アール・ヌーヴォー・スタイルを調べました

アール・ヌーヴォー・スタイルを調べて、一筋縄ではいかない印象を持ちました。
ファッションデザイナーの活躍によって、ファッションが多様化したことが、その理由の一つではないでしょうか?

 

アール・ヌーヴォー

アール・ヌーヴォ・スタイル02作者不詳 「ショッピング」ハロッズ・カタログ 1909年
「100years of Fashion Illustration」より
ISBN978-1-85669-462-9

 

アール・ヌーヴォーは、19世紀末から20世紀初頭にかけておこった、国際的な美術運動です。

ヨーロッパを中心に、開花しました。

アール・ヌーヴォーとは、「新しい芸術」を意味します。

アール・ヌーヴォーの特徴は、

  1. 花や植物などの有機的なモチーフ
  2. 自由曲線の組み合わせ
  3. 従来の様式にとらわれない装飾性
  4. 鉄やガラスといった、当時の新素材の利用

にあります。

アール・ヌーヴォーは、

  • 建築
  • 工芸品
  • グラフィックデザイン

など、多岐に渡りました。

 

アール・ヌーヴォー・スタイル(1890-1910年ころ)

アール・ヌーヴォ・スタイル03 ジョン・レドファンイヴニング・ドレス ジョン・レドファン 1900年ころ
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • イヴニング・ドレス
    デザイナー:ジョン・レドファン
    1900年ころ
    この時代に流行した白いドレス
    薄地の綿やレース
    さまざまな透ける素材を用い、はかなげな雰囲気を出している

1890年代末から1900年代にかけてのスタイルは、側面から見るとS 字型のシルエットをしています。

このシルエットを、S字型シルエットと言います。

S 字型シルエットの特徴は、

  1. 前方に突き出す豊かな胸
  2. 後方に張り出す腰
  3. 極端に細いウエスト

の3点です。

S 字型シルエットには、アール・ヌーヴォーの曲線的、有機的な造形との共通性が見られました。

 

S 字型シルエット

アール・ヌーヴォ・スタイル04 コルセットコルセット 1900年ころ
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • コルセット
    1900年ころ

    S 字型の シルエットを作るためのコルセット
    クジラのヒゲ製のボーンを細かく並べる
    きつい締め付けによって骨を変形させることもあった

S 字型シルエットは、コルセットで人工的に作られていました。

このころ下着メーカによるコルセットの開発は、頂点に達しました。

S 字型シルエットを作るために、長いコルセットで女性の体を締めあげました。

このコルセットは、これまでのどの時代よりも体を歪め、動きを妨げるものでした。

 

トレーン

アール・ヌーヴォ・スタイル05 ベールデイ・ドレス ギュスターヴ・ベール 1905年ころ
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • デイ・ドレス
    デザイナー:ギュスターヴ・ベール
    1905年ころ

    レース、ボイルなど柔らかな素材を用いている
    豊かな装飾
    素材や装飾を複雑に組み合わせるのが、この時代の特徴

アール・ヌーヴォーとの共通性の中でも特に、

  1. スカートの花冠(かかん)形
  2. トレーンが優雅に流れるライン

は、アール・ヌーヴォーが好んでモチーフにした、花のイメージを彷彿とさせます。

 

ジャポニスム

アール・ヌーヴォ・スタイル06フォルム・ジャポネーズ 「レ・モード」誌 1907年2月号
P.ボイヤー撮影
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • フォルム・ジャポネーズ
    デザイナー:ギュスターヴ・ベール
    「レ・モード」誌 1907年2月号
    P.ボイヤー撮影

1854年の日本の開国以降、西欧における日本への関心が急速に高まりました。

そして、ジャポニスムの流行がおこりました。

20世紀初頭には、着物のシルエットや平面的な構造が、モードに大きな影響を与えます。

上の写真は、

  1. 打ち合わせ

に、日本の「きもの」のイメージがあらわれています。

 

コルセットを取り外す

アール・ヌーヴォ・スタイル07 キャロ姉妹イヴニング・ドレス キャロ姉妹 1908年ころ
「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」より

 

  • イヴニング・ドレス
    デザイナー:キャロ姉妹
    1908年ころ

1906年、ポール・ポワレがコルセットを使わない、ハイ・ウエストのドレスを発表しました。

すると多くのメゾンが追随して、ハイ・ウエストのドレスを発表しました。

このスタイルのドレスは、100年ほど前のナポレオン時代のドレスをイメージさせました。

これらのドレスは、「エンパイア風」とか「ディレクトワール(統領風)」と名付けられました。

 

アール・ヌーヴォー・スタイル(1890-1910年ころ)の出来事

  • 1891年 ジャンヌ・パキャン、メゾン開設
         ファスナーがアメリカで発明される
  • 1892年 「ヴォーグ」誌、アメリカで創刊
  • 1895年 キャロ姉妹、メゾン開設
  • 1896年 第1回近代オリンピック、アテネで開催
  • 1897年 クリムトらを中心に、ウィーン分離派設立
  • 1900年 第5回パリ万国博覧会開催
         クチュリエが共同で作品を発表
         パリに地下鉄開通
         第2回オリンピック、パリで開催
  • 1901年 イギリス、ヴィクトリア女王没し、
         エドワード7世即位(1910年まで)
  • 1902年 シベリア鉄道開通
  • 1903年 ライト兄弟(米)、飛行機を発明
  • 1906年 ポール・ポワレ、コルセットを使用しないドレス
         (ローラ・モンテス)を発表
  • 1907年 マドレーヌ・ヴィオネ、コルセットをはずし、
         素足にサンダルをはかせたコレクションを発表
  • 1909年 ロシア・バレエ団がパリ公演
         オリエンタリスム流行のきっかけとなる
         マリアノ・フォルチュニィ、プリーツ加工と
         シルク・スクリーンによるプリント技法の特許を取る

参考文献は、

  • 「FASHION 18世紀から現代まで」ISBN978-4-88783-282-4
  • 「文化学園服飾博物館コレクション ヨーロピアン・モード」

です。

スタイルの年代区分は、「西洋服装史Ⅱ」に準じています。

同時代のことを書いた記事に、

があります。

参考にしてください。

ヨーロッパのファッション・スタイルは、以下も参考にしてください。

 

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