アルネ・ヤコブセン

デンマーク・デザイン展を観て、2番目に取り上げるデザイナーはアルネ・ヤコブセンです。
私が紹介するまでもなく、とても有名なデザイナーです。

 

アルネ・ヤコブセン

アルネ・ヤコブセン02アルネ・ヤコブセン
「北欧インテリア図鑑 ELLE DECOR NO.139 2015年 8月号別冊付録」より

 

アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)

  • 1902年 デンマークのコペンハーゲンに生まれる(2月11日)
  • 1924年 デンマーク王立芸術アカデミーに入学
  • 1925年 パリ国際展示会でチェアが銀賞を受賞
  • 1927年 デンマーク王立芸術アカデミーを卒業
  • 1929年 自邸を設計
  • 1936年 テキサコ給油所を設計
  • 1936年 エリック・モラーとともにオーフス市庁舎コンペで1位を受賞
  • 1942年 オーフス市庁舎を設計
         一連のインテリアを手がける
  • 1952年 アントチェアを発表
  • 1955年 セブンチェアシリーズを発表
  • 1955年 オードヴル市庁舎の設計
         フリッツ・ハンセン社から3102、3105、3103を発表
  • 1956年 デンマーク王立芸術アカデミーで教鞭をとる
         (-1965年)
         3300シリーズを発表
  • 1957年 グランプリチェアがミラノトリエンナーレでグランプリを受賞
  • 1958年 エッグチェア、スワンチェアを発表
  • 1960年 SASロイヤルホテル&SASターミナル設計
         一連の内装デザイン
  • 1961年 デンマーク国立銀行コンペ招待、1等受賞
         (-1971年)
  • 1965年 オックスフォードチェアシリーズを発表
  • 1966年 オックスフォード大学名誉博士号を与えられる
  • 1968年 Strathclyde大学より名誉博士号が与えられる
  • 1969年 エイトチェアを発表
  • 1971年 死去(3月24日)

 

SASロイヤルホテル

アルネ・ヤコブセン03 SASロイヤルホテルラディソン・ブルー・ロイヤルホテル 606号室 アルネ・ヤコブセン 1960年
「Casa BRUTAS 北欧デザインの名作と暮らす」より
ISBN978-4-8387-8936-8

 

  • ラディソン・ブルー・ロイヤルホテル 606号室
    (竣工当時はSASロイヤルホテル)
    アルネ・ヤコブセン
    1960年

左から

  • シリーズ3300のソファ
    アルネ・ヤコブセン
    1956年
    一人掛け、二人掛け、三人掛けがある
    SASロイヤルホテル内のエアーターミナル用にデザイン
    ファブリック+スチール
    W730×D790×H720、SH360mm(一人掛け)
    フリッツ・ハンセン社
  • エッグチェア
    アルネ・ヤコブセン
    1958年
    SASロイヤルホテルのためにデザイン
    側面から見たシルエットからエッグチェアと名付けられた
    硬質発泡ウレタン+ファブリック+スチール
    W860×D950×H1070、SH370mm
    フリッツ・ハンセン社
  • スワンチェア
    アルネ・ヤコブセン
    1958年
    SASロイヤルホテルのためにデザイン
    硬質発泡ウレタン+ファブリック+スチール
    W740×D680×H770、SH400mm
    フリッツ・ハンセン社
  • ドロップチェア
    アルネ・ヤコブセン
    1959年
    SASロイヤルホテルの客室内の化粧台前に置かれるためにデザイン
    ファブリック+スチール
    W455×D545×H885、SH460mm
    フリッツ・ハンセン社

 

不遇な扱い

アルネ・ヤコブセン04 セブンチェア肘つきセブンチェアの肘つき アルネ・ヤコブセン 1955年
「北欧デザイン手帖」より
ISBN978-4-579-21019-0

 

  • ラディソン・ブルー・ロイヤルホテルの1階カフェ
    椅子はセブンチェアの肘つきで片面が革張り
    照明はAJ LAMP

アルネ・ヤコブセンは、デンマークの裕福なユダヤ系の家庭に生まれました。

第二次世界大戦が始まると、デンマークはドイツ軍に占領されました。

ユダヤ系であったヤコブセンは、1942年にスウェーデンに逃亡しました。

戦後デンマークに戻りましたが、このことで不遇な扱いを受けることになりました。

 

トータルデザイン

アルネ・ヤコブセン05 セブンチェアセブンチェア アルネ・ヤコブセン 1955年
「北欧デザイン手帖」より

 

  • セブン・チェア
    アルネ・ヤコブセン
    1955年
    セブンチェアは多くのバリエーションが作られた
    成形合板+レザー+スチール
    W500×D520×H780、SH440mm
    フリッツ・ハンセン社

アルネ・ヤコブセンは、世界的に名を馳せた家具デザイナーという一面をもっています。

しかし元々は、れっきとした建築家でした。

アルネ・ヤコブセンは、

  1. 建物
  2. 内装
  3. 家具

など建物空間に関わるあらゆるものを総合的に設計する「トータルデザイン」を目指していました。

それゆえにヤコブセンにとって、

  • 椅子作り
  • 照明のデザイン
  • テーブルウェア

などのデザインは、建築家として当然の行為でした。

 

フリッツ・ハンセン社

アルネ・ヤコブセン06 アントチェアアントチェア アルネ・ヤコブセン 1952年
「北欧デザイン手帖」より

 

  • アントチェア
    アルネ・ヤコブセン
    1952年
    ノボ製薬会社の社員食堂のためにデザイン
    世界初の背と座面までが一体の成形合板の椅子
    成形合板+スチール
    W510×D480×H780、SH440mm
    フリッツ・ハンセン社

アルネ・ヤコブセンの椅子デザインの歴史には、フリッツ・ハンセン社の存在が大きく関わっています。

ヤコブセンは、1946年にチャールズ・イームズがデザインしたDCWに影響を受けます。

そして成形合板の可能性をさらに進化させ、座と背が一体となった形状で作ることを目指しました。

それを可能にしたのが、フリッツ・ハンセン社でした。

優れたデザインを実現化して生産していくためには、メーカーの技術力やパイオニア精神が必要です。

 

モダニズムの推進

アルネ・ヤコブセン07 バンカーズクロックバンカーズクロック アルネ・ヤコブセン
「Casa BRUTAS 北欧デザインの名作と暮らす」より

 

  • バンカーズクロック
    アルネ・ヤコブセン
    デンマーク国立銀行のためにデザイン
    アルミニウム
    直径21cm

アルネ・ヤコブセンが建築を学んでいた学生時代は、バウハウスがワイマールに設立された時期と重なります。

バウハウスでは、伝統的なハンディクラフトから工業化への転換に成功しました。

しかしスカンジナビア諸国では、伝統的なものを大切にしようという機運が高まっていました。

そのような状況の中、ヤコブセンは迷うことなくモダニズムを推し進めました。

ヤコブセンのモダンな建物は、伝統を重んじるコペンハーゲン市民にもオーフス市民にも猛反発を受けました。

 

尊大か?

アルネ・ヤコブセン08 AJ テーブルAJ テーブル アルネ・ヤコブセン
「Casa BRUTAS 北欧デザインの名作と暮らす」より

 

  • AJ テーブル
    アルネ・ヤコブセン
    SASロイヤルホテルの客室のためにデザイン
    フロアランプ、ウォールランプのバリエーションもある
    スチール+キャストアルミ+塗装仕上
    W350×H560mm
    ルイスポールセン社

アルネ・ヤコブセンは、

  • 時代性
  • 地域性
  • 機能性
  • 政治性

までを考慮して、建築とそれに関わる全てをデザインしていきました。

ヤコブセンは自分のデザインのためなら、クライアントや製造メーカーとも対峙しました。

これがヤコブセンが、尊大だと言われる所以でした。

 

まとめ

アルネ・ヤコブセン09 スワンソファスワンソファ アルネ・ヤコブセン 1958年
「別冊家庭画報 北欧インテリア」より
ISBN978-4-418-09101-0

 

  • スワンソファ
    アルネ・ヤコブセン
    1958年
    SASロイヤルホテルのスイートルーム、ラウンジ、21階のパノラマルームのためにデザイン
    スワンチェアの形状を二人掛けにアレンジ
    硬質発泡ウレタン+ファブリック+スチール
    W1440×D740×H790、SH400mm
    フリッツ・ハンセン社

私はアルネ・ヤコブセンを、順調な人だと思っていました。

しかし戦争中に母国を追われたり、モダニズムを推進して猛反発を受けたりしていました。

いま私たちが目にしているヤコブセンの製品は、ほとんどが50歳を過ぎたころのデザインです。

不遇な扱いを受けた後、50歳を過ぎて代表作をたくさん残しています。

 

デンマークのデザイナーについては、以下も参考にしてください。