19世紀後半のコルセット9選

19世紀後半に着用されたコルセットを、9着見てみましょう。
コルセットを見ていて、私にはある思いが湧いてきました。

 

進化する下着

19世紀のコルセット02コルセット 1860-70年代
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1860-70年代
    茶のラフィア(ヤシ科の植物)と綿
    スティール・バスク
    バスト 約84cm
    ウエスト約67cm

19世紀のめまぐるしいシルエットの変遷を支えたのは、下着でした。

これは豊かになった、衣生活のあらわれでもありました。

 

社交的服装

19世紀のコルセット03コルセット 1865-75年
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1865-75年
    白の綿クチ
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約84cm
    ウエスト約52cm

19世紀後半になると、社交的服装における厳格な作法が定められていました。

その決まりによって女性は、一日に7〜8回もの着替えを余儀なくされました。

たとえば、

  1. 午前中の部屋着
  2. 昼間の街着
  3. 訪問着
  4. イブニングの観劇
  5. 舞踏会
  6. 晩餐会
  7. 就寝時の室内着
  8. 寝間着

など各々の場合で異なる服を着ることが義務的に定められました。

 

下着の多様化

19世紀のコルセット04コルセット 1868-73年ころ
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1868-73年ころ
    白の綿
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約84cm
    ウエスト約54cm

こうした場合分けに従って、下着も著しく多様化しました。

まず、

  • ドロワーズ
  • ペティコート

などのランジェリー類が登場しました。

シュミーズを含めて、これらの下着類は装飾的になりました。

 

新案特許

19世紀のコルセット05コルセット 1870-80年代
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1870-80年代
    白の綿ネット
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約66cm
    ウエスト約45cm

19世紀の造形的なシルエットを形成するのに欠かせないのが、

  • クリノリン
  • バッスル
  • コルセット

でした。

これらは、様々な工夫や考案による新しい型が次々と新案特許として申請されました。

まさに産業近代化による、新技術の集積物でした。

 

細いウエストへの憧れと鉄製の鳩目

19世紀のコルセット06コルセット 1880年代
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1880年代
    ブルー・グレーの綿サテン
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約104cm
    ウエスト約  81cm

コルセットは、1829年、鉄製鳩目の考案によって極めて有効な体型補正下着となりました。

鉄の鳩目の導入によって、絞めるという機能が飛躍的に高まりました。

女性は理想の体型に近づこうと、コルセットでウエストを締め付けました。

以後、女性にとって最も重要な下着として20世紀初頭まで愛用されました。

 

3つのスタイル

19世紀のコルセット07コルセット 1880年代
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1880年代
    青の絹サテン
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約76cm
    ウエスト約49cm

ここに取り上げたコルセットは、1860-90年代のものです。

  1. クリノリン・スタイル(1840-1870年ころ)
  2. バッスル・スタイル(1870-1890年ころ)
  3. アール・ヌーヴォー・スタイル(1890-1910年ころ)

の3つのスタイルにまたがっています。

 

コルセットへの反対

19世紀のコルセット08コルセット 1885-95年
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1885-95年
    レーベル:LOOMER’S
    茶の綿サテン
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約81cm
    ウエスト約51cm

20世紀になるとコルセットは、女性の体にさまざまな疾患を引き起こす原因とみなされました。

コルセットは、「悪名高き拷問器具」というのちのイメージが固まりました。

  • 医者
  • 女権拡張主義者
  • モラリスト
  • 芸術家

などが、各自の見地からコルセットの着用に反対しました。

 

マドレーヌ・ヴィオネとコルセット

19世紀のコルセット09コルセット 1880年代後半
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1880年代後半
    レーベル:THOMSON’S
    ワイン色の絹サテン
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約89cm
    ウエスト約59cm

マドレーヌ・ヴィオネはまだジャック・ドゥーセの店にいた1907年、初めてのコレクションを開きました。

マドレーヌ・ヴィオネはマヌカンにコルセットをはずさせ、体を洗ったあとにドレスを着るように命じました。

当時コルセットをはずした体は、悪臭を放っていたからです。

新しいドレスはウエストにとらわれず、肩から流れ落ちた布が体を自然なドレープで包んでいました。

 

まとめ

19世紀のコルセット10コルセット 1890年代
「FASHION 18世紀から現代まで」より

 

  • コルセット
    1890年代
    レーベル:I.C. A LA PERSEPHONE
    黒の絹サテンに多色の小花模様の刺繍
    スティール・バスク、ボーン
    バスト 約85cm
    ウエスト約56cm

最初、「私にはある思いが湧いてきました。」と書きました。

どんな思いかというと、

「私の感覚では、コルセットを付けた体は細く見えない。」

というものです。

私には、コルセットはゴツく見えます。

コルセットの上にどんな服を着ても、ゴツく見えるのです。

コルセットをたくさん見続けて、そんな思いが湧いてきました。

 

参考文献

  • FASHION 18世紀から現代まで
    TASCHEN
    ISBN978-4-88783-282-4
  • ファッションの世紀
    深井晃子署
    平凡社
    ISBN4-582-62034-5

関連事項として、以下も参考にしてください。