坂茂 エルメスの家

2011年10月、東京ミッドタウンのアトリウムにエルメスの家が出現しました。
エルメスの家は、建築家の坂茂とジャン・ドゥ・ガスティーヌによる設計です。

 

エルメスの家

坂茂01 エルメスの家エルメスの家内部
「Casa BRUTUS No.142 2012年1月号」より

 

写真を見ていただくとわかりますが、エルメスの家は紙管を使って作られています。

紙管は、

  • サランラップの芯
  • 布地を巻いている芯

など身近なところで使われている素材です。

紙管は、決して高級な素材ではありません。

エルメスは2011年4月に、

  • エンツォ・マーリ
  • アントニオ・チッテリオ
  • ドゥニ・モンモル
  • エリック・バンケ

のデザインによる新作家具をパリで発表しました。

エルメスの高級家具の発表の場が、「エルメスの家」でした。

 

解体可能なエルメスの家

坂茂02 エルメスの家エルメスの家外観

 

エルメスの家は、解体可能です。

エルメスの家は、2011年10月に東京ミッドタウンに運ばれ組み立てられました。

身近な素材である紙管を使った「エルメスの家」は、エルメスの高級家具と調和をなしていました。

そして、エルメスらしい空間を作っていました。

  

坂茂

坂茂04坂茂 パリの事務所にて
「なりたいのは建築家」より
ISBN978-4-7601-3964-4

 

坂茂

  • 1957年 東京都生まれ(8月5日)
  • 1977年 南カリフォルニア建築大学入学
  • 1980年 クーパー・ユニオン建築学部入学
  • 1982年 磯崎新アトリエ勤務
        (〜1983年)
  • 1984年 クーパー・ユニオンの建築学部を卒業
  • 1985年 東京に株式会社坂茂建築設計を設立
  • 1995年 NPO VAN設立
         国連難民高等弁務官事務所コンサルタント
         (〜1999年)
  • 1999年 ニューヨークに事務所を開設
  • 2001年 慶應義塾大学環境情報学部教授
         (〜2009年)
  • 2003年 ポンピドゥー・センター・メスのコンペに勝利
  • 2004年 パリに事務所を開設
  • 2010年 ハーバード大学GSD客員教授
         コーネル大学客員教授
  • 2011年 フランス芸術文化勲章
         京都造形芸術大学芸術学部環境デザイン科教授
  • 2012年 毎日芸術賞受賞
         芸術選奨文部科学大臣賞美術部門受賞
  • 2014年 プリツカー賞受賞
  • 2015年 朝日賞受賞
  • 2017年 紫綬褒章受章

坂茂は世界各地の被災地を訪ね、紙を使った仮設住宅やテントの提供など数々の支援を行なってきたことでも知られています。

 

ペーパーパーテーションシステム

坂茂03 紙菅ペーパーパーテーションシステム
「ELLE DECOR 2011年6月号」より

 

坂茂がPTS(紙管構造)という材料を使用するアイディアが浮かんだのは、30年以上も前のことでした。

坂茂が、ファックス用紙を使いきったときのことでした。

紙管の芯を手にしたところ、とてつもなく丈夫そうに思えました。

今度は繊維メーカーのゴミ箱から、もう少し太い紙管を手に入れることができました。

坂茂は荷重耐力を測定し、紙管を使って6階建の建造物が可能という結論に達しました。

5年後の1990年、坂茂のおかげで日本の建築史上初めて紙管が建築材料として認可されました。

2011年3月11日、東日本大震災が起きました。

このとき坂茂は、紙菅で間仕切りを設置する”ペーパーパーテーションシステム”を提供しました。

2011年に坂茂による「エルメスの家」と「ペーパーパーテーションシステム」を見たときの感動は、言葉にできませんでした。

ほぼ同じ材料を使い、用途の全く違う建築を作り上げた坂茂に 脱帽しました。