅行

などが普及していきました。

 

アニリン染料

バッスル・スタイル20デイ・ドレス 1875年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • デイ・ドレス
    1875年ころ
    イギリス
    青のウール・ツイルのワンピース・ドレス
    オーバースカート付き
    前身頃やオーバースカートの裾などにプリーツと黒い絹ベルベットのリボンの装飾

イギリスの化学者ウィリアム・パーキンが、1856年にアニリン染料を発明しました。

合成染料の鮮やかな色彩は、人々の心をとらえました。

19世紀後半、

  • オートクチュール
  • 一般的なモード

にまで、急速合成染料が広がりました。

青色は、

  • リヨン・ブルー
  • アルカリ・ブルー
  • 合成インディゴ

など多種の合成染料が生み出されました。

 

1880年代

バッスル・スタイル21舞踏会用ドレス 1880年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • 舞踏会用ドレス
    1880年ころ
    アメリカ
    白の麻オーガンジーとバランシエンヌ・レース
    プリンセス・ドレス
    ドレーン部にダスト・ラッフル付き

1870年代末から1880年始めまでの一時期、トゥールニュールは消えて細っそりした外形になりました。

後にイギリス王妃となるアレクサンドラが好んで着用したので、プリンセス・ドレスと呼ばれています。

プリンセス・ドレスの特徴は、

  1. ウエストに切り替えがない
  2. 縦の切り替え線のみを使ってウエストをフィット
  3. バストやヒップを強調するカッティング

でした。

プリンセス・ドレスは一時的な流行でしたが、19世紀に現れたボディ・コンシャスといえます。

 

パリのお尻

バッスル・スタイル22デイ・ドレス 1885年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • デイ・ドレス
    1885年ころ
    レーベル:LAFORCADE.59FIFTH AVENUE.NEW YORK
    インドの花柄をプリントした赤い綿
    ツーピース・ドレス
    オーバースカートを後ろでたくし上げてペティコートを見せる

後ろ腰のふくらみは1883年ころになると再び復活して、1887年ころまで続きました。

基本となった外形の特徴は、トレーンのあるオーバースカートをヒップにたくし上げたトゥールニュールでした。

このころのトゥールニュールは、「パリのお尻(キュ・ド・パリ)」と呼ばれています。

トゥールニュールの特徴は、ヒップでのふくらみとのバランスを胸部のふくらみで調整します。

そして、側面での変化を強調します。

このシルエットは次の時代で、S字型シルエットへと連係していくことになります。

 

装飾性

バッスル・スタイル23デイ・ドレス 左1885年ころ 右1886年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • 左:デイ・ドレス
    1885年ころ
    赤いさくらんぼ模様をプリントした白い綿サテン
    ツーピース・ドレス
    フラウンス飾りのスカート
    赤いボウ
    オーバースカートをポロネーズ風にたくし上げる
  • 右:デイ・ドレス
    1886年ころ
    赤とアイボリーを刺繍した白い平織り綿
    ツーピース・ドレス
    2段のフラウンス飾り
    スカートの後ろにファブリック・パネル

この時期の女性服の最大の特徴は、装飾性にありました。

ある人はこれを、多様な「様式の混合」と見ました。

またある人は、「室内装飾業者(タビシュ)」様式と呼びました。

当時の服飾における装飾技法は、さまざまに異なった布地を小さく切ってから接ぎ合わせるという手法が取られました。

  1. 無地と柄物
  2. 明色と暗色
  3. 光沢のある布地と無光沢の布地

の組み合わせなどが好んで用いられました。

 

イブニング・ドレス

バッスル・スタイル24左:イブニング・ドレス 1888年ころ
右:舞踏会用ドレス 1881年ころ
右:ドレス 1880年ころ
「FASHION A History from the 18th to the 20th Century」より

 

  • 左:イブニング・ドレス
    1888年ころ
    レーベル:M on Dubois ROBES & MANTEAUX,29 Avenue Wagram,PARIS
    ツーピース・ドレス
    ボディスとトレーンはワインカラーの絹ベルベット
    絹ブロケードのスカート
    スカートには18世紀スタイルの織り柄であるストライプと花束柄
  • 中:舞踏会用ドレス
    1881年ころ
    デザイナー:シャルル・フレデリック・ウォルト
    レーベル:WORTH,7 RUE DE LA PAIX,PARIS
    ツーピース・ドレス
    ストライプと花束柄入りのベージュと青の絹ブロケード
    ボウとレース装飾のピンクの絹サテンのスカート
  • 右:ドレス
    1880年ころ
    レーベル:MRS EVANS , 52 & 53 SLOANE ST.,LONDON S.W.
    金の絹サテンのツーピース・ドレス
    ボディスには折り畳まれたペプラム付き
    くるみボタン付き
    カフスにボウ付き
    レースのダストフリル付き

女性服の装飾は、室内のカーテンやベッド、椅子カバーの、

  • ドレープ
  • プリーツ
  • タック
  • 房飾り

に似ていました。

イブニング・ドレスの装飾を見ると、まさに「室内装飾業者(タビシュ)」様式であることがわかります。

 

参考文献

  • 「アール・ヌーヴォーの華麗なるファッションイラスト」
    ISBN978-4-7661-2488-0

バッスル・スタイルについては、以下も参考にしてください。